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佐藤 世那(オリックス)投手のルーキー回顧へ







 佐藤 世那(仙台育英3年)投手 180/84 右/右





                     「夏までに一番伸びた男」





 春から夏にかけて、今年最も伸びた選手はと訊かれれば、私は迷わず 佐藤 世那 だと応える。その成果は、甲子園でもチームを決勝に導き準優勝。更にU18のワールドカップで、予選のアメリカ戦に完封勝利し、チームのエースとして君臨した。そんな佐藤の、この夏の成長を追ってみる。

(投球内容)

 テイクバック大きくとり、肘が突っ張って投げるアーム式。この忌み嫌われるフォームでも、実績を残すことで周りを納得させてきた。

ストレート 常時130キロ台後半~MAX146キロ

 春からの成長は、球速よりもボール質の変化にある。神宮大会~センバツの間にもその片鱗は伺えたが、この夏は更にベース板を通る時のボールの強さが力強くなってきた。秋まではキレ型の球質が、センバツ~夏へとどんどん球威型へと変わってきている。

 それだけ相手打者のバットを押し返すような、プロ仕様の球質へと変貌。センバツの頃は球筋がバラつき、ストレートのコマンドの低さが気になったが、かなり両サイドに意図的に投げ分けられるようになってきた。別の言い方をすれば、少々甘いところに投げても、相手が打ち損じてくれる球になっている。

変化球 スライダー・フォーク・カーブ

 春までは抜けることが多かったスライダー、カットボールのような小さな変化ながら手元で鋭く曲がるようになってきた。フォークは、スリークオーターの腕の振りのせいか、ストンと綺麗に落ちることは少ない。どちらかというと、少し流れてシンカー気味という感じになることも。それでも、春よりも精度も落差もワンランク磨きがかかったのでは。カーブもアクセントに時々交えるが、それほど投球の中では、大きなウエートは占めてない。

その他

 クィックは1.15秒前後と平均的で、牽制やフィールディングにも破綻はない。パッとマウンドを外したりと、「間」悪くなると一息入れる、そういった余裕とセンスはある。この辺は、経験豊富でありマウンド捌きは悪くない。

(投球のまとめ)

 速球も変化球も、精度・質に確かな成長が感じられます。甲子園では途中からヘロヘロで、どうなるかと思いました。それでも大崩れしない、精神力の強さ・基礎体力の確かさには目を見張るものがあります。

 どうしても故障しやすい、疲労が蓄積しやすいフォームなのは気になりますが、その心配を払拭させてくれる大会でもありました。アーム式でプロ側の評価が、パフォーマンスほど評価されないかもしれません。しかし能力的には、全国でも上位の投手だと言えるでしょう。



(投球フォーム)

 神宮大会~センバツにかけては、大きなフォームの変化はなく、パワーアップに終始して一冬越えてきたのがわかりました。この夏のフォームを改めて考えてみましょう。

<広がる可能性> 
☆☆☆☆

 引き上げた足を、比較的高い位置でピンとは伸ばせています。そのためお尻を一塁側に落とすことができ、体を捻り出すスペースは確保できています。フォークやカープといった球種を投げても、無理は感じません。

 「着地」までの足の逃し方も悪くはなく、体を捻り出す時間を確保。そのためカーブやフォーク以外の球種でも、モノにして行ける下地はあります。アーム式は、むしろ通常のフォームよりも独特の変化することが多く、変化球は悪くありません。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定。しかし足の甲での地面の押し付けが遅く、どうしても力を入れて投げる、ボールが上吊りやすい傾向にあります。まして腕を外からブンを振ってくるフォームゆえに、球筋はバラつきやすくコントロールはアバウトになりがち。どうしてもその傾向は、彼にも出ています。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻は落とせるので、カーブやフォークといった球種に無理は感じません。そういった意味では、肘への不安はそれほどありません。

 しかし腕がしならずブンと強引に振ってくるフォームであり、肩への負担は否めません。とくに登板間隔や投球過多になると、通常の投手よりも疲労は溜まりやすいはず。そのため、プロでもこのフォームで、どこまで体が持つのかの心配は否めません。

<実戦的な術> ☆☆☆

 「着地」までの粘りも基準レベルあり、体の開きも大きなテイクバックを取ることで、ボールの見やすさを防ぎます。そのため、それほど見やすいフォームとも言えないでしょう。

 腕は強く振れていますので、速球と変化球の見極めは困難。ボールへの体重の乗せも、充分というほどではないのですが、悪くはありません。


(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に大きな欠点は感じません。しいていえば、「球持ち」を含む、指先の感覚はあまり良くないのかなと。

