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 樋越 優一(ソフトバンク)捕手のルーキー回顧へ








 樋越 優一(東農大オホーツク)捕手 180/89 右/左 (千葉経大附出身)
 




                 「手抜きのないプレーに好感」





 父親は、東農大オホーツクの監督という、コネ入団ではないかと揶揄する向きもあるかもしれないが、プレーヤーとして中々好感の持てる選手、それがこの 樋越 優一 。チームの4番・捕手という重責を担いながらも、大きな体を揺らしながら全力でベースカバーに走る姿には好感がもてる。


(どんなプレーヤー)

 この秋は、1本 10打点 打率.406厘(5位) の好成績で、リーグMVPを獲得。全国大会での経験ほう豊富で、投打にバランスのとれた捕手との印象が強い。


(ディフェンス面)

 大きな体を小さく屈め、ミットを大きく魅せることで狙いをつけやすくしています。そういった投手の気持ちを汲み取ったり、審判に低め球筋をできるだけ見やすいように構えるところからも、気遣いのできる捕手との印象を受けます。

 グラブを地面に下げるような癖もなく、ワンバウンド処理にも立ち遅れる心配はありません。大型ですが、打球への反応も素早いですし、全力で一塁のベースカバーに入ります。時々低めの球を上から被せに行ってしまう捕球が見られますが、ボールに力負けしない押し込みもできており、キャッチングに関してはプロでも平均レベル。

 リードに関しては、特に可もなし不可もなしといった感じか。スローイングは、1.9秒強ぐらいで、地肩も含めてプロの捕手としては平均ぐらい。しかし大学選手権では、見事走者の滑り込んでくるところにコントロールできていました。

 特に際立つものは感じませんが、捕手らしい気遣いできるタイプ。それにプレーに雑なところがなく、その点では首脳陣や投手からも、信頼をしてもらう選手ではないかと思います。





(打撃内容)

 体付きを見るとパワフルですが、打球が上がるタイプには見えません。あくまでも野手の間を、強い打球が抜けてゆくタイプの強打者ではないのでしょうか。

<構え> 
☆☆☆

 前の足を引いた左オープンスタンスであり、グリップを高めに添えます。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並ですが、両目で前を見据える姿勢は悪くありません。ボールの球筋を、錯覚を起こすことなく追うことができます。

<仕掛け> 早すぎ

 投手が足を引き上げる段階で、自分も動き出してしまいます。そのためまだ、投手がモーションで狂わすことが可能な段階であり、タイミングをずらされてしまいます。

<足の運び> 
☆☆☆

 始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でも対応しやすいはず。特に球種によって、足を下ろすタイミングを図っているので、スピードの変化には強いでしょう。ただしフォームで投げるタイミングを変えて来るような投手に対しては、始動が早過ぎる分苦労するかもしれません。

 ベース側にインステップするように、外角を強く意識していることがわかります。踏み込んだ足元もブレないので、外の厳しい球や低めの球を、キッチリ捉えることができます。踏み込む分、内角の捌きが犠牲になりますが。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは、自然体で悪くありません。リストを柔らかく使えるので、問題ないでしょう。バットの振り出しも、けしてインサイド・アウトではありませんが、外角の球を叩くまでにロスがありません。外の球には、無駄なくスイングすることができています。

 ボールを捉える時もヘッドが下がらず、広い面でボールを捉えれるタイプ。そのため率は残しやすい反面、打球はあまり上がらないように見えます。すなわち、強い打球で野手の間を抜けてゆくタイプなのでしょう。

 ボールを捉えてからも、大きな弧を描くとかフォロースルーを使うということはなく、最後まで振り切るタイプのスイングです。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は小さいはず。そのため両目の見据え同様に、球筋を錯覚を起こすことなく追うことができます。

 足元もブレないので、体の開きも我慢。軸足も地面から真っ直ぐ伸びており、大きく崩れることがありません。すなわち自分からボールを追って、体が突っ込むことは少ないと考えられます。

(打撃のまとめ)

 始動が早過ぎるのを、投手の重心が沈みはじめるまで我慢できるようになれば、あとは気になる部分はありません。ボールを的確に捉えるだけの技術に優れますし、技術的にはかなり完成されているイメージさえあります。

 強打者の割に、長打力の点ではどうなのか?という部分はありますが、捕手なので気にする必要もありません。捕手として必要な打力はあるだけに、どのぐらいプロでもやれるのか気になります。しいていえば、内角の捌きがどうなのかな?という不安はよぎります。


(最後に)

 実際指名されるまで気にしたことがない選手なので、ピンと来るものはなかったのでしょう。それも今年の大学選手権だけでなく、過去何度か見てきたはずの選手ですから。

 しかし良く見ると、中々好感の持てるプレースタイル。打撃技術もしっかりしていますし、育成枠ならばありの選手ではないのでしょうか。指名リストに載せようという程の魅力は感じませんでしたが、ソフトバンクという環境でどのぐらい個性を発揮できるのか注目したいですね。全く気がつきませんでしたが、想像以上に良い選手でした。


(2015年 大学選手権)