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桧村 篤史(早稲田大3年)遊撃手の個別寸評へ








桧村 篤史(木更津総合3年)遊撃 180/75 右/右 
 




                    「面白い素材だとは思う」





 外角の球を軽く振りぬいたスイングで、レフトスタンドまで運んで魅せた 桧村 篤史 。あの一打で、一躍ドラフト候補へと浮上した選抜の舞台。しかし大会前から注目の野手の一人であり、その素材の良さはスカウトも織り込み済みだった。


(守備・走塁面)

 動作一つ一つが、非常にキビキビしているのが好感。深いところから刺せる地肩の強さもあるのですが、選抜では送球が乱れるなど安定感はどうか気になります。しかし秋の新チーム結成以来の43試合で2失策と、遊撃手としては極めて安定しているのがわかります。むしろ選抜での送球ミスは、彼の中では非常に珍しいプレーだったのかもしれません。

 長い距離を投げるダイナミックなプレーを魅せる一方で、細かい動きもできるところを見ると、将来的には二塁手の適性もありそう。その見た目から受ける印象以上に、守備は上手いのかもしれません。

 残念ながら選抜を2試合ほど観た中では、一塁タイムを正確に把握できる場面はなし。144打席で6盗塁ですから、プロの規定打席で446打席で換算すると、1シーズン19盗塁ぐらいですから、けして動けない選手ではない。基準~中の上レベルの脚力はありそう。

地肩・走力と、プロの基準を満たすだけの身体能力は秘めていそうというのが率直な感想。


(打撃内容)

 ツボにハマった時は大きいですが、確実性・対応力という意味ではまだ粗い印象を受けます。しかし秋の成績は、打率.410厘ですから、極端に荒っぽい選手でもなさそう。脱力したスイングで、ポ~ンとレフトスタンドに叩き込んだ姿は、坂本 勇人(巨人)を彷彿とさせます。

<構え> 
☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。背筋をピンと伸ばし、腰の据わり具合・全体のバランスとしては並でしょうか。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

 投手の重心が下るときに、つま先立ち。そこから本格的に動き出すのは、リリーフ直前という極めて遅いタイミング。こうなると打てるポイントは一点に限られてしまい、その球をいかにミスショットなく決めるのかが求められます。

<足の運び> 
☆☆☆

 始動~着地までの「間」はないので、瞬時にいろいろな球への対応は厳しい打ち方。真っ直ぐから若干ベース側に踏み込んで来るスタイルで、真ん中~外角よりに意識があるものと思われます。踏み込んだ足元はブレないので、外の球をキッチリ捉えられるスイングにはなっています。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さを補います。バットの振り出しは、上からコンパクトに振り下ろされており、大きな弧を生かして遠心力でボールを運ぶタイプではなく、腰の回転で上手く巻き込めた時に長打を放つタイプだとわかります。

 「トップ」~「インパクト」までのスイング軌道にはロスがないのは良いのですが、ボールを捉えるときにバットの先端である「ヘッド」が下がり気味で、ボールをキッチリ叩ける確率はけして高くありません。すなわち、ミスショットも多いタイプなのだと考えられます。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げは小さいので、それほど目線は動いていません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足を起点に綺麗な下半身の回転で打てています。逆にこういったタイプは、右方向に追っつける打撃が上手くない選手が多く、ライト方向への打球が打てるのかが見極めの大事なポイントになるのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

打撃が出たとこ勝負というか、いろいろな条件が一致しないと結果が出ない印象を受けます。その理由は、

始動が遅すぎること

ヘッドが下がって広い面でボールを捉えられないこと

巻き込み型のスイングで、右方向への打撃が出来ないのではないか?


そういった理由からだと考えられます。


(最後に)

 守備に関しては、その見た目以上に安定感があるのではないのか? この辺は、夏まで観て見極めたいポイント。打撃に関しては、技術的に課題があり確実性に乏しいものの、持っている潜在能力自体は悪くはないのではないかという気は致します。本当にイメージ的には、高校時代の 坂本 勇人 に似たタイプなのではないのでしょうか。

 そういった潜在能力の高さを買って、指名して来る球団があっても不思議ではありません。ただ粗いタイプなのか? それとも可能性秘めており、導き方次第では面白いのか? それを夏までに見極めて行きたいですね。

 常識的な部分で見ると、高校からプロに入るには、もうひと押しアピール・確信が欲しいなぁというのが率直なところ。何かを見出した球団があるのならば、指名はあるかもといったところでしょうか。夏まで追ってみる価値は、充分あるのではないのでしょうか。


蔵の評価:追跡級!


(2015年 選抜)