15ky-18









柘植 世那(21歳・ホンダ熊本)捕手の個別寸評へ







 柘植 世那(健大高崎3年)捕手 175/78 右/右





                 「キャッチングがしっかりしてる」





 今年の高校生捕手の人材が乏しいなか、数少ない指名を意識できる男、それがこの 柘植 世那 である。彼の最大の特徴は、強肩と高校通算32本を誇る強打にあると言われる。しかし私が彼のプレーで評価しているのは、キャッチングの良さにある。私は捕手は、まずボールをしっかり捕球できる、そのことが一番大事だと考えているので。


(ディフェンス面)

 体を小さく屈め、ミットを大きく魅せて投手に投げやすい構えをつくります。投手にシッカリミットを示したあと、一度脱力してグラブをダランとはしますが、地面につけるほど下げないので、速い球に立ち遅れる心配はありません。またずっと構えっぱなしの力みのある構えでもないので、グラブを力みなく柔らかく使える点も評価します。ボール一球一球も押し込みもよく、ワンバウンドになるような球でも、下から素早くミットを出すことができます。キャッチングにも雑なところがなく、そういった部分では今年の高校生捕手の中でも、屈指のレベルにあるのではないのでしょうか。

 投手の持ち味を活かしつつ、相手を討ち取るまでのアプローチを考えて組み立てるリードもでき、その辺は高校生捕手としては合格レベルでしょう。ベースカバーも怠りませんし、ボール処理の際にもしっかり投手に指示が出せます。性格的にも、ふてぶてしいところと、しっかりやることはやる選手であり、そういったプレースタイルにも好感が持てます。

 甲子園では、再三出塁したランナーに素早い送球を送り走者を牽制。仙台育英戦では、飛び出した二塁ランナーを見事に刺しました。そういった状況をよく見た、視野の広さを感じます。最大の課題は、塁間1.85秒前後で投げられるも、スローイングのコントロールの不安定さにありました。しかしこの夏は、いち早く速い送球を投げるよりも、タイムを落としてでも正確にコントロールすることを重視し、取り組んできたことが伺えます。このへんの送球の成長こそ、春~夏にかけて一番成長した部分ではないのでしょうか。

 ことディフェンス力でいえば、高校生としては上位の部類であり、充分高校からプロに入るべき素材だと評価できます。このような捕手を指名しないで、あと誰を指名しろと言うのでしょうか? 


(打撃内容)

 この夏は、甲子園で打率.143厘と3試合で僅か2安打と低迷。元々状態は、群馬予選から調子が上がりませんでした。しかし2年夏には、甲子園で.444厘を残したように、けして打力がない選手ではありません。ツボにハマれば、高校通算32本の長打力も秘めています。

<構え> 
☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えます。腰の据わりは悪くないのですが、両目で前がシッカリ見据えられないのがこの選手の課題。体が固いのかもしれませんが、球筋を錯覚なく追うには、両目で前をしっかり見る必要があります。スクエアでそれが難しいのであれば、前の足を軽く引いて構えても良いのではないのでしょうか。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下る途中あたりで動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力重視のアベレージヒッターが多く採用します。

<足の運び> 
☆☆☆

 足を上げてまわしこみ、真っ直ぐ~少しベース側に踏み込んできます。すなわち真ん中~外側の球への意識が強いのではないのでしょうか。始動~着地までの「間」はとれているので、速球でも変化球でも幅広く対応。

 春より夏は、踏み込んだ足元が踏ん張れず、地面から離れるのが早かったことが伺えます。そのため上半身と下半身のバランスが悪く、開きが早くなり我慢できなかったのが気になります。それでも外角高めの球に対しては、払うようにして右方向へはじき返します。

<リストワーク> 
☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなく対応できているところは良いところ。しかし腰の逃げ速いのと、バットが少し遠回りに出てくるので、その辺がボールを捉えるまでのロスになっています。またバットの先端であるヘッドが下がり気味で、ボールを広い面で捉えられず、打ち損じが多いことも否定できません。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は平均的。春よりも、体の開きが我慢できなくなっていたのは気になる材料。そのため軸足も、春より崩れがちだったことが多いのでは? 春までは、軸足を起点に綺麗に回転できていました。

(打撃のまとめ)

 夏は完全に打撃を崩しており、ヒットになっても変な当たりが多かったのは気になりました。元来はファールで粘ったり、喰らいついてヒットにするしぶとさもあります。上手く巻き込めば、スタンドに叩き込むなどのパンチ力もあります。そういった意味では、打てる球を導き出すのが上手い選手との印象があります。

 対応力の低さは確かに気になるのですが、スイングの強さ・ボールを飛ばせる能力もあり、高校生捕手ならば合格ラインなのではないかと。しかしこの対応力の低さがネックになり、プロでは率が上がらず打撃で苦労する可能性は否定できません。


(最後に)

