15ky-11
宇草 孔基(法政大4年)右翼 185/83 右/左 (常総学院出身) | |
捉えた時の打球の迫力・抜群のスピード感あふれる走塁を見ていると、確かにポテンシャルの高い選手に見える 宇草 孔基 。しかしその潜在能力が、なかなか成績に反映されないもどかしさがある。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 一塁までの塁間を、左打席から3.9秒前後で走り抜ける脚力は、プロに混ぜても上位クラスの脚力。加速も速く、実際非常にスピード感を感じさせる選手なのだ。しかし3年秋に6盗塁こそ決めたものの、4年春は3盗塁・4年秋は2盗塁と自慢の走力を活かしきれていない。プロに入れば一番の売りは走力になるので、もう少し走力でも存在感を示してくれるとは思うのだが・・・。現状は、走力はあっても盗塁できる能力はあまり高くないか、あまり積極的に走って来ないかのいずれかだろう。 守備面:☆☆☆★ 3.5 打球への反応・落下点までの入り方・キャッチング・守備範囲と、けして下手な外野手ではありません。肩は強くはありませんが、元々内野手で動作も機敏ですし中継の内野手までは素早く送球できます。肩を活かす右翼よりも、中堅向きなのではないかと思うのですがどうなのでしょう。 (打撃内容) 真ん中~内角寄りの球を思いっきり引っ張るのは得意ですが、外角の球を強く叩けない物足りなさがありました。その辺を、秋に向けてどう変えてきたのか注目して見てみました。 <構え> ☆☆☆ 3.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは少し下げ気味に添えます。腰の据わり具合や全体のバランスとしては並だが、両眼で前を見据える姿勢は悪くありません。構え自体は、春からいじっていないように見えます。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下がる時に動き出しながら、投球動作に合わせてシンクロ。しかし本格的に動き出すのは、リリーフ直前と「遅すぎる仕掛け」なのは気になる材料。ここまで遅いと、日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、プロレベルの球に対応するのは厳しいのではないかと考えられます。始動のタイミングも春と変わっておらず、特に何かを変えようという意志は感じられません。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 足を軽く上げて、ベース側に踏み込むインステップ。始動~着地までの「間」がないので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。ただしこの選手、甘い球を逃さないということはできるタイプなので、この仕掛け自体が合っていないとは思いません。ただそれを使いこなすだけの筋力・ヘッドスピードがあるのかは疑問です。 ベース側に踏み出すように、外角への意識が強いのがわかります。春は踏み込んだ前の足がしっかり止まっていたのですが、この秋はブレて動いてしまいボールにエネルギーを伝えきれていませんでした。そのへんが、4年秋の打率が1割に低迷した原因かもしれません。しかし基本的なメカニズムは、春と同様です。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのが遅れがちで、速い球に立ち遅れないのか気になります。バットの振り出しは、インサイドアウトではなく大きな弧を描いてバットのしなりを活かせるスイングです。外角を捉えるのにはロスはなく、むしろ内角をさばくためにボールとの距離をある程度とらないとさばけないタイプです。 それでいて脇はしっかり閉じられてスイングするので、引っ張る打撃は得意なのだと思います。逆に腕を伸ばしきれずにいるので、外の球を強く叩け無いという矛盾するスイングで、今のままだと厳しいと考えます。インパクト後は、大きな弧を描く強打者スタイル。けしてこの選手は、アベレージヒッターなのではなく強打者タイプのスイングをしてきます。スイングも、春と変わっていませんでした。 <軸> ☆☆★ 2.5 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は小さめ。インステップすることで体の開きは抑え気味になっていますが、足元がブレて上半身と下半身のバランスが崩れてしまっています。したがって春良かった軸足の形も崩れてしまって、調子を崩していたことがよくわかります。 (打撃のまとめ) 春と打撃フォームはいじっていないのですが、上半身と下半身のバランスが悪くなっています。結果にこだわって強振する上半身に対し、下半身が負けてしまっていたのではないかと考えられます。残念ながら、春からの成長は感じられませんでした。 (最後に) 捉えた時の打球の破壊力と走力の潜在能力の高さ、元々持っている守備力の安定感と一定の水準にはあります。しかし彼を指名した場合に、まず打撃フォームを一から作り治せる指導力がある球団なのか? 持っている高い潜在能力を、引き出させられる環境にあるのかが求められます。さらに彼自身、何処まで自分を変えてゆこうという意志があるのかには疑問が残ります。 私は欠点を改善するのには、まだ2年ぐらいはかかると見ているので、個人的には「旬」ではないと判断します。もちろんプロの環境で彼の眠っている潜在能力が引き出されたり、短期間で欠点を改善できるセンスを秘めているかもしれません。しかしアマのプレーを見る限りは、少し時間が欲しいなといった選手で、春同様に評価は辛く指名リストからは名前を外したいという最終判断に至りました。 (2019年 高校JAPAN壮行試合) |
宇草 孔基(法政大4年)右翼 185/83 右/左 (常総学院出身) | |
