15kp-32
野澤 佑斗(つくば秀英)投手 180/68 右/左 |
「スリークオーターだよね」 サイドハンドと表現する人もいるけれど、この選手の腕の位置はいわゆるスリークオーター。それでも少し肘の下がった腕の振りから、キレのある球を投げ込んで来ると訊きます。私自身、この選手の投球を見たことがないので、今回はレポートのしようがありません。したがって訊いている情報と、投球フォームだけは確認できたので、そこからこの選手の特徵を考えてみます。 (投球内容) 夏の緒戦・日立工業戦に先発して、5回を無安打・7奪三振奪うも、5四死球だったということで、コントロールに難がある可能性を感じます。ちなみにこの試合のMAXは、139キロだったのだとか。 続く2回戦の土浦日大戦でも先発しますが、2回2/3イニングで、7安打・3四死球で4失点して早々降板。ここからは、打たれだすと止まらない単調さと、コントロールのアバウトさを伺い知ることができます。 現状は、MAX144キロと言われるキレのある球に光るものがあるものの、単調で一辺倒な投球に課題があるように見受けられます。変化球は、スライダーとのコンビネーション。他に、ツーシームも取得したという話が。あくまでも現時点では、実戦力に欠け素材が光るというタイプなのではないのでしょうか。 (投球フォーム) 投球に関しては、伝わっている情報のみを書きつられました。ここからは、実際の投球フォームを分析して、可能性を模索したいと思います。 <広がる可能性> ☆☆ 引き上げた足を地面に向けて伸ばし、お尻は一塁側には落とせません。したがって体を捻り出すスペースは確保できず、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種には適さない投げ方。 「着地」までの粘りはそれほどないので、体を捻り出す時間も確保できず。そのため変化球のキレ・曲がりというものが物足りなく、武器になるほどの球を身につけられるかは微妙。基本的には、スライダー・チェンジアップ系、それに手元で小さく変化する、カットボール・ツーシーム・スプリットなどの球種で、ピッチングを広げてゆくことが求められます。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ グラブは最後まで内にしっかり抱えられていますし、足の甲でも地面を捉えることはできています。ボールも前で放せており、どうしてそんなにコントロールが悪いのか? フォームを観る限りはわかりません。それほどフォームが大きくブレているようにも見えませんし、今後下半身ができてくれば、もっとコントロールが安定して来るのではないのでしょうか? あとは、指先の感覚をもっと意識し磨くことが求められます。 <故障のリスク> ☆☆☆ 話を訊く限り、お尻は落とせないもののカーブやフォークなどを投げないようなので、肘への負担は少ないのでは? 腕の送り出しもスリークオーターであり、肩への負担は少なそう。それほど頑強な身体つきには見えませんが、リリーフとしてはタフな活躍が期待できるかもしれません。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りに欠け、打者としては合わせやすそう。また体の「開き」も早く、コースを突いたような球でも打ち返されてしまう危険性を感じます。 その一方で、腕はしっかり振れており、速球と変化球の見極めは困難。ボールにも適度に体重が乗せられており、着地は早くても体重移動ができていない選手ではありません。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち「開き「」「体重移動」では、「着地」「開き」に課題があり、合わされやすいことが課題。その反面、「球持ち」「体重移動」などは悪くなく、ストレートの質の良さを感じます。 制球を司る動作自体は良く、故障のリスクも少なそうと推せる材料も少なくありません。相手に嫌がられることを意識し、フォームや投球を追求して行けば、将来的には面白い投手だと思います。 (最後に) なるほど結果が示す通り、ボールのキレ・勢いはありそうなものの、単調な配球、甘いコントロール、合わせやすいフォームなども相まって、まだまだ実戦での投球に課題があることが伺えます。 しかし素材としては面白味のある選手であり、今後の導き次第では大化けしても不思議ではないでしょう。ソフトバンクの環境・育成力も考えると、また面白い選手を獲得したのではという期待は高まります。どう転ぶかはわかりませんが、ちょっと期待して見守ってみたい選手でした。 |