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堀内 謙伍(楽天)捕手のルーキー回顧へ







堀内 謙伍(静岡3年)捕手 176/80 右/左 





                 「この夏最も評価を上げた捕手」





 夏の選手権では、緒戦で東海大甲府に敗れてしまい、レフト横へのツーベースを放つなどアピールしたが充分とはいえなかった。しかしU18の日本代表メンバに選ばれ、そこでその能力を遺憾なく発揮。高校からの指名も、現実味を帯びてきた。そういった意味では、この夏最も評価を高めた捕手と言えるのではないのだろうか。


(ディフェンス面)

 体を小さく屈め、ミットを大きく魅せる投手に配慮できた構え。ミットを示したあと、グラブを下げないのでワンバウンド処理にも素早く対応。実際ワンバウンドするようなボールへの反応、グラブの出し方、フットワークはかなり機敏だといえます。しかし春から指摘するように、コースから外れた球に対し、腕だけを伸ばす雑なキャッチングは、春と変わっていません。打球への反応などは良いのですが、一球・一球のボールの押し込みにそれほど力感は感じられず、この辺はプロレベルの投手の球を受けた時に、どうなのかな?という疑問を抱きます。

 春からの一番の成長は、スローイングではないのでしょうか。秋・春と見てきて、素早くは投げられるものの、そのことの意識が強過ぎるのか、スローイングの形が悪く球筋が不安定でした。しかしこの夏は、かなり球筋が安定してきており、課題だった精度もだいぶ高まってきたといえます。二塁までおおよそ1.95秒前後と驚くような強肩でもないのですが、ランナーの滑り込んで来るところに、素早く集められる実戦的な送球が魅力。このスローイングの成長こそ、彼の評価をこの夏高めた最大の要因ではないかと考えます。

 リードに関しては、結構打者の内角を突きたがる傾向に。あとは、打たれた球を次の打席以降、なるべく使わないようにするようなリードであり、それほど深みやセンスは感じません。高校生としてはこのレベルでも良いのですが、上のレベルではいろいろ学ばなければいけないのではないのでしょうか。それでもスローイングの成長により、高校からプロにかかるレベルのディフェンス力を身につけてきたといえます。


(打撃内容)

 元々捕手でありながら、東海地区を代表する強打者だった選手。選抜では充分アピールできませんでしたが、この夏は打力があることを、神宮大会同様に証明してくれました。けして長距離打者ではないのですが、二塁打・三塁打みたいな、外野手間や頭の抜けて行く当たりが多いタイプの強打者ではないのでしょうか。

<構え> 
☆☆☆

 前足を大きく引いた左オープンスタンスで、グリップは高めに添えます。春までは、足を大きく開いているのに、センターカメラから背番号が読み取れるというクローズ気味の構えであり、上半身と下半身が別々の方向を向いているというアンバランスな構え。その辺の違和感は、だいぶ改善されました。

 腰の据わり具合・全体のバランスとしては並ですが、両目ではしっかり前を見据えられるようになり、この辺も春とは大きく改善されたポイント。春から夏にかけて、だいぶ構えはいじってきています。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、平均的な仕掛け を採用。これはある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる打ち方。まさに、彼のプレースタイルとも合致しています。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を引き上げまわしこんで、ベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球などのスピードの変化にはそれなりに対応。踏み込んで来るように、外角の球を強く意識したスタイルなのは、春と変わっていません。

 春からの成長は、足元のブレが抑えられるようになり、外の球の打ち損じが減ってきたこと。壁を長くキープできるので、外角の厳しい球や低めの球にもついて行けます。相変わらず内角は窮屈ですが、その辺はどれをとるかの問題なので、それほど悲観しなくても良いでしょう。

<リストワーク> 
☆☆☆

 春までは、早めに「トップ」に近い位置にグリップを引いており、そこから振り出すスタイルでした。しかしそうすることで、リストワークの柔軟性が損なわれる危険性があり、自然体へと変わっています。このことにより、より打てる幅が広がったのではないのでしょうか。

 スイング軌道も、春よりも無駄がなくなり、外の球を叩くことに関してはロスがなくなりました。まだインパクトの瞬間にバットの先端えだるヘッドが下がっているので、この辺が改善できると、もっとフェアゾーンに落とせる確率、難しい球を拾える割合は増えて来ると思われます。

 内角に食い込んで来る球を打つのには欠点がありますが、ヘッドスピードの基準レベルを満たしていますし、最後までしっかり振りきれており、フォロースルーを引き上げることで遠くに運ぶこともできています。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げはそれなりにあるので、目線の上下動は平均的。それでも開きを我慢できるようになり、軸足の内モモの筋肉にも強さが感じられ、強い打球を飛ばせる理由がわかります。軸も、比較的安定しているといえます。


(打撃のまとめ)

 内角の捌き・見極めには課題を残しますが、春~夏にかけて大幅に打撃をいじってきました。その改善が功を奏し良い結果へと結びつけています。春~夏へ大いに評価を高めたのには、それなりの理由があるということでしょう。打撃でも、高校からドラフト指名を意識できるところまで来ています。将来的には、打てる捕手への期待が高まります。

(最後に)

 選抜の反省を生かし、春~夏へと攻守に大きな変貌を遂げました。この問題を解決するセンス・努力できる才能は、素直に評価したいところ。ここまで劇的に欠点を短期間で改善してきた捕手は、高城 俊人(九州国際大附-(DeNA)以来かもしれません。