 足の甲の押し付けの甘さから来るコントロールの甘さと、アーム式ゆえの肩への不安は、どうしても否めません。この辺が、彼のフォームの不安な要素でしょうか。基本的には、秋からフォームは大きくいじってはいないようです。

(最後に)

 春~夏への確かな成長もあり、指名ボーダーレベルから、志望届けを出せば指名されるレベルにまで引き上がってきた感じがします。特にフォーム的な不安はありますが、それを補ってあまりある意識の高さ・精神力の強さというのが、この選手にはあります。

 甲子園や国際大会での活躍の割には、ドラフトでの評価は低いかもしれません。しかしそれゆえに低い順位にまわれば、美味しい指名になり得るとも言えるでしょう。個人的には、中位指名ぐらいでいけるとは思います。しかし、プロがどのような評価を下すのか気になるところ。まさに今が伸び盛り、連投を気にせず投球をしたら、どんなパフォーマンスを魅せてくれるのでしょうか。


蔵の評価:
☆☆☆


(2015年 U18ワールドカップ)



 









佐藤 世那(仙台育英3年)投手 180/76 右/右 





                    「球威はついてきたが」





 明治神宮大会から一冬越えて、ボールの質がどのように変わってきたか注目された 佐藤 世那 。神宮大会の頃と比べると、球速が目に見えて速くなってはいなかったが、ボールの質はワンランク重く力強くなった気はする。

(投球内容)

ストレート 130キロ台後半~MAX144キロ

 この球速は、神宮大会で残したものと殆ど同じ。手元でグ~ンと伸びるような球質でもなければ、ピュッと切れる感じもして来ない。しかし秋よりも、ミットに収まるときにズシリとした重みが加わり、若干ではあるが球威が増した印象を受けた。

 どうしても肘が突っ張ったアーム式のフォームのためか、伸びのある球は中々望み難いのが現状。気になったのは緒戦の緊張というのもあったのかもしれないが、ボールの球筋が安定しないコマンドの低さ。これは昨秋も感じられたことだが、この緒戦では余計にそういった傾向が際立っていた。それでも試合中盤ぐらいから、元来ぐらいの粗さには修正されつつあったのだが。基本的にこの投手は、ストライクゾーンの外に外にボールは散るものの、かなりアバウトなタイプだといえよう。

変化球 スライダー・カーブ・フォーク

 昨秋よりも、よりフォークボーラーの傾向が強くなりました。元々スライダーが抜けて、この手のスリークオーターにしてはスライダーに良さがない投手でした。その分、沈みの小さなフォークでカウントを整えたり、沈みの大きなフォークで空振りを誘ったりと、この二種類のフォークを自在に使い分けられるようになっていました。そのフォークもストンと落ちるような感じではなく、むしろシンカーのような沈み方をしますが、イニングとほぼ同数の奪三振を奪えるようになっています。

その他

 秋には鋭い牽制は観られなかったものの、この選抜では鋭く投げられるようになっていました。クィックは、昨秋同様に1.0~1.1秒ぐらいと素早く、まずまずの上手さ。さすが強豪校で育てられているだけに、そういった点でも抜かりはありません。

(投球のまとめ)

 一冬越えてガラッと大きく伸びたわけではないのですが、非常に緩やかな成長は感じます。コントロールのアバウトさは気になるものの、若干のストレートの質の向上により、夏まで追いかけてみようかなと思えるものはありました。高校からのドラフト指名となると、もうワンランク夏までの上積みは欲しいものの、これからも注目してみる価値はあるのではないのでしょうか。

(最後に)

 投球フォームに関しては、オフに取り上げた時と全く変わっていませんでした。そういった意味では、技術的には殆どいじらないまま、この一冬を過ごしたことがわかります。明治神宮大会での優勝を自信に、パワーアップを中心に取り組んできたことが伺われます。

 そういった地道なトレーニングを積み上げてきたとするならば、その成果が明らかになって来るのはこれからかもしれません。夏の予選・甲子園でワンランク上の投球を示すことが出来たならば、高校からの指名も現実味を帯びてきそうです。


蔵の評価:
追跡級!