春のシーズン4本塁打を放ち、存在感を示した 宇草 孔基 。しかし打席を見ていると、外の球を強く叩けていない気がするのは私だけだろうか? 大学からプロ入りを目指すのには、気になる部分である。ただし本塁打に関しては、右に左へとスタンドインさせることができる。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 一塁までの塁間は、左打席から 3.9秒前後 とプロでも上位クラスの脚力。本格的にレギュラーになった3年秋こそ6盗塁を記録したが、この春は3盗塁と図抜けて多く走ってくるわけではない。高校時代のレポートには、「相手投手の癖を、試合の中で読み取るセンス。そしてベース際でもスピードの落ちないスライディング、出塁すればすかさず盗塁する勇気など、実戦の中でこそ生きるタイプ。」と褒めただけに、もっと走れても良いはずだとは思っている。 守備面:☆☆☆★ 3.5 高校時代は二塁手でしたが、大学では外野手に転。打球への落下点までの入りも良く、大きな当たりに際しては一度フェンス側まで下がってから前に捕りにゆくという基本ができている。しいて気になるのは、肩があまり良くない点。 それでも何故中堅や左翼ではなく右翼なのかわからないが、高校時代同様地肩に関しては物足りなかった。 走力は 上の下 ぐらいのレベルにはありそうだし、守備も水準以上。ただし肩に関しては、プロの外野手としては物足りない印象が残る。 (打撃内容) 高校時代から、地面にワンバウンドしようかという球をヒットにする柔らかさに加え、甘い球逃さない「鋭さ」も兼ね備えていた。真ん中~内角寄りの球には強い印象だが、外角の球には対しては強く叩けていないように見える。 <構え> ☆☆☆ 3.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは少し下げ気味に添えます。腰の据わり具合や全体のバランスとしては並だが、両眼で前を見据える姿勢は悪くありません。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下がる時に動き出しながら、投球動作に合わせてシンクロ。しかし本格的に動き出すのは、リリーフ直前と「遅すぎる仕掛け」なのは気になる材料。ここまで遅いと、日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、プロレベルの球に対応するのは厳しいのではないかと考えられます。高校時代は「早めの仕掛け」を採用していたので、そういったタイミングでも打てないことはないのではないのでしょうが。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 軽くステップして、ベース側に踏み出して来るインステップを採用。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。甘い球も打ち損じない「鋭さ」がある選手だけに、こういったタイミングでも結果を残せたのではないのでしょうか。 ベース側に踏み込むように、外角を意識したスタイル。踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、低目の球や逃げてゆく球にも食らいつくことができます。ただしステップは狭めなので、意外に腰の回転を促し引っ張りを好む打者なのかもしれません。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのが遅れがちで、速い球に立ち遅れないか心配です。けしてインサイド・アウトのスイング軌道ではないのですが、脇を絞って振るので内角の捌きが苦手なわけでは無さそう。それでもインステップで踏み込むだけに、懐が窮屈なのは確かです。 バットの振り出しは、外の球に対しインパクトまでロスはありません。ただし外の球を叩く時に脇を絞りながら出してくるので、肘をしっかり伸ばし強く叩くことができていないように思えるのです。それでいてインパクト後は、大きな弧を描いてスイングします 一体どういうことかといいますと、おそらく左方向への打球も極めて引っ張る感覚で叩いているということ。それが結果的に、レフト方向に飛んでスタンドインしているのではと。意図的に、レフト方向へ流しているわけではないのではないかという気がします。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。身体の「開き」も我慢できているのですが、インステップして更にステップも狭い踏み込みなので内が窮屈に感じます。したがって外の球をきっちり叩けるスイングとは、少し違う気がするのです。しかし軸足の形は、大きくは崩れていません。そのため調子の波は、比較的少ないのではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) 内角~真ん中の球を強く巻き込むようなスイングなのですが、バットの出し方は外角の球をロスなく叩くような特殊なスイングになっています。それはある意味、打てるポイント、タイミングが限られているということであり、今のスイングでプロレベルの球に対応できるのか?という疑問は残ります。潜在的には当てるのも上手く良いものを持っていますが、メカニズム的にはプロ入り後スイングを修正しないと行けないかもしれません。 (最後に) 高校時代も評価しましたが、打つことと走ることには可能性を感じさせる選手です。しかし走力はあるが、そこまで盗塁をするわけではない。守備は下手ではないが、あまり肩が強くない。ボールを捉える能力はあるが、技術的には癖があるといった、決定打に欠けるタイプといった感じがします。そう考えると大学からのプロ入りはどうなのかな?という疑問も残り、個人的には社会人なのではないかと見ています。本当の意味で素質が開花するのは、社会人に進んでからなのかもしれません。秋も気にしては見ますが、現時点では指名リストに残そうとは思いませんでした。 (2019年 春季リーグ) |
