15ky-10





福田 光輝(ロッテ)内野手のルーキー回顧へ







福田 光輝(法政大4年)遊撃 176/80 右/左 (大阪桐蔭出身) 
 




「もはや強打者」 





 大阪桐蔭時代は守備の人のイメージが強かった 福田 光輝 。しかし4年春のシーズンでは、打率.354厘(8位) 2本 13点 と、ドラフト候補に相応しいだけの打力を身につけつつあった。そして続くこの秋も、打率.333厘(5位) 1本 1点 と、好成績をキープした。大きな弧を描くスイングは、すでに強打者の匂いすらする。


走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁到達までは、左打席から4.1秒前後。ドラフト指名される左打者としては、平均的なタイム。1年春からリーグ戦に出場しながら、通算盗塁数はわずか1個。最終学年の間は、1つも盗塁を記録しなかった。走力は平均的でも、基本的に足でかきまわすタイプではないことがわかる。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 大阪桐蔭時代は、玄人を唸らせるだけの守備力がありました。いち早くボールの正面にまわり込み、自分が投げやすい体勢に素早く作る。そのため送球も乱れ難く、安定したプレーが実現できました。また土のグランドでも最後まで目を切らず、バウンドに合わせるのが上手い。そういった基本に忠実で丁寧なプレーが、信頼のおけるプレーにつながっていたと評していました。しかし最終学年のプレーを見ると、踏ん張りの効くような地肩が求められるプレーでもない場面でも、送球が乱れるケースを多々みました。このへんは、かなり今後に向けて心配な部分です。ボールを捕るまでは悪く有りませんが、捕ってからの送球に不安があることは否めません。


(打撃内容)

 相当バットを強振するようになったのですが、それでもリーグ戦で3割5分ぐらい打てるミート力はある程度評価して良いのではないのでしょうか。甘く入れば、スタンドまで飛ばせる長打力もついてきました。以前の「守備の人」というイメージは、完全に払拭されたとみて良いでしょう。その分、守備力が落ちた気も致しますが・・・。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高く添える強打者スタイル。腰は座らず直立し、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。春と構えは、変わっていないように見えます。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前から動き出す、「早すぎる仕掛け」を採用しています。このタイミングで動き出すと、まだ投手が投げるタイミングをズラすことができる段階なので、あまりオススメはできません。この始動のタイミングも、春とは変わっていませんでした。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を大きく引き上げて、軽くベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は充分取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。またアウトステップを採用していることからも、内角への意識が強いことが伺える。この点も春とは、全く一緒だった。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレずに止まっている。したがって低めの球や逃げてゆく球にも、食らいつくことができている。ちなみにこの秋は、36打数で11三振。三振比率は30.6%と、なかなか振ったバットがボールを捉えられなかったことが多かったことが伺われる。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を早めに作れているので、速い球にも立ち遅れる心配はない。この秋も明大1回戦で森下(明大)と当たって、2安打を放っていた。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではなく、むしろ大きな弧を描きバットのしなりを活かすスイング。それでも振り出しにはロスはなく、外の球に対してはバットの先端も下がらず思いっきり振って来る。

 36打数で四死球は僅か2個であり、四死球率は 5.6% と極めて低い。これはボールが見えていないというよりも、四死球で出ようというプレースタイルではないからだと考えられる。そう言えるのは、打率は3割以上を残しているから。ということで、甘い球は逃さず叩けているということなのだろう。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりにある選手なので、目線の上下動は小さくはない。それでも「開き」は我慢できており、軸足には粘りと内モモの強さが感じられる。これは、強烈な打球を生み出す原動力になってくる。

(打撃フォーム)

 春のフォームがしっくり来たのか? フォームは全くいじっていないのではないかと思われます。アクションが大きいすぎるので空振りも多いようですが、甘いゾーンは逃さないことで春・秋のシーズンで3割以上の成績を残している。またアウトステップさせて身体の回転を促すことからも、ホームランは引っ張って巻き込んだ時に観られるのではないのだろうか。いずれにしてもプロでも全く打てないとか、非力だということは無さそう。


(最後に)

