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大城 滉二(オリックス)内野手のルーキー回顧へ







 大城 滉二(立教大4年)遊撃 175/71 右/右 (興南出身)





                    「完全に勘違いしていた」





 大城 滉二 が、毎シーズン安定して成績を残すのは、ものすごく意識が高く、常に高いところに目標を設定し、精神的にも安定しているからだと思っていた。しかし彼に注意を傾けると、むしろ天性の感覚でプレーをしている、天才肌のタイプであることがわかった。彼は物凄く考えてとか、常に高みを目指すとかそういったタイプではなく、持って生まれた感覚で今までの成績を残してきたタイプだと私は考えるようになった。

 興南高校時代は、島袋洋奨 の一学年下ながら、9番打者として春・夏連覇のメンバーとして活躍。最終学年では、3番・遊撃手として中心選手にはなっていたが、個人的にはそれほど惹かれるものはなかった。立教大に進んでからは、この4年春まで毎シーズン3割以上をマーク。しかし彼のことに注目するようになったのは、3年秋ぐらいからではないのだろうか。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間を、右打席から4.25~4.4秒ぐらいで走り抜けて来る。これを左打者に換算すると、4.0~4.15秒ぐらい。数字的には中の上レベルだが、この数字以上に盗塁を決めて来る。3年春・秋には、共に9盗塁ずつ決め、走力を全面に出してプレーしていた。打撃が不調になった今季は、3盗塁にとどまったが。走力自体は中の上レベルでも、実戦で走れるタイプの選手であり、プロ入り後も走塁を全面に出してくる可能性は高い。
 
 遊撃手としては、派手な動きで魅了するタイプではない。しかし地肩もまずまずで、スローイングが乱れないし安定感のあるプレーヤー。プロの遊撃手としては微妙なラインだが、二塁手としてならば素早い動作の切り返しやスピード感もあるので、面白いのではないのだろうか。

 スゴイ身体能力の持ち主でもないし、正直派手さはない。しかし実戦にゆくと、守備でも走塁でも打撃でも力を発揮するという、試合感覚の良さを持っている。それを何より感じさせるのは、打撃ではないのだろうか。


(打撃内容)

 ボールを呼びこむ感じは 坂本 勇人(巨人)のようで、スイング軌道は 平田 良介(中日) のような選手です。かなり独特の感性の持ち主であり、技術云々よりも感覚で打っている感じがします。

<構え> 
☆☆

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを非常に高く添える独特のスタイル。背筋を伸ばし全体のバランス独特で、両目で前を見据える姿勢も良いとは言えません。構えとしては、かなり癖があります。まぁこれで結果を残してきた選手なので、現状直す必要はないとは思いますが。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下がるときには動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは典型的なアベレージヒッターが採用する仕掛けであり、彼は対応力重視の打者であることがわかります。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 早めに足を引き上げて、まわしこんで真っ直ぐ踏み出します。始動~着地までの「間」は充分あり、ボール線で捉えることができ、いろいろな球種に対応できる打ち方。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも幅広く対応。踏み込んだ足元もブレないので、外角の厳しい球や逃げてゆく球にも開きを我慢して対応できます。

 このことからも、スピードの変化、コースへの対応ができ、どんな球にもついて行ける打ち方になっています。ある意味感覚だけでやっているプレーヤーでも、抑えるポイントは抑えているので、安定した成績を残せてこられたのではないのでしょうか。

<リストワーク> 
☆☆☆

 体を動かしながら、その流れでボールを捉えるタイプ。しかし今シーズンは、打撃の準備である「トップ」の形に入るのが、全体的に遅れていたように思います。打者が不調になる要因の殆どは、

1,始動がいつもより遅れて鈍くなっている

2,体の開きが我慢できずに早くなっている

3,体が突っ込んで、軸が崩れている

のいずれかであることが殆どです。

 バットを振り出す際に、肘が下がって腰が早く開いて逃げてゆくタイプ。典型的な巻き込み型のスイングでありながら、足元がブレずに我慢できているので、開きをある程度のところまでで抑えることができます。インパクトまでのスイング軌道にはロスがあるのですが、バットの先端であるヘッドは下がらずにレベルスイングを維持。このことにより欠点であるフォームを上手く修正しながら、ボールを捉えているわけです。かなり特殊なメカニズムなので、よほど引き出しの多い指導者じゃないと、狂った打撃を修正できないかもしれません。あとは、本人がどれだけ自分の欠点を理解し、修正できる術を身につけるかにかかっています。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げはありますが、それほど上下動は大きくなく平均的。体の開きは我慢でき、軸足もそれなりに安定はしています。

(打撃のまとめ)

