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山本 泰寛(巨人)内野手のルーキー回顧へ







山本 泰寛(慶応大)内野 176/76 右/右 (慶応義塾高) 
 




                       「足も速い」





 キビキビした動きの守備ばかりが注目されるが、一塁までの到達タイムを見る限り、今年のドラフト候補でもトップクラスの走力があることがわかった。そんな高い身体能力を秘める 山本 泰寛 について改めて考えてみる。


(プレースタイル)

 安定した動きを魅せる遊撃守備が売りで、この秋は1番・遊撃手として活躍。3本塁打を放つなど、パンチ力も秘めているところも魅力の一つ。


(走塁面:走塁偏差値62)

 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.03秒ぐらいと極めて速い。これを、ドラフト指名された右打者で偏差値化すると、62 と上位なのがわかる。偏差値60というのは、上位15.9%以内であるわけですから、この数字は指名された選手でもかなり上位であることがわかる。

 しかし4年間のシーズンで、1番多いシーズンでも3盗塁が最高。シーズン通して0盗塁の時もあり、けして盗塁でバシバシ揺さぶって来るタイプではない。せっかくの走力が宝の持ち腐れになってしまっているのだが、プロで生き残る道を模索した時に、もっと走塁でアピールして来ることは十分予想される。それだけの走力を、この選手秘めている。

(守備面)

 最大の売りは、いますぐにでも一軍で信頼を得られるだろうレベルにある遊撃守備。ボールへの入りも素早く、1つ1つの動きにメリハリが効いている。打球への反応~キャッチング~スローイングと、実に無駄がない。地肩も基準レベル以上のものがあり、特にプロレベルでも問題はないだろう。





(打撃内容)

 六大学通算.261厘と、けして対応力が高い選手ではない。試合に常時出られるようになってから3割を越えたのは、2年秋の.313厘 というのが一度あっただけで、あとのシーズンは2割5分前後で推移している。しかし通算7本塁打を放つように、ボールを捉えさえすれば、遠くに運べるリストの強さを持っている。

<構え> 
☆☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えている。腰の据わりも深く、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢も悪くない。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。典型的な対応力を重視した、アベレージヒッターの仕掛け。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足をしっかり引き上げて、ベース側にインステップ。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でも対応する余裕がある。しかしながらタイミングを図るというよりは、大きく足を引き上げて強く踏み込むことを重視したスタイル。始動が早い割には、それほど合わせるのが上手い打ち方ではない。

 ベース側に踏み込んで来るように、外角を強く意識しているのがわかる。踏み込んだ足元もブレないので、外の厳しい球や低めの球にも、開きを我慢してついてゆけるはず。その分、内角の捌きが窮屈になる弊害も生まれる。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、リストワークは柔らかく使える。しかしバットの先端であるヘッドが、バットの重みに負けて下がって振り出されるので、どうしてもインパクトまでの軌道が遠回りになりがち。バットが内から出てこないので、内角の捌きは苦手なのではないのだろうか?

 それでもボールを捉える時のインパクトでは、下がっていたヘッドは上がってきて、広い面でボールは捉えられている。そのためドアスイングというほど、極端な軌道にはなっていない。ヘッドスピードも鋭く脆い部分はあっても、非力ではない。

 ボールを捉えてからも、けしてスイングの弧が大きいとか、フォロースルーを使って上手くボールを運んでいるわけではない。それでもボールが飛んでゆくのは、リストが強いからだとも言えます。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げは大きいので、目線の上下動は平均的。身体の開きは我慢できており、軸足も大きくは崩れていない。

(打撃のまとめ)

 バットの振り出しが改善されれば、対応力を改善して行ける可能性は増すはず。また現在は、内角の捌きに課題がありそうなので、その辺をいかに修正できるのか? 意外な長打力があるのが魅力で、常時試合に出られるようだと、ホームランは結構放つのではないのだろうか。打撃は弱いが、非力なのではなく、脆い・粗いから。

(最後に)

 役割的には、ポスト 寺内 崇行(巨人)的なものを想定して、獲得した選手ではないのだろうか。そういった内野のユーティリティプレーヤーとしての活躍は、充分に期待できる。

 イメージ的には、高い守備力がありながら意外なリストの強さがあった 進藤 達哉(大洋-現DeNAヘッドコーチ)の現役時代を彷彿とさせる。もしポジションを与えられれば、年間二桁本塁打に到達するような、パンチ力を魅せてくれるのではないのだろうか。

 あとは、高い走力も秘めているので、プロで全面にそれが出てきそう。現時点での守備力の高さ&持っている走力は、まさにプロ級。あとは対応力の低い打撃を、どこまでプロ入り後改善できるか?。役割や特徵は明確なので、こういう指名も下位指名ならばありかと。個人的にも、指名リストに名前を残してみたい選手だった。



蔵の評価:
 
(指名の最後の方ならば)


(2015年 秋季リーグ戦)