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三好 大倫(中日)外野手のルーキー回顧へ







三好 大倫(23歳・JFE西日本)外野 179/82 左/左 (三本松出身) 





 「投手としてしか覚えてない」





 三本松時代は、四国屈指のサウスポーとして注目された 三好 大倫 。私自身もその時寸評を作成し、 の評価を高校時代下した選手だった。高校卒業後、社会人野球に進む3年間芽が出ず。4年目に外野手に転向し、才能が花開き始めた。そして野手転向2年目にして、ドラフト指名を勝ち取るまでになったのである。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、左打席から4.05秒前後で到達。これは、ドラフト指名される左打者としては若干速いぐらいで、中の上 ぐらいの脚力と見るべきだろうか。出塁すれば盗塁を試みるが、絶対的な脚力ではないものの、そこそこの俊足ではありそうだ。

 また守備練習や昨年の日本選手権の模様を見る限り、左翼手ではあるが打球への反応・追い方も悪くなく、けして下手だから左翼をやっていたわけではないように見えた。肩も投手として140キロ前後ぐらいは投げられていた投手であり、弱いということはないのだろう。中継する野手への返球は見られたが、思いっきり送球する場面は確認でなかったので、ハッキリとは掴めなかった。

 守備・走塁に関してはハッキリとは掴めていないが、見た感じでは走力も適度にあって、守備力も悪く無さそうといった感じだった。
ただ地肩含めて、プロで売りにするほどなのかには疑問も残った。また野手転向2年目ではあるが、高校時代は中堅手としても、結構出場していた選手だったようだ。


(打撃内容)

 昨秋の日本選手権では、2番・レフトで出場。強打者というよりは、左右に打ち返す好打者といった感じだった。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足のカカトを軽く浮かしています。グリップの高さは平均的で、腰の据わり・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと並ぐらいでしょうか。

<仕掛け> 早すぎ

 投手が重心を沈め始める前から動き出す、「早すぎる仕掛け」を採用。ここまで早く動きだすと、投手がまだ投げるタイミングを変えられる段階なので、フォームを変えてタイミングを狂わされる恐れが生じてしまう。動き出すのであれば、投手の重心が沈み始めてからの方が崩され難い。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を軽く上げて、ベース側に踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分あるので、速球でも変化球でも幅広く対応しやすい。逆に早く地面を捉えてしまい、まだボールが到達していなく、下半身だがけロックされた形で手打ちになってしまう恐れもある。

 ベース側に踏み出すように、外角を意識したスタイル。ただし左の好打者がインステップしてしまうと、一塁への走り出しが遅れるぶん、率が残り難いというデメリットもある。できればこういったタイプは、まっすぐ踏み出すぐらいが良いのではないかと。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めている。ただし速い球に立ち遅れないように、「トップ」を作るのが遅れないようには注意したい。

 バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではありません。しかし外の球をさばく時には、大きなロスはありません。またバットの先端であるヘッドも下がってはいないように見えるので、打球はフェアゾーンには飛びやすいのではないかと。インパクトを見ていても、けしてボールに角度をつけて飛ばすタイプでは無さそうです。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれほど激しくなく、目線の上下動は並ぐらい。身体の開きは我慢できており、軸足にも粘りが感じられます。レフト方向に、無理なく流せる原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 始動が早すぎるのは気になるのと、好打者の割にインステップして踏み込んで来るので率が残り難いのではないかと感じます。上半身も下半身の使い方も、大きなロスはありません。悪い部分はさほどないものの、突出したものもあまり見つかりませんでした。


(最後に)

 守備・走塁・打撃技術と、中の上 といった感じで一定のレベルにはあります。また打撃に関しては、特筆すべき点は少ないのではないかと。そういった意味では、プロに混ぜた時に特徴が見いだせず埋もれてしまわないかという恐れはあります。果たしてプロ入り後、自分の特徴をどうアピールして行けるのか? そこまでの資質があるのか? という部分を気になります。個人的には、社会人所属の選手ゆえに本会議での指名になりましたが、限りなく力量は育成枠レベルなのかなと感じました。


(2020年 プロ・アマ交流戦)


 