 どんな球やコースにもついて行ける下半身がある一方で、特殊なメカニズムの上半身の動きを兼備。それが、彼独特の打撃を生み出していると言えます。そういった感性の素晴らしさは、まさにプロの素材。あまりチマチマ型にハマった指導をするチームよりも、個性を尊重して資質を伸ばしてくれる球団に入れると面白いと思います。

 特殊な資質という部分をあえて上げるならば、非常に膝を柔らかく使える。ここは、彼の優れた資質だと言えるでしょう。


(最後に)

 身体能力が図抜けているというよりは、走攻守すべてにおいて実戦でこそ生きる特殊な感性を持っているということ。これは、まさにプロで生きてゆく上では大切な要素であり、それを潰さない環境で今まで野球ができたことが大きかったように思います。

 プロでも同様のことが言えると思いますが、二番あたりにこういう理屈じゃない選手、それでいて優れた感性を持った選手がいたら、これは大変厄介ではないかと。細かいことができる器用さがあるかはわかりませんが、上手くハマると面白いと思うですけれどね。今年の六大学の野手は当たり年ですが、その中でもこの選手に一番心惹かれるものがありました。


蔵の評価:
☆☆☆


(2015年 春季リーグ戦)
 









大城 滉二(立教大3年)遊撃 175/71 右/右 (興南出身) 
 




                    「すべてに安定感がある」





 ここまでの3年間の通算安打は94本であり、高山 俊(明大)を追う存在。特に通算打率が.347厘にのぼり、入学以来3割を割ったことがない安定感。それは打撃だけでなく、守備や走塁にも現れている。高山のような派手さはないが、実に堅実に数字を刻んで来る。それだけ常に気持ちを安定させ、高い意識で取り組んできた証ではないのだろうか。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間を、右打席から4.25~4.4秒ぐらいで走り抜けて来る。これを左打者に換算すると、4.0~4.15秒ぐらい。数字的には中の上レベルだが、この数字以上に盗塁を仕掛けて来る。特に3年春・秋は9盗塁ずつ記録しており、足というのが一つ彼の明確な武器になっている。

 遊撃手としても、派手さはないが実に安定している。打球への反応、バウンドなどの合わせ方、スピード感もそれなりにあり、スローイングも安定。驚くような地肩の強さはないが、身の丈にあった堅実なプレーを見せてくれる。プロに混ぜても、ニ遊間で勝負できる選手ではないのだろうか。


(打撃内容)

 それほど長打はないが、センター中心に右に左へと幅広く打ち返す打者という印象はあります。特に膝のクッションが柔らかいのが、この選手の好いところ。

<構え> 
☆☆☆

 スクエアスタンスで、グリップを高く添えるのが特徴。お尻は殆ど沈まず背筋を伸ばし、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢としては並でしょうか。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下る特に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。典型的な、アベレージヒッターの打ち方だと言えます。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を軽く浮かし、地面をなぞるように回し込みます。始動~着地までの間は充分取れており、速球でも変化球でも幅広く対応。真っ直ぐ踏み出すので、内角でも外角でも幅広く捉えられます。踏み込んだ足元ブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも喰らいつけます。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのは、少し遅れ気味です。一定レベル以上の速球のスピード・キレのある投手に、少し立ち遅れる危険性は感じます。バットの挿入角度もそれほど良くないのですが、途中から脇をグッと絞ることでバットの先端であるヘッドが水平になり、広い面で捉えられるレベルスイングでコンパクトに振りぬくことができます。

<軸> 
☆☆☆☆

 
足の上げ下げが静かなので、目線が上下に動かず安定。体の開きも我慢でき、軸足も大きく崩れず綺麗に回転出来ています。

(打撃のまとめ)

 
特に凄みを感じるようなスイングではないのですが、高い技術を活かしヒットを連発します。上手く肘がたためるところと、膝が柔らかいなど、特殊技術を持っているのが彼の強味。今のレベルでも、プロで全く打てないということはなさそう。あとはもう少し、スイングに力感、訴え欠けて来るものが欲しいかと。

(最後に)

 
守備・走塁・打撃、全てにおいて高いレベルでまとまっており、常に安定しています。こういった選手で過去に思い出すのは、法政からプロ入りした 大引 啓次(オリックス~日ハム~ヤクルト)遊撃手。彼の大学時代に、どことなくダブルものがあります。大引も何か凄いというわけがあったわけではないのですが、数字を見るとどのシーズンでも高いレベルで安定し、守備も堅実でした。大城も、まさにその系統の選手かと思います。最終学年も3割5分前後の成績を残せば、2,3位ぐらいで消えると思いますし、春に4割以上なんて爆発力を魅せたら、更に評価が上がるかもしれません。プレッシャーのかかる最終学年でも、この安定感を維持・向上させることができるのか注目したいですね。


(2014年 秋季リーグ戦)










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