宇草 孔基(常総学院3年)二塁 183/71 右/左 |
「走塁はプロ級」 180センチ台の大型内野手ながら、動ける身体能力と非凡な打撃センスに光るものがあった 宇草 孔基 。その可能性について、今回は考えてみた。 (守備・走塁面) この選手の最大の売りは、なんと言っても走塁。セーフティーバントを試みた時は3.75秒前後~多少緩めた時には4.15秒前後ぐらいだったことを考えると、恐らく正確な一塁到達タイムは、左打席から4.0秒前後(走塁偏差値58)ぐらいとドラフト指名選手では中の上レベルでしかない。しかしこの選手の走塁は、そういったタイム云々で判断されるべきではない。 相手投手の癖を、試合の中で読み取るセンス。そしてベース際でもスピードの落ちないスライディング、出塁すればすかさず盗塁する勇気など、実戦の中でこそ生きるタイプ。ちなみに新チーム結成以来の216打席で28盗塁を記録しているのだが、これをプロの規定打席である446打席に換算すると、1シーズンあたり58個のペースで盗塁していることになる。ましてプロの一番打者あたりとなれば、600打席ぐらい打席に立つのだから、1シーズンあたり78個ペースで走っていることになる。もちろんプロの投手のクィックや牽制の技術・捕手のスローイング能力を考えれば、こんなペースでは走れない。しかしそのぐらい驚異的なペースで、盗塁を決めているということはわかって欲しい。 課題は、二塁守備にある。ボールを正面にいち早く回り込もうとする丁寧な姿勢は感じられる。しかしスローイングやキャッチングを見ていても、どこか危なっかしい。新チーム結成以来の59試合で、11失策は多い。これをプロの144試合に換算すれば、シーズン27個計算。昨年、菊池涼介(広島)二塁手は、144試合で12失策だったことを考えると、高校レベルの打球でもその倍以上のペースでエラーしており、これは安定感が求められる二塁手としては厳しい。 (打撃内容) 地面にワンバウンドしようかという球をヒットにする柔らかさに加え、甘い球逃さない「鋭さ」も兼ね備えている。強打者ではなく、典型的なコースに逆らわない好打者タイプではないのだろうか。 <構え> ☆☆☆ 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。背筋をしっかり伸ばし、両目で前を見据える姿勢・全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。特に構えからは、隙なしの鋭さや凄みみたいなものは感じられません。 <仕掛け> 早めの仕掛け 投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターが採用するタイミング。 <足の運び> ☆☆☆☆ 始動~着地までの「間」は充分とれているので、速球でも変化球でも、いろいろなスピードの変化に対応しやすいはず。ベース側に踏み込んで来るインステップを採用しており、外角を強く意識していることがわかります。踏み出した足元はブレないので、外角の球をキッチリ叩くことができます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」の形を作るのには無理がなく、リストワークに力みが生じることなく準備が出来ています。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではありません。しかしながら、ミートポイントまではロスなく振り下ろされています。またバットの先端であるヘッドを下げることなく、上手く上体を残してボールを捌くことが出来ています。 特殊技術としては、ボールを呼びこむ際に一度グリップを下げてから振り出すこと。これは出来るだけレベルスイングを心がけて、多くのポイントでボールを捉えようとする技術。高校生で、こういったバット操作ができる選手は非常に稀。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げはありますが、目線はそれほど上下動していません。体の開きも我慢でき、軸足にも粘りが感じられます。 (打撃のまとめ) まだ凄みのあるスイング・隙なしの鋭さは感じられませんが、自分なりのこだわりを持って考えてプレーしていることが伝わってきます。非常に非凡なミートセンスを感じますし、グリップを下げてから振り出す特殊技術には関心します。素材としても、腕の使い方・膝の柔らかさに非凡なものを感じます。 その一方でインステップして強烈に踏み込み、スイングも外の球を捌くことに特化したスイングであるということ。これを逆の見方をすれば、内角を捨てているともいえ、いかに内角の球に対し対処できるかのかが今後のポイントになります。 特に左の好打者タイプだけに、最初の一歩目の走り出しがより求められるタイプ。更にアベレージを重視するスタイルなだけに、内角を捨てている今のスタイルは短期決戦では良いものの、何度も同じ相手と対戦する上のレベルの野球の場合、どう出るのか? という疑問は残ります。 (最後に) 非凡なミートセンスと、上のレベルでも興味深い走力の持ち主。それだけに、他の選手にはない特別な才能は感じます。しかし本当にこのスタイルで上のレベルでも通用するのか、好打者タイプにして守備の不安もあること。また肉体的にも「強さ」という観点では物足りないなどの不安な部分もあり、高校からプロに指名するのにはリスクが大きいと判断されないかと思うわけです。 一応夏まで追ってみたいとは思いますが、常識的な成長曲線を描いた場合、まずは有力大学などで実績を積んでから、あるいは適正を見てからという判断になるのではないのでしょうか。それでも改めて言いますが、打撃と走塁 には、特別な可能性を秘めているということは断言しておきます。 蔵の評価:追跡級! (2015年 選抜) |