三好 大倫(三本松3年)投手 176/76 左/左 
 




 「指名あるかもね」





 MAX144キロを誇る左腕だということだったが、この夏の香川大会では常時135キロ前後といった感じだった。緒戦の香川中央戦での出来は悪かったが、甲子園出場を決めた寒川戦では彼の持ち味は出ていたのではないのだろうか。その球速表示以上に、ボールには勢いが感じられる。


(投球内容)

セットポジションから、ゆっくりと高く足を引き上げてきます。

ストレート 常時135キロ前後

 球持ちがよく、ボールにしっかり体重が乗っているので、135キロ前後でもボールに勢いを感じます。もしこのようなフォームで、140キロ台をコンスタントに投げられるようになったら、かなり厄介な投手だと言えるでしょう。

 あまり細かいコントロールはないのですが、両サイドに散らすコントロールはあります。時々高めに抜けたり、右打者に打ち返される場面がしばしば見られたのは気になりました。

変化球 スライダー

 夏の大会を2試合ほど見ましたが、変化球は殆どスライダーとのコンビネーションでした。他にも緩いカーブやフォークなどもあるようですが、私が見た感じではよくわかりません。特にスライダーのキレに特徴はないのですが、ストレートに勢いがあるので、この球でも三振を奪えていました。

その他

 打力があり野手としての才能がとも思うのですが、牽制・フィールディング・クィックなどはどれも上手くありません。特にクィックは使わないことも多く、野手として見た時もどのポジションを任せられるかには不安が残ります。そういった意味では、野球センスや運動神経に優れたタイプではないのかもしれません。

(投球のまとめ)

 正統派サウスポーですし、まだまだ良くなりそうという期待は抱きます。しかし投球以外の部分や意外に苦になく捉えられてしまうところに、不安を覚えなくもありません。特に左腕といえ常時135キロぐらいというのは、物足りない数字ではあります。

 そういった意味では、指名されるにしても上位や中位といったことはなく、下位指名だろうなという気はします。昨年香川から指名された 塹江 敦哉(高松北-広島4位)左腕よりはまとまっていますが、スピード能力では大きく見劣りします。





(投球フォーム)

今後の可能性について、投球フォームの観点から考えてみましょう。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしているので、お尻は三塁側(左投手の場合は)には落とせません。そういった意味では、カーブで緩急をつけたり、フォークのように縦に鋭く落ちる球種には適さないでしょう。

 また「着地」までの粘りもさほどではなく、体を捻り出す時間も充分とは言えません。そういったことからも、今後武器になるほどの変化球を身につけられるかは微妙で、伸び悩む可能性はあります。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブの抱えが甘く、両サイドの投げ分けもアバウトに。足の甲の押し付けも、まだ充分というほどではありません。それでも「球持ち」が良いので、ある程度のところにはコントロールできるようです。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻が落とせない割に、カーブ・フォークを持ち球にしているようですが、夏の大会を見る限り投げていなかったので、悲観するほどではないのかもしれません。

 振り下ろす腕の送り出しには無理がないので、肩への負担は少なそう。普段はそれほど力投派ではないので、消耗も大きくはないように見えます。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りはさほどないので、打者としては苦になり難い。しかし体の「開き」は抑えられており、コースを間違わなければそれほど痛打を浴びないのでは? しかし香川中央戦では、右打者の外角高めの球をことごとく打ち返されていました。

 腕はしっかり振れて、投げ終わったあと身体に絡んで来ます。ボールへの体重の乗せは、踏み込んだ足が早めにブロックして体重移動を阻害しており、まだ発展途上との印象。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「体重移動」に物足りなさはありますが、「球持ち」「開き」は悪くありません。

 現時点ではそれほど故障のリスクは高そうではなく、コントロールを司る動作も、もう少し甘さを改善できれば、悲観するほどではありません。実戦的とはまだ言えませんが、今後充分に改善できる許容範囲だと言えます。


(最後に)

 現時点では発展途上の選手ですが、今後しっかりした指導を受ければ、まだまだ良くなる可能性を秘めています。左腕ですし、そういったものに賭けてみたいと思う球団が出てきても不思議ではありません。下位から育成ぐらいの評価になると思いますが、個人的には面白い選手ではないかと思います。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2015年夏 香川大会)