 送球に不安があり、自慢の守備に陰りが見えるのは気になる材料。それとは反比例するかのように、打力が最終学年になって伸びてきた。絶対的な存在ではないが、大学からのプロ入りはニ遊間を担える素材という付加価値を考えれば充分にありだろう。指名リストに、名前を残してみたいと思わせる内容だった。


蔵の印象:
 (下位指名級)


(2019年 秋季リーグ戦)









福田 光輝(法政大4年)遊撃 176/80 右/左 (大阪桐蔭出身) 
 




「振れるようになってきた」 





 大阪桐蔭時代は、守備の人のイメージが強かった 福田 光輝 。しかし法政の主将となった最終学年では、バットの振り出しが鋭くなり打撃で存在感を示せるようになってきた。高校時代からプロ級だった守備力に加え、打撃が伸びてくれば指名も現実味を帯びてくる。


ディフェンス面:☆☆☆☆ 4.0

 いち早くボールの正面にまわり込み、自分が投げやすい体勢に素早く入る。そのため送球も乱れ難く、安定したプレーが実現できる。また土のグランドでも最後まで目を切らず、バウンドに合わせるのが上手い。そういった基本に忠実で丁寧なプレーが、信頼のおけるプレーにつながっていた。ただしプロのショートとしてはけして肩が強い方ではないので、難しい体勢からの送球は乱れることが多い。また高校時代に比べると、安定感というか繊細さが薄れてミスも目立つようになってきたのは気になるところ。プそれでもプロでニ遊間を担える資質はあると思うのだが、こういった選手はプロだとセカンドになってしまうことも少なくない。

走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁までの塁間は、左打席から4.1秒前後と平均的。3年間での盗塁数は僅か1個であり、この春もまだ盗塁は記録できていない。少なくても走力で、ガンガンアピールするタイプではないだろう。

 そういった意味では、走力・地肩などは平凡で身体能力は並といったところ。ショートを守れるという特殊能力を、何処まで評価するかに懸かっている。



(打撃内容)

 大阪桐蔭時代は、それほど強打者ではない割に、大きなスイングをする選手だったと記憶している。今は、体勢を崩してでもボールにぶつかって来る感じの打撃をしてくる。イメージ的には、 青木 宣親(ヤクルト)に少し似た感じ。この春は、7試合を消化した時点で、打率.375厘と打撃成績の上位に位置している。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを真上に引き上げて構えます。打席では突っ立った状態で、全体のバランス・両眼で前を見据える姿勢・腰の据わりなどは良いとは言えません。立った状態から、そのまま打撃動作に移行します。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前から動き出す、「早すぎる仕掛け」を採用しています。このタイミングで動き出すと、まだ投手が投げるタイミングをズラすことができる段階なので、プロレベルではこういった選手は極めて少ないはず。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を大きく引き上げて、軽くベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は充分取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。またアウトステップを採用していることからも、内角への意識が強いことが伺える。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレずに止まっている。したがって低めの球や逃げてゆく球にも、体勢を崩してでも体ごとぶち当てるような打撃を可能としている。


<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早く、速い球に立ち遅れる心配は少ない。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではなく、むしろ大きな弧を描きバットのしなりを活かすスイング。それでも振り出しにはロスはなく、外の球に対してはバットの先端も下がらずフェアゾーンに上手く落としてくる。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは大きいので、目線の上下動はそれなりにある。しかし体の「開き」は我慢できており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びていて体が思ったほど突っ込んでこない。比較的調子の波は、少ないのではないかと考えられる。

(打撃のまとめ)

 インサイド・アウトではないので、アウトステップをして懐を空けているのは窮屈になる内角の捌きをスムーズにしたいからなのでしょう。むしろ大きな弧を描いて、外の球を打ち損じないことを重視したスタイルです。特に外角の球を逃さず叩くことには大きな欠点はなく、以前よりも遠回りに出ていたスイング軌道も改善されました。

 特にバットを振り出してからインパクトまでが鋭くなり、甘い球を打ち損じせずに仕留められるようになってきました。高校時代は、大きなスイングをして打ち損じが非常に多かったのを思い出します。技術的には、確かな成長を感じます。



(最後に)

 今でもショートの守備は上手いのですが、走力・地肩が並のところをどうみるか? また以前ほど安定感や繊細さに陰りがみえ、ショートとしての魅力は薄れつつあります。打撃がダイナミックになるぶん、そのぶん守備が雑になっている気がします。

 ドラフト指名となると、球団の考え方次第で意見が別れるところ。ボーダーライン上の選手だと思いますが、育成枠でもプロにといったガツガツしたものがなければ、そのまま社会人などに進むことになるかもしれません。確かな成長は感じますが、春の時点ではプロ確実だという確信は持てていません。



蔵の評価:
追跡級!