 ドラフト候補としてはまだA級の素材とは言いがたいのですが、志望届けを提出すれば指名は確実、中位ぐらいでの指名は充分期待できるのではないのでしょうか。個人的にはそれほど好みの捕手ではないのですが、自分を高めて行こうという心意気を買って指名リストに名前を記してみたいと思います。


蔵の評価:
☆☆


(2015年夏 甲子園)
 









 堀内 謙伍(静岡3年)捕手 174/80 右/左
 




                    「夏まで追ってみたい」





 明治神宮大会では、注目の選手だということだった。しかしそのプレーを見る限り、正直何が良いのかよくわからない選手。しかしこの選抜では、なるほど夏まで追ってみようかなと思えるものは持っている。さてどんな選手なのか?改めて考えてみる。


(ディフェンス面)

 身体を小さく屈めミットを大きく魅せる、投手にとっては的がつけすい形で構えられている。ミットを示したあと、グラブを地面に下げることなく補球。そのためワンバウンド処理にも、立ち遅れる心配はない。この選手、それほど体格がない分フットワークは素軽い。キャッチング全体への自信なのか? コースから外れた球に対し、手だけを伸ばしてキャッチングしたがる傾向があるのが少し気になる。

 残念なのは、スローイングの形がよくなく送球が不安定だということ。地肩自体も圧倒的に強いという感じはせず、ドラフト候補のスローイングとしては物足りない。二塁到達タイムは2秒前後でもあり、これならばよほどコントロールよく投げないと走者を刺すのは厳しいだろう。これだけ話題なので、実際にはもう少し良いスローイングをする選手なのかな?という気はしているが・・・。選抜での二度のスローイングを見る限りは、あまり関心しなかった。

 プレー自体に、それほどインテリジェンスを感じるタイプではなく、強肩・強打で圧倒するタイプなのが彼のプレースタイルなのだろう。しかしドラフト候補・プロを想定すると、そこまで図抜けたポテンシャルだとも思えない。ディフェンスに関しては、ドラフト候補として中の下ぐらいにしか思えないのだが。


(打撃内容)

 確かに高校生としては、かなり打てる捕手という感じはしている。しかし神宮大会でも選抜でも、力が入り過ぎて打てる球は非常に限られているのではないか? そういった印象を受けた。

<構え> 
☆☆

 前の足を軽く引いて、グリップを高めに添える強打者スタイル。腰の座り、両目で前を見据える姿勢は並。前の足はオープンスタンスなのだが、上半身はセンターカメラからはっきり背番号が読み取れるほどクロスに構えられており、上半身と下半身が別々の方向に向いているのは、全体のバランスとしてはどうなのだろうか?

<仕掛け> 平均的な仕掛け

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の対応力と長打力を兼ね備えた、中距離・ポイントゲッターが採用する仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆

 引き上げた足を回し込み、ベース側に強烈に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はソコソコで、速球でも変化球でもそれなりに対応。ベース側に大きく踏み込むインステップで、外角を強く意識しているのがわかります。それだけ外角に特化しているのはわかるのですが、真ん中~内角よりの球に対しては極めて窮屈になり、踏み込んだ足元もブレてしまうことが少なくありません。現状は、上半身の力に対し、それを支える下半身が踏ん張りきれていない場面がしばしば見られます。

<上半身> ☆☆

 早めに「トップ」に近い位置にグリップを引いて、深く構えています。「トップ」に近い位置にあれば速い球に立ち遅れる心配は薄れますが、どうしても前の肩が後ろに引っ張られて、力が余計に入って打てる可動域が狭まります。

 バットの振り出しも、外の球を大きな弧で引っ張ったくスイングであり、真ん中~内角を力強く巻き込んでも殆どファールになってしまう。「トップ」~「インパクト」までの軌道にロスがありますし、ボールを捉える際にも、バットの先端であるヘッドも下がり気味。きっちり捉えられる確率は、かなり低いと言えるでしょう。


<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げはありますが、目線はそれほど上下動はしていません。体の開きは、外の球を叩く時は我慢出来ているものの、懐が非常に窮屈なために真ん中の球でも足元がブレてしまいます。それだけ、「開き」を我慢できていないということになります。軸足は、地面から真っ直ぐ実に力強く安定。この内ももの筋肉の発達が、強烈な打球を支えているといえるでしょう。

(打撃のまとめ)

 癖のあるメカニズム、技術の未熟さから、現状打てる球が限られミスショットが極めて多いスイングになります。しかしボールを捉えるセンスは悪くなく、捉えた打球は強烈。このへんの精度を今後高めて行ければ、強打者として上のレベルでも目立つ存在になっても不思議ではありません。ドラフト候補と見た時に、確実性の問題は残りますが、合格レベルの打力はあると評価します。

(最後に)

 捕手に一番大事なのは、まずボールをしっかり捕れること。この条件は、充分に満たしています。あとは、スローイング等粗い部分が多いので、その辺をいかに夏までに高めて行けるのか?

 打撃に関しては、持っている資質は高いものの、まだそれを活かす技術には達していないということ。この辺もかなり癖のあるスイングなので、どう長所を伸ばしつつ短所を修正して行けるのか、難しい選択になりそう。

 こう考えると攻守に粗さが残り、ドラフト候補ではあるものの、夏までにスカウトを満足させるレベルまで引き上げるのは正直厳しいのではないのか? 結局は、中央の大学に進むことになるのかな?というイメージを抱いてしまいます。一応夏まで追いかけますが、高校からのプロ入りはちょっと厳しいのではと見ています。



蔵の評価:
追跡級!


(2015年 選抜)