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柿沼 友哉(ロッテ)捕手のルーキー回顧へ







 柿沼 友哉(日大国際関係学部)捕手 180/82 右/右 (誠恵出身)





                    「気にしてなかった」





 今年の夏、東海地区の大学リーグは、選抜チームを作って毎年恒例の巨人との交流戦を行っている。私もこの試合を観戦していたわけだが、この試合の途中から 柿沼 友哉 は出場していた。しかし当時私は、この選手のことをノーマークだったので、彼に対するメモは殆ど残っていない。たまたま目的の投手を撮影していた時に、投球練習後の二塁への送球に彼を撮影していたこと。知り合いから、スイングを収めた動画を提供してくれたことで、今回なんとかレポートを作成できることになった。


(ディフェンス面)

 あくまでも投球練習時のプレーしか確認できないが、大まかのことはわかった。意外にドカッと深く腰を下ろす構えであり、これでは次の動作への移行が遅れるのではないか?そんな、不安がよぎる。更にコースを逸れた球に対し、腕だけを伸ばして処理しようとするので、本当に予期せぬところに来た球に対しては厳しいだろうなと。全身でボールを止めにゆこうとしないキャッチャーは、投手から信頼され難いだけに気になる。

 イニング間送球なので、それほど素早くは投げ込んでいなかった。それだけに、スローイングの参考となるほどのものはない。しかし塁間1.7秒台に到達すると言われるスローイングは、まさにそれだけでプロに指名されたと言っても過言ではない。実際本気で投げた時の送球の記憶がないだけにハッキリは言えないが、これだけはチームに入っても指折りだということなのだろう。スカウトからは、肩・スローイング・リード面を評価しているとのコメントが残っている。


(打撃内容)

 打席も2打席ほど見ているはずだが、正直記憶に残っていない。春は、リーグ戦で.303厘、秋は、.231厘 と確実性はともかく、当たれば強烈な打球を放ち、スタンドインできるパンチ力も秘めているという。そういう、体の強さは持っているのだろう。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を軽く引いて、脇を閉めグリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスとよく、構えは理に適っていて大きな欠点は見当たらない。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手がリリースを迎えるあたりで動き出す、「遅すぎる仕掛け」を採用。これだと始動が遅すぎて、打てるポイントは極めて限られてしまう。日本人の筋力・ヘッドスピードだと、どうしてもこのタイミングでの始動では厳しくなる。

<足の運び> 
☆☆☆

 チョンと小さくステップして、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの時間がないので、完全に点の打撃になってしまう。そのため狙い球を絞って、その球を逃さない「鋭さ」が求められる。

 軽くアウトステップするように、内角の球に意識があることがわかる。それでも踏み込んだ足元はブレないので、甘めの外角球や外角でも高めの球ならば、対応できるのではないのでしょうか。問題はその時に、無理に引っ張りにかからないことができるのかが重要だと考えられます。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、特に遅れたり力みは感じられません。バットの振り出しは、脇を閉めて構えるように、外を強く叩くことよりも内角を綺麗に振りぬくことに主眼が置かれているのではないのでしょうか。それでもインパクトの瞬間には、バットの先端であるヘッドは下がらず、広い面でボールを捉えられています。広い面でボールを捉えられれば、ボールがフェアゾーンに落ちる確率は上がり、打ち損じが少なくなります。

 スイングの孤はけして大きくなく、フォロースルーも使いません。これを観る限り、強い打球で野手の間を抜けてゆくタイプだとわかります。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げが殆どないので、目線の上下動の動きは少なめ。体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びてスイングできています。そのため体が突っ込むこともなく、その場で軸回転でスイングできています。

(打撃のまとめ)

 始動の遅すぎを幾分緩和してあげれば、上半身・下半身・軸は良いので、確実性も改善されるのではないのでしょうか。スイングや打球は強そうなので、けしてひ弱な打者ではないはず。独特の脆さとか粗さを、いかに改善して行けるのの選手だと考えられます。


(最後に)

 実際生で見た時になんとも感じなかった選手なので、じっくり見ていても指名リストに入れたのかは疑問です。特にキャッチングを含めたプレースタイルが雑な部分があり、キャッチングを第一に重視する私のスタンスからは、評価できたとは思えません。

 しかしスカウトの言うように、肩・スローイングが図抜けているのならば、育成での指名はありなのではないのでしょうか。更に打撃が思ったほど悪くなかったので、その辺で上手く導けば可能性がない選手ではないように思います。できれば来年は、イースタンの試合などで、その勇姿を確認してみたいです。


(2015年 プロアマ交流戦)