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高橋 奎ニ(龍谷大平安)投手 178/71 左/左 |
「意外に実戦的」 選抜で見た時は、ストレートにもうワンランク上積みが見込めればと思って評価を保留にしていた 高橋 奎ニ 。しかし6月の練習試合の時に脇腹を痛め、夏の予選でも僅か 4回1/3イニングを投げて9失点で敗退するなど、参考にならないものだった。そこで改めて選抜の投球を見直し、最終寸評としたい。 (投球内容) 足を大きくクイッと引き上げる、ノーラン・ライアン風のフォームをして来るサウスポー。フォームは荒々しく見えるが、実はかなり実戦的な投手。 ストレート 135~140キロ強ぐらい 驚くような球威・球速はなく、球速以上に感じさせるキレで勝負する。しかしプロでの活躍を考えるならば、このストレートの上積みがもう少し欲しいところだった。そこを確認できないまま、高校生活を終えてしまったのは残念。 それでもストレートは、ストライクゾーンの中で、適度に散っています。時折甘いゾーンに入るなどアバウトな部分もありますが、大まか両サイドに散らすことはできています。 変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ この選手が素晴らしいのは、各変化球が低めに集まりやすいこと。真ん中~高めの甘いゾーンに浮くことが少なく、痛打を浴びるのは、ストレートのコントロールミスが殆ど。特にスライダーを使う頻度が高く、この球と速球を中心に組み立ててくる。絶対的な武器はないが、痛手を食らい難い投球ができている。 その他 牽制は左腕投手らしくそれなりで、カバーリングに優れたフィールディングも昨夏から光っていました。クィックは、使ったり使わなかったりで、使えば1.05~1.20秒ぐらいで、けして下手選手ではありません。むしろクィックを使ったり使わないことで、打者のタイミングをずらしたりと、かなり投手らしい細かいことも出来るようになってきました。 (投球内容) 選抜の時もレポートを作成しているので、その時と印象は殆ど変わりません。特に昨秋寸評を作成した時に、秋~春への上積みがあるのかという疑問がありましたが、ストレートに関しては目に見えての上積みはありませんでした。そして春~夏までの上積みも確認できなかったことは、ちょっと今後の成長力という意味では不安を残します。 ただし左腕にしては、意外に実戦的な投球ができるということ。そして選抜でも記したように、投球フォームにも大きな欠点がないところも魅力でした。 (最後に) 確かに実戦的な投手ではありますが、プロで活躍することを想定すると、ボールにワンランク球威・球速など勢いが物足りない点。技術的にも高校生としては悪くありませんが、あと一歩精度が高いコントロールが欲しい点など、不安な部分も残ります。 そう考えると多大な評価をするのは、ちょっと危険だなぁという感じはします。上手くハマれば面白い投手だと思いますが、そのためにはプロ入り後の成長というのが、一つ条件になります。そこが確認できなかったことが、唯一の心残りであり不安材料でありました。 蔵の評価:☆☆ (2015年 選抜大会) |
高橋 奎ニ(京都・龍谷大平安)投手 177/70 左/左 |
「ストレートに磨きかかれば」 昨夏彼を見た時に、あとどのぐらい上積みが残っているのかが一番の心配の種だった。実際一冬越えての印象は、ストレートには大きな変化が観られなかったということ。しかしそれ以外の部分で、成長を感じさせる部分がなかったわけではない。 (投球内容) 足を勢いよく大きく引き上げるライアン風のフォームは健在で、その辺はあまり変わってはいない。 ストレート 135~MAX140キロ 昨夏は140キロを越えていたストレートも、センバツではMAXで140キロがやっと。昨年の方が、もっとボールに勢いを感じたし、球筋も全体に低めに集まっていた。センバツの浦和学院戦では、ボールがバラつき高めに抜ける球も少なくなく、かなり暴れていた印象は否めない。しかしこれは、センバツ緒戦ということもあり、出きればもう一試合観てみたかったというのが率直な感想。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ・カットボール 圧倒的にスライダーとのコンビネーションで、左腕らしいブレーキの効いたカーブ・それにカットボールのような球も覚えピッチングの幅は広がった。右打者外角低めに決まるチェンジアップも悪くなかったと記憶するが、この試合では殆ど観られず。それでも変化球は、高めに浮いて来ないで低めに集まるところは良いところ。 