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渡辺 大樹(ヤクルト)内野手のルーキー回顧へ







 渡辺 大樹(専大松戸3年)遊撃 181/79 右/右





                    「少し明るい兆し」





 この春見た時は、すべてに関して「鈍い」という言葉がついてまわるほど、動きの緩慢さが目立った 渡辺 大樹 。それでも快速・強肩の身体能力は、今年の高校生内野手でもNO.1の素材ではないのだろうか。あまりマスコミなどでは大きく取り上げられることは無いが、実際のドラフト会議では想像以上に高い順位での指名が予想される。


(守備・走塁面)

 夏の甲子園・花巻東戦、いきなりショート前に詰まった打球が飛んできた。その難しい打球を見事処理したように、地肩の強さはプロでも充分勝負して行ける代物。最大の弱点は、打球への反応・動作の切り返しが鈍く、プロのショートとしては重苦しいスピード感の無さにある。それでもポカが多いタイプではないのは、難しい体勢・深いところからでも地肩の強さから余裕を持ってスローイングしてアウトにできるから。問題は、捕球するまでに課題がある選手だということではないのだろうか。しかし花巻東戦で魅せたバックホームの場面でも、冷静に走者が滑り込んでくるところに送球するなど、とっさの判断力や思考回路は、けして低い選手ではないなと思う(結果的にはポジションニングが中途半端でセーフにはなったが)。

 一塁までの塁間は、右打席から4.1秒前後で走り抜けられる脚力がある。すなわち左打者換算でも、3.85秒前後ぐらいで走り抜けられるほどのタイムであり、この走力はプロに混ぜても上位レベル。見た目の緩慢さからは想像できないタイムがでるし、千葉大会の7試合で5盗塁を決めるなど、積極的に盗塁を試みる積極さも観られる。

 現状はまだまだも、鍛えがいのある選手であり、プロのショートストップとしても面白い存在になり得るのではないのだろうか。また自分の生き残る術として、プロでは走力を全面に押し出して来る可能性も否定できない。それに応えうるだけの、確かな走力はあるのだから。スタートの鈍さやトップスピードとまでの加速には不安はあるが、プロで足を売りにしても全然不思議ではない。

走・守のスケールは、2015年度の内野手の中でも、屈指の能力を秘めている。


(打撃内容)

 春見た時に真っ先に感じたのは、スイングが鈍すぎるということ。それでも結果を残してしまうのは、相手レベルの問題なのか? 本人の資質の高さの裏付けなのかもしれない。春までは、一定レベル以上のストレートには対応できない鈍さがありました。
その辺は、大会屈指の左腕だった、高橋 樹也(花巻東)左腕から、ストレートを二本ヒットにしたことからも改善の兆しが見られます。

<構え> 
☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰も深めに落とし、全体のバランスとしては並。それでも両目でしっかり前を見据えられているところは、評価はできます。両目で前を見据えられれば、ボールを追うときに錯覚によるズレを防ぐことができるから。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。これは、ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる打ち方です。この渡辺も、けしてスラッガーではない。とはいえヒットメーカーという器用さもなく、二塁打・三塁打が多いタイプの強打者というのが、最もしっくりきます。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足をほとんど上げることなく地面をなぞるようにしながら、ベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。そのため、大型でも対応力は低くない。

 ベース側にインステップするようい、外角の球を強く意識しています。大型で手足が長いので、外の球を叩くことに主眼が置かれる一方、内角の球を肘をたたんで打つのは上手くないでしょう。それでも踏み込んだ足元はインパクトの際にもブレないので、壁を長く維持し、外角の厳しい球や低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を早めにつくることで、速い球に対応しようという準備はできています。春のフォームを見ていないのでわからないのですが、ストレートへの対応を高めるために、夏の大会ではそうしたのかもしれません。

 残念なのは、バットが身体から離れて遠回りに軌道すること。完全にドアスイングなので、外角へは対応できても内角寄りの球は辛いはず。更にバットの先端であるヘッドが下がっているので、ボールを捉える面積が少なく打ち損じが多い。現時点では、打てる球は外角に限られている。それでも打球は、右に左へと打ち返す幅は持っている。

 スイング後半の孤は大きめに取れており、フォロースルーも取れていないわけではない。スタンドまで運ぶほどではないが、外野手の間や上を越すような長打は期待できそう。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げがないので、目線の上下動は少ない。体の開きも我慢できていますが、腰の逃げが早いのは気になります。それを矯正するために、あえてインステップしているのかもしれません。しかし軸足を起点に、綺麗に回転はできており、体軸は安定していると言えます。

(打撃のまとめ)

 腰の逃げが早いのは気になりますが、インステップして踏み込むこと、踏み込んだ足元が閉じられていることで、開きをある程度のところで抑えられています。元来は、引っ張って巻き込むことを得意としていたのではないのでしょうか。

 残念なのは、スイング軌道が悪いこと。これを改善して行かないと、木製バットでは厳しいのではないのでしょうか。ヘッドスピードの鈍さは、春からだいぶ改善されてきました。打撃では欠点も多いのですが、持っている資質の高さで乗り越えて行けるのではないかとも感じます

 時間はかかると思いますが、将来的にはホームランも含めて、長打力が増して来るのではないのでしょうか。もっている資質が高いので、時間をかけさえすればヤレてしまう可能性を感じます。


(最後に)

 春までは、高校からプロに入るような選手とは到底思えない鈍さでした。しかし春~夏にかけて、かなり意識が変わってきたのでしょう、スイングも鋭くなってきましたし、動作一つ一つの動きにもキレが出て、違和感がなくなってきています。

 好みのタイプ、そうでないタイプだと分類すれば、好みではないタイプの選手です。しかし持っている資質の高さから、大きく化けるかもしれない。プロでもレギュラーになれる選手、それだけの器ではあるように思います。実際ドラフトでも、3位前後ぐらいでは指名されると思うですよね。今ならば、指名リストに名前を入れてみたいと思うようになりました。会議当日、どのぐらいの順位で指名されるのか楽しみです。


蔵の評価:
☆☆


(2015年夏 甲子園)
 








 
 181/79 という体格以上に大きく魅せ、試合前ノックから動きが重苦しいのが気になります。細かい動きが出来そうもないので、将来的には三塁もしくは外野あたりではないのでしょうか。

打撃もピッチャー返し、センター前、三遊間へのヒットなどを放っており結果を残していましたが、スイングが鈍い。遅い変化球は合わせられますが、一定レベル以上の球速・キレのある球に対しては現時点では厳しそう。

 よくいえばスケールを感じさせる素材ではありますが、悪く言えばすべてに「鋭さ」がない。まだまだ本気で野球をやっていない印象で、レベルの高い面子に混ざった時に、どのぐらい能力が引き出されるのか観てみたい気は致します。しかし現状は、高校からプロに混ぜるのには物足りない印象は否めませんでした。

(2015年 春季大会)