 攻守に超A級の素材ではありませんが、ディフェンスに関しては充分高校からプロに入る素材でしょう。打撃に関しては課題も多いのですが、スイングの強さとしぶとさはあるので、その辺に活路を見出だせなくはありません。プロの指導・本人の取り組み次第では、全く見込みがないという選手ではないので、捕手というポジションならばO.Kの打力だと評価します。

 春~夏にかけては、スローイングの精度が向上したこと。その分、打撃の調子・バランスが悪くなったことがマイナスポイント。そう考えるとプラマイ0であり、評価としては春から据え置きということになります。ドラフト会議では、4位以降にはなるかもしれません。しかし本会議の間に、指名される選手ではないのでしょうか。会議当日どうなるのか、その結果を見守りたいですね。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2015年夏 甲子園)









 柘植 世那(健大高崎3年)捕手 174/77 右/右
 




                   「唯一指名されそうな高校生捕手」





 私が2015年度確認した高校生の中で、唯一ドラフト指名が確実視される捕手と評価するのが、それがこの 柘植 世那 。一体どんな選手なのか、考えてみたい。


(ディフェンス面)

 まず第一にあげたいのが、高校生捕手にしてはキャッチングがしっかりしているということ。投手にミットを示したあと、そのグラブを地面に下げることなく補球。そのためワンバウンドするような球や低めに落ちる球にも、素早く対応できます。ボールの押し込みも悪くありませんし、高校生としては上位レベルのキャッチング技術があります。どうしてもハンドリングに自信のある選手は、手先だけ伸ばしてボールをとりがちです。しかしこの選手の場合、そういった雑なプレーはしません。

 投手の持ち味を活かしつつ、相手を討ち取るまでのアプローチを考えて組み立てるリードにも、捕手としてのセンスを感じます。相手の裏をかくようなことも出来ますし、上のレベルでも新たなものを見出して行ける発想力を感じます。それほど体は大きくありませんが、ガッチリとした捕手体型であり、ブロックなどもしっかりしていて捕手らしい捕手。

 課題は、コンスタントに1.8秒台を刻めるスローイングにあります。地肩自体は良いのですが、捕ってから素早く投げようとすると、ボールが上手くコントロールできません。そのためある程度コントロールをつけるためには、力を加減して投げないといけないというのが現状でしょうか。地肩はあるけれど、安定感・制球力に欠ける、ここが彼の一番の欠点であるように思います。それでも根本的な地肩はあるので、プロの指導によって正しい投げ方を教わることで、修正される余地はあると考えます。総じて見てみると、高校球界でも屈指のレベルにある捕手ではないのでしょうか。


(打撃内容)

 粘って甘い球が来るのも導いたり、その球を逃さないだけの確かな技術があります。打球も強烈ですし、捕手に求められるだけの打力は、兼ね備えていると評価できます。なんとなくスイングの形を見ていると、ホセ・ロペス(DeNA)に似ているような感じもします。

<構え> 
☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添える強打者スタイル。腰の据わり具合・全体のバランスは良いのですが、両目で前を見据える姿勢が良くありません。両目でボールが見られないと、どうしても球筋を的確に捉えることが出来なくなります。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターが多く採用する仕掛け。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 始動~着地までの「間」は充分あるので、速球でも変化球でも、スピードの変化には対応しやすいはず。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。

 強引な巻き込みを得意とする一方で、右方向への打球も少なくありません。それを可能にするのは、足元のブレを抑えて我慢できるため。これにより、広角なバッティングを実現しています。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、リストは柔らかく使えています。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではなく、内角をたたんでとか開かずに捌くとかそういうスイングではありません。真ん中~甘めの球は強引に巻き込み、外角の厳しい球を右方向に払うなどそういったスイングを得意とします。

 バットの先端であるヘッドは下がり気味で、打ち損じが少なくないように思います。この辺がもう少しヘッドが立ってスイングできるようになると、スイングの精度も更に高まるのではないのでしょうか。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は平均的。体の開きも我慢でき、軸足も地面からまっすぐ伸びて、軸回転でスイングはできています。

(打撃のまとめ)

 ファールで粘ったり、しぶとくセンターから右方向へという粘りもできる選手ですし、レフト方向への強打を見せることもあります。技術的に凄いというよりは、自分の打てる球を導くのが上手いタイプかと。

 スイングにも強さがありますし、高校からプロに入れる打力の持ち主だと評価します。プロの球に対応するのには数年かかるとは思いますが、捕手として必要な打力は身につけられる下地があると評価します。


(最後に)

 攻守にバランスの取れた素材であり、それでいて精神的にもしぶとい、忍耐強さも兼ね備えています。上位指名云々というスケールは感じませんが、高校からプロに指名される捕手とみて間違いないのではないのでしょうか。夏に更に成長した姿を見せると上位指名の可能性も残しますが、現状は中位指名あたりでのプロ入りになると考えています。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名)


(2015年 選抜)