その他 牽制は左腕投手らしくそれなりで、カバーリングに優れたフィールディングも昨夏から光っていました。クィックは、使ったり使わなかったりで、使えば1.05秒前後と高速であり、けして下手選手ではありません。 むしろクィックを使ったり使わないことで、打者のタイミングをずらしたりと、かなり投手らしく細かいことも出来るようになってきました。 (投球のまとめ) ボール自体に目に見えた成長はなかったのですが、間を変えたりして細かい投球術を行うなど、だいぶ投手らしくなっています。そういった意味では、昨夏よりも幅が出来てき、先発投手らしい投手に変わってきました。 また打ち難い変則派でもあり、ボール以外の部分は素直に評価します。問題は夏までに、もうワンランク・球速・キレを追求してくれると、高校からのドラフト指名も意識できる選手になるのではないのでしょうか。 (投球フォーム) あんまり投球自体が変わっていなかったので、フォームは変わっていなかったかと思ったら、結構いじっていて驚きました。 <広がる可能性> ☆☆☆ 昨夏は引き上げた足を地面に向けて伸ばしていたのですが、今春は高い位置でピンとは伸ばせています。その分バランスを取るために、かなり二塁側に足を送り込むので、それほどお尻が三塁側(左投手の場合は)に落とせているわけではありません。 「着地」までの粘りは、むしろ昨夏の方が良かった感じで、この春はだいぶオーソドックスになっていました。その分体を捻り出す時間は短くなり、変化球のキレは鈍ったかもしれません。しかしかなり特殊な動作をしている選手なので、その落とし所は、本人のみぞ知るという感じで、着地のタイミングをどう判断するかは難しいところ。昨夏よりもいろいろな変化球を投げられる下地は出来たものの、キレ・曲がりに反映されているかは微妙だと言った感じでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ グラブは最後まで内に抱えられるようになり、両サイドの投げ分けは安定。足の甲の押し付けも出来ており、もう少し低めにストレートが集まってよかったのでは?という気は致しました。「球持ち」もよく、実際はもう少しコントロールも良いはずだと思ったのですが・・・センバツ緒戦を見る限り、むしろ荒っぽくなっていました。 <故障のリスク> ☆☆☆ 変則ゆえに何処に負担がかかっているのかわかり難いのですが、お尻の落としは悪くないだけに、肘への負担は少なそう。腕を振り下ろす角度には無理がないのですが、かなり腕は外旋して顔と腕の角度が広がり過ぎており、その分肩で投げるような感じになっていないかと気にはなります。力投派のフォームでもあるので、消耗が大きいのは確かでしょう。疲れを貯めて、思わぬ故障に注意したいところ。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 「着地」までの粘りは昨夏の方が良かったものの、体の「開き」は抑えられ「球持ち」も良いので、打者としては相変わらず厄介なフォームであることは変わりません。 振り下ろした腕は身体に絡んできて、速球と変化球の見極めは困難。ボールにも適度に体重が乗せられているように見えますが、もう少し打者の手元まで来て欲しいなぁという印象は受けました。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」のいずれもに悪いところがなく、かなり実戦的なフォームだと言えます。コントロールを司る動作自体も悪くなく、故障のリスクも極端に問題があるようには思えません。 (最後に) 目に見えて何か大きく変わったわけではないのですが、フォームはかなりいろいろいじってきていますし、投球はかなり投手らしくなってきました。そういった地味な部分での成長は観られており、夏までにキレや球速がワンランク増すことを期待してやみません。実際そうなれば、3位前後で指名されても全然不思議ではないでしょう。果たしてドラフト戦線の面白い存在になりえるのか、夏まで追いかけてみたいと思わせる選手でした。 蔵の評価:追跡級! (2015年 センバツ) |
高橋 奎ニ(京都・龍谷大平安)投手 176/65 左/左 |
