15ky-11





宇草 孔基(法政大4年)右翼手の最終寸評へ







宇草 孔基(法政大4年)右翼手の春季寸評へ








宇草 孔基(常総学院3年)二塁 183/71 右/左 





                       「走塁はプロ級」





 180センチ台の大型内野手ながら、動ける身体能力と非凡な打撃センスに光るものがあった 宇草 孔基 。その可能性について、今回は考えてみた。


(守備・走塁面)

 この選手の最大の売りは、なんと言っても走塁。セーフティーバントを試みた時は3.75秒前後~多少緩めた時には4.15秒前後ぐらいだったことを考えると、恐らく正確な一塁到達タイムは、左打席から4.0秒前後(走塁偏差値58)ぐらいとドラフト指名選手では中の上レベルでしかない。しかしこの選手の走塁は、そういったタイム云々で判断されるべきではない。

 相手投手の癖を、試合の中で読み取るセンス。そしてベース際でもスピードの落ちないスライディング、出塁すればすかさず盗塁する勇気など、実戦の中でこそ生きるタイプ。ちなみに新チーム結成以来の216打席で28盗塁を記録しているのだが、これをプロの規定打席である446打席に換算すると、1シーズンあたり58個のペースで盗塁していることになる。ましてプロの一番打者あたりとなれば、600打席ぐらい打席に立つのだから、1シーズンあたり78個ペースで走っていることになる。もちろんプロの投手のクィックや牽制の技術・捕手のスローイング能力を考えれば、こんなペースでは走れない。しかしそのぐらい驚異的なペースで、盗塁を決めているということはわかって欲しい。

 課題は、二塁守備にある。ボールを正面にいち早く回り込もうとする丁寧な姿勢は感じられる。しかしスローイングやキャッチングを見ていても、どこか危なっかしい。新チーム結成以来の59試合で、11失策は多い。これをプロの144試合に換算すれば、シーズン27個計算。昨年、菊池涼介(広島)二塁手は、144試合で12失策だったことを考えると、高校レベルの打球でもその倍以上のペースでエラーしており、これは安定感が求められる二塁手としては厳しい。





(打撃内容)

 地面にワンバウンドしようかという球をヒットにする柔らかさに加え、甘い球逃さない「鋭さ」も兼ね備えている。強打者ではなく、典型的なコースに逆らわない好打者タイプではないのだろうか。

<構え> 
☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。背筋をしっかり伸ばし、両目で前を見据える姿勢・全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。特に構えからは、隙なしの鋭さや凄みみたいなものは感じられません。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターが採用するタイミング。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 始動~着地までの「間」は充分とれているので、速球でも変化球でも、いろいろなスピードの変化に対応しやすいはず。ベース側に踏み込んで来るインステップを採用しており、外角を強く意識していることがわかります。踏み出した足元はブレないので、外角の球をキッチリ叩くことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのには無理がなく、リストワークに力みが生じることなく準備が出来ています。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではありません。しかしながら、ミートポイントまではロスなく振り下ろされています。またバットの先端であるヘッドを下げることなく、上手く上体を残してボールを捌くことが出来ています。

 特殊技術としては、ボールを呼びこむ際に一度グリップを下げてから振り出すこと。これは出来るだけレベルスイングを心がけて、多くのポイントでボールを捉えようとする技術。高校生で、こういったバット操作ができる選手は非常に稀。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げはありますが、目線はそれほど上下動していません。体の開きも我慢でき、軸足にも粘りが感じられます。

(打撃のまとめ)

 まだ凄みのあるスイング・隙なしの鋭さは感じられませんが、自分なりのこだわりを持って考えてプレーしていることが伝わってきます。非常に非凡なミートセンスを感じますし、グリップを下げてから振り出す特殊技術には関心します。素材としても、腕の使い方・膝の柔らかさに非凡なものを感じます。

 その一方でインステップして強烈に踏み込み、スイングも外の球を捌くことに特化したスイングであるということ。これを逆の見方をすれば、内角を捨てているともいえ、いかに内角の球に対し対処できるかのかが今後のポイントになります。

 特に左の好打者タイプだけに、最初の一歩目の走り出しがより求められるタイプ。更にアベレージを重視するスタイルなだけに、内角を捨てている今のスタイルは短期決戦では良いものの、何度も同じ相手と対戦する上のレベルの野球の場合、どう出るのか? という疑問は残ります。


(最後に)

 非凡なミートセンスと、上のレベルでも興味深い走力の持ち主。それだけに、他の選手にはない特別な才能は感じます。しかし本当にこのスタイルで上のレベルでも通用するのか、好打者タイプにして守備の不安もあること。また肉体的にも「強さ」という観点では物足りないなどの不安な部分もあり、高校からプロに指名するのにはリスクが大きいと判断されないかと思うわけです。

 一応夏まで追ってみたいとは思いますが、常識的な成長曲線を描いた場合、まずは有力大学などで実績を積んでから、あるいは適正を見てからという判断になるのではないのでしょうか。それでも改めて言いますが、打撃と走塁 には、特別な可能性を秘めているということは断言しておきます。


蔵の評価:
追跡級!


(2015年 選抜)