(2019年 春季リーグ戦)





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福田 光輝(大阪桐蔭3年)遊撃 175/70 右/左





                  「ディフェンス力はドラフト級」





 こと守ることに関しては、高校球界でもトップクラスの遊撃手。その守備力は、まさにドラフト指名級だといえる。問題は、守備以外の部分との総合力。


(守備・走塁面)

 いち早くボールの正面にまわり込み、自分が投げやすい体勢に入るのが速い。そのため送球も乱れ難く、安定したプレーが実現できる。また土のグランドでも最後まで目を切らず、バウンドに合わせるのが上手い。そういった基本に忠実で、丁寧なプレーが、信頼感のおけるプレーにつながっている。けして地肩の強さなど、身体能力で魅了するタイプではない。地肩自体は驚くほど強くないが、プロの遊撃手としてはやや物足りないものの許容範囲ではないのだろうか。

 残念なのは、一塁までの塁間は4.35秒前後とプロの左打者としては物足りない。打撃で圧倒するタイプではないだけに、走力も出来れば欲しいところ。しかし新チーム結成以来の18試合で盗塁は0個と、足でアピールすることはない。





(打撃内容)

 どうしても打撃が弱いというか、対応力に課題があるように感じます。スイング自体見ていると、けしてひ弱な打者ではないのですが。何か技術的に大きな欠点がありそうなので、考えてみた。

<構え> 
☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップは高めに。腰の据わりは悪くないのですが、全体のバランス・両目での前の見据えるは並でしょうか。

<仕掛け> 平均的な仕掛け

 投手の重心が沈みきった、底のあたりで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。これはある程度の対応力と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターが多く採用するスタイル。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を引き上げ回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は平均的で、速球でも変化球でもそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。踏み出し足元はなんとか我慢できており、外角の球でも無理なく打ち返すことはできます。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、リストワークに固さは感じません。バットの振り出しの際に、けしてインサイド・アウトのスイング軌道ではありませんが、インパクトまでのロスは感じません。しかしボールを捉えるときに、バットの先端であるヘッドが下り気味で、ボールを広い面で捉えられず打ち損じの多いタイプ。

 インパクトからフォローまでのスイングも大きめで、けして好打者というよりは強打者という感じの大きなスイングをしてきます。もう少し好打者タイプならば、内からバットが出てきて、ロスのないスイングを目指して欲しいところ。しかし本人には強打者という意識が強いのか、そういったスイングにはなっていません。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げはありますが、目線は上下に動きません。体の開きも我慢でき、軸足にも粘りを感じます。軸には大きなブレがなく、その辺は問題を感じません。

(打撃のまとめ)

 大きな弧を描いた強打者のスイングをして来るのですが、ヘッドが下がったり、内からバットが出てくるタイプではないので、打ち損じたり確実性はけして高くありません。中学生時代までは、地元でもバリバリの強打者だったのかもしれません。そのため、どうしても大きなのを求めてしまっています。彼が今後生き残ってゆくためには、こういった意識を変えて行かないと厳しいのではないのでしょうか?

 けしてスイングが弱いから打てないとか、柔軟性に欠けるから捌けないとか、そういったことではないように思います。


(最後に)

 プロでもショートが担えそうな確かなディフェンス力は魅力も、肩・走力などでのアピール度は低く、現状打撃も弱い部分があり、高校からのプロ入りは厳しいかなと感じます。問題は、本人が自分の力量をどのぐらい自覚し、夏までにバッティングと真剣に向き合えるのか。それによって、今後の進路も変わって来るのではないのでしょうか。現状は、進学タイプだと捉えています。


(2015年 選抜)