「力投派でありながら、実戦派」 今どき珍しいぐらいに足を高く引き上げて来る力投派でありながら、ピンチでも動じない強心臓、それを裏打ちするだけの技術がこの選手には備わっている。2015年度の左腕の中でも、現時点では全国でも指折りの存在だろう。 (投球内容) 独特の上下動の激しいフォームから、テンポよくどんどんと投げ込んできます。 ストレート 130キロ台後半~140キロ台前半 ビシッとした球がキャッチャーミットに収まるわけですが、比較的ボールも低めに集まる傾向にあります。両サイドに散りつつも低めに集まるので、ボールの勢いだけでなく、なかなかつけいる隙を与えません。それでも時々高めに浮くので、その球を打たれるケースが目立ちます。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ 主に横に大きく曲りながら軽く沈むスライダーとのコンビネーションで、右打者にも左打者にも、この球と速球で投球を組み立てます。その他にもっと緩いカーブもありますが、それほど多くは投げません。右打者外角に沈むチェンジアップがあり、この球が一番三振が奪える球種となります。 変化球も比較的低めに決まるので連打は喰らい難いですし、チェンジアップは上手く低めのゾーンで空振りを誘えます。カーブなどをもう少しアクセント・緩急として活かせると、中々的が絞り難い投手ということになるのではないのでしょうか。 その他 牽制は、左投手ながらそれなりといった感じで、走者の足止は出来そう。フィールディングは、キャッチングよりもカバーリングの速さが光ります。クィックは、1.15~1.20以内であり、ほぼ基準レベルといえるのではないのでしょうか。 (投球のまとめ) 微妙なところを突くコントロールがあるとか、投球の駆け引きが上手いとかそういったタイプではないものの、威力のあるボールを比較的低めに集められるコントロールがあり、中々相手につけいる隙を与えないピッチングが光ります。 この時期の高校生としては充分合格ラインですが、夏までに更に伸び残されているのかには疑問が残ります。その辺の心配を払拭してくれる成長を魅せてくれれば、中位前後での指名は充分期待できるのではないのでしょうか。 (投球フォーム) かなり個性的なフォームですが、技術的にはどうなのでしょうか? 考えてみましょう。 <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足を地面に向けるので、お尻は三塁側(左投手の場合は)には落ちません。そういった意味では、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種には適しません。 しかしながら中々地面を捉えない粘りがあるので、体を捻り出す時間は確保出来ています。こうなるとカーブやフォーク以外の球種ならば、良い変化球を身につけられる可能性は広がります。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは最後まで内にしっかり抱えるタイプではないので、それほど細かい投げ分けは出来ないかもしれません。しかし実際には、適度にボールは両サイドに散っているように見えますので、それほど悲観しなくても良いのかも。 足の甲の地面への押し付けはそれなりで、ボールも低めに集まることも少なくありません。かなりの力投派なので指先の感覚の部分では不安が残りますが、四死球を出すような荒っぽさは感じません。 <故障のリスク> ☆☆ お尻が落とせないことは、カーブもフォークも殆ど投げないので悲観することはないでしょう。しかしグラブを持っている腕は下がり、ボールを持っている腕は上がるような腕の振りであり、ボールの送り出しという意味では肩への不安が残ります。更に力投派であり上下動も激しいので、腰への負担含めて疲労を貯めやすいタイプかもしれません。そういった意味部分は、長いスパンで観た時は少し気になります。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 中々地面を捉えない特殊なフォームのため、打者としてはタイミングが計り難いのでは? 体の「開き」もそれなりに抑えられており、甘いゾーンに来なければ痛手は喰らい難いタイプかと。 腕を非常に強く振れるので、速球と変化球の見極めは困難。踏み込んだ足が多少突っ張って体重移動を阻害しているようにも見えますが、体重の乗せ具合という意味では悪くないように見えます。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」までの粘りが特徴で、他の部分は平均的といった感じがします。故障のリスクが高いフォームなのは気になりますが、コントロールを司る動作は悪くありません。 (最後に) ボールの勢いだけでなく、低めに集まりやすい球筋、打ち難いフォームなど、推せる材料が揃った選手。更に気持ちの強さも兼ね備え、現時点では全国の高校生で最も気になる左腕だと言えます。 あとは、夏までに更なる上積みが期待できるようだと、高校からの指名も現実味を帯びて来るのではないのでしょうか。今後も期待してその成長を、待ちたいと思います。 (2014年夏 甲子園) |