15ky-13









安本 竜ニ(法政大4年)内野手の春季寸評へ







安本 竜ニ(静岡3年)遊撃 178/78 右/右 





                  「自分のツボを持っている」





 秋の東海大会で3本塁打を放ったパンチ力があるように、この選手にはスタンドに叩き込めるツボというものを持っている。こういう選手は、なかなかいない。攻守に荒削りな部分はあるものの、ドラフト候補として夏までマークできる素材ではないのだろうか。


(守備・走塁面)

 キャッチングに不安はあるものの、地肩が強いのでスローイングが乱れないところは良いところ。特に深いところから刺せる強肩は、中々高校生でも貴重な存在。その一方で、近いところへのスローイングなどが制御できないきらいがあり、その辺が少し気になる。それでも捕ってからの切り返しは素早いので、将来的にはセカンドの方が向いているのかもしれないが。

 一塁までの塁間は、4.6秒強ぐらい。これを左打者に換算しても、4.35秒前後とプロレベルでは遅い部類。新チーム結成以来の秋の26試合で6盗塁を記録するなど、全く動けない選手ではないと思うのだが。いずれにしても、足を売りにするタイプではなさそう。


(打撃内容)

 彼のツボとは、いわゆる外角に真ん中近辺にあるように思います。そこのボールに対しては、スコーンと打球が気持ちよく飛んでゆきます。捕手の堀内が腕っぷしの強さでボールを飛ばすタイプならば、こちらはリストの強さを生かしてボールを運ぶタイプかと。

<構え> 
☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰は深く沈んでいるものの、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらい。特に構えに、特筆すべきところはありません。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下がるときにつま先立ちして、本格的に動き出すのはリリース直前ぐらいと、極めて遅いのが気になります。こうなると、打てるタイミングは極めて限られます。

<足の運び> 
☆☆

 足を軽くあげて、幾分ベース側にインステップして来るように外角を意識。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞って、その球を逃さないことが求められます。外角の球に対しても、壁を作ってキッチリ叩くというスタイルではなく、踏み込んだ足元はいち早く地面から離れ、払うようなスイングをする独特のスタイル。外角低めの厳しい球や逃げて行くスライダーに対しては、少々厳しいかもしれません。あくまでも真ん中~高めのストレートを払うこと、そこに特化したスイングではないのでしょうか。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、それほど遅れてはいません。しかしグリップが奥に入り込んで、打ちに行く時はクロスの形になっており、センターからライト方向を狙わないと結果が残し難い打ち方に。

 振り出しも「トップ」~「インパクト」までが遠回りで、更にバットの先端であるヘッドも下がり気味。大きな弧を描き、上手く捉えられると下をくぐるるようにバットが振り抜けるので、ボールを上手く運ぶことができます。しかし確実性としては、かなり低いスイングだと言えるでしょう。

<軸> 
☆☆

 足の上げ下げは大きくはないので、目線はそれほど上下動はしていません。しかし「開き」が我慢出来ているわけでもなく、軸足もそれほど安定していません。

(打撃のまとめ)

 外角へのストレートを、上手いタイミングで捉えられた時にのみ結果が出る非常に特殊なスイングをしています。そのためどうしても、確実性という意味では低くなってしまいます。それゆえに見事な打球も飛ばせるメリットもあるのですが、まさに諸刃の剣といったスイング。このスイングでも結果を残せて来ているのですから、持っている資質自体は高いのだと思います。


(最後に)

 強肩であり飛ばせるパンチの効いた打撃も持っているという、素材としての魅力は感じます。しかし攻守に粗すぎて、高校から指名レベルにまで到達するのかと言われると微妙。アマには珍しいポテンシャル型として、大学などでも異彩は放つかもしれませんが、そこで結果を残せるのか?という疑問は残ります。この不安を払拭させることこそ、プロへの指名の条件ではないのでしょうか? まずは、夏まで追いかけて最終的な判断をしたいと考えます。


蔵の評価:
追跡級!


(2015年 選抜大会)