(2015年 選抜)










 佐藤 世那(仙台育英2年)投手 180/76 右/右





                   「ほとんど西山 一宇」





 佐藤世那のフォームを観て思い出されるのが、かつてNTT四国から巨人にプロ入りした 西山 一宇 。典型的なアーム式投手と言われた西山のフォームを、この 佐藤 世那 も受け継いでいる。


(投球内容)

 秋の神宮大会優勝投手にして、この大会で一番のパフォーマンスを魅せたのが、この 佐藤 世那 ではないのだろうか。

ストレート 常時135~MAX144キロ

 ボールそのものに物凄く手元グ~ンと伸びるとか、ピュッとキレるようなものは感じられません。しかし秋の大会の時点で、140キロ前後を連発できるスピード能力は、一冬越えた成長次第ではドラフト候補に入ってきても、不思議ではない能力の持ち主であることはわかります。ストレートは甘いゾーンに入らず散ってきますが、それほど細かいコントロールはなさそう。

変化球 スライダー・フォーク・カーブなど

 変化球は、曲りながら沈むスライダー、それにもっと緩いカーブ、あとはチェンジアップだかシンカーだか、それともフォークが抜け気味なのか?シュート回転して沈むボールを持っている。

 特に曲りながら沈むスライダーが抜けることが多く、まだ決まる時と抜ける時の差が激しい。またカーブはそれほど投げて来なく、フォークのような沈む球のコマンドは高いが、ドロンとしていて空振りを誘うような球ではない。

その他

 それほど、鋭い牽制は観られず平均的。クィックは、1.0秒前後と高速で、この部分では評価できます。

 微妙な出し入れや、駆け引きの上手さは感じませんが、ポンポンとテンポよく投げ込んで、自分のリズムに相手を引き込むのは上手いのではないのでしょうか。

(投球のまとめ)

 まだまだ投げ込むボールの威力・変化球の精度に絶対的ものはなく、一冬越えてどのレベルにまでなっているのか気になるところ。現状は、有力大学などに進むタイプかなあという印象はうける。しかし成長次第では、ドラフト候補としてマークされる存在になるはず。すべては、春までのレベルアップにかかっている。





(投球フォーム)

では投球フォームを分析して、今後の可能性を考えてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆☆

 引き上げた足は比較的高い位置でピンと伸ばせており、お尻は一塁側に落ちています。そういった意味では体を捻り出すスペースは確保できており、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦の変化にも適したフォームだと言えるでしょう。

 「着地」までの足の使い方を見ると、適度に足を逃がすことができ、体を捻り出す時間は確保出来ている。カーブやフォークだけでなく、いろいろな球種を習得しピッチングを広げてゆくことは充分可能ではないのだろうか。

<ボールの支配> ☆☆☆

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドにボールが散りやすい。しかし足の甲の地面への押し付けが完全に地面から浮いてしまっており、ボールが上吊りやすい欠点がある。それを「球持ち」の良さで補っている、そんな特殊なフォームだと言えるでしょう。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆

 お尻は落とせているので、カーブやフォークといった球種を投げても、故障の可能性は少ないと考えられる。振り下ろすの腕の角度もスリークオーターであり、送り出しに無理は感じない。

 ただし肘がしならないアーム式なので、その分負担が大きなフォームであるのは確か。日頃からケアは、充分意識して取り組んだ方が良いだろう。


<実践的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは適度にあり、打者としてはそれほど合わせやすくはないだろう。また体の「開き」は平均的で、コントロールを間違わなければ、痛手を食う可能性は低い。

 腕は強く振れており、身体に絡んで来る。速球と変化球の見極めは、難しいと言えるであろう。しかし足の甲の押し付けが浮いてしまっているので、ボールには適度に体重が載せられているように見えるが、実際のところはどうだろうか? 打者の手元まで勢いがあまり感じられないのと、球威があまりないのは、この足の甲の押し付けが浮いてしまっているからではないのだろうか。


(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」「着地」に優れ、「開き」は平均的。「体重移動」には、足の甲が押し付けられていない分課題を残す。

 制球を司る動作も足の甲野押し付けができていない点が気になるが、現状は故障のリスクが低いフォームなのは推せる材料。首とボールを持っている腕の角度が開き過ぎているので、ボールが上手く制御出来ていない可能性も感じられる。



(最後に)

 神宮大会NO.1投手が、ドラフト戦線でも突っ走るのか気になるところ。ある程度のまとまりと実戦力はあるので、これに上手くパワーが混ざって来ると面白い素材ではある。たとえ高校からプロに行かなかったとしても、アマの王道路線を突き進む可能性は高く、今後も末永く野球界に影響力を与えてゆく存在ではないのだろうか。


(2014年 神宮大会)