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宇佐見 真吾(巨人)捕手のルーキー回顧へ








宇佐見 真吾(城西国際大)捕手 180/89 右/左 (市立柏出身) 





                  「阿部慎之助みたいだね」





 憧れの選手を 阿部 慎之助(巨人)捕手と公言するように、宇佐見 真吾 のプレーは阿部を彷彿とさせるものがある。ドラフト候補として注目された今春、全日本代表合宿である平塚合宿で送球を顔面に受けてしまい、2ヶ月の自宅療養を強いられる重症。春のリーグ戦は出場せずに、実戦復帰したのは大学選手権の舞台であった。


(ディフェンス面)

 投手にしっかりミットを示し、的をつけやすくする。グラブを地面に降ろす癖もなく、更に打球への素早い反応で低めへの対応も悪くない。ボールの押し込みも良いので、ミットが持ってゆかれることもなく、コースに決まれば審判の手も上がりやすい。キャッチング全体に関しては、なるほどドラフト候補と呼ぶに相応しい。

 相手の裏をかくリードセンスも、この大会では光った。スローイングも捕ってからの反応、地肩もまずまずで、塁間1.85秒前後とプロでも中の上の部類。気になるのは、構えている時から腰をドカッと下ろし過ぎている点と、動作全体がやや重苦しいところにある。この辺は、プロの指導で体重移動しやすい形を学ぶべきではないのだろうか。

 もう一つ気になったのが、流通経済大に面白いように走られたところ。投手が完全にモーションを盗まれたりもしていたのだが、牽制を入れる指示を徹底したり、もう少しランナーの足を止める工夫が必要だったのではないのだろうか?その辺が少し、プレーが淡白だった気がする。それでもディフェンス全体で見れば、図抜けた素材ではないにしろ、プロでやれる力の持ち主だと評価できる。


(打撃内容)

 2年春に.405厘をマークして、リーグ2位の成績。しかしそれ以外のシーズンは、毎シーズン3割前後と地方リーグでも図抜けた数字を残しているわけではない。ホームランもシーズン1,2本程度であることが多く、際立った長打力はない。将来は、野手にコンバートした方がとさえ思わせた 阿部慎之助の中大時代に比べると、打撃のスケールではかなり劣る。

<構え> 
☆☆☆

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは高め。腰の据わり具合、全体のバランス、両目で前を見据える姿勢は平均的で、阿部にソックリだという以外は際立つものは感じられない。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下り始めるときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。典型的な、アベレージヒッターの仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を引き上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でも、スピードの変化には対応しやすいはず。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも同じように捌きたい意志の現れ。踏み込んだ足元はブレないので、外の厳しい球でも、開きを我慢して叩くことができます。大学選手権緒戦の西南学院大戦でも、第一打席に泳がされながらもレフト前にポテンヒットを放ちました。ああいうバッティングができたのも、足元がブレず我慢できたことが大きかったといえるでしょう。

<リストワーク> 
☆☆☆

 早めに捕手方向にグリップを引いているので、打撃の準備である「トップ」の形は早く作れます。そのため速い球にも、立ち遅れる心配がありません。その反面グリップを引いて構えていると、リストワークに遊びがなくなり、あまり柔軟な打撃がし難くく打てる球が限られてしまう傾向にあります。

 バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトの軌道ではありません。しかし「トップ」~「インパクト」までの軌道は、外の球を叩くことに関しては問題なし。ボールを捉えてからも、大きな孤やフォロースルーで打球を遠くに運びます。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げはあるので、目線の上下動は平均的。しかしながら体の開きも我慢でき、軸足も大きくは崩れません。

(打撃のまとめ)

 際立つ凄みや技術はありませんが、大きな癖もないフォーム。阿部慎之助のような、天性の内角の捌きはありませんが、外角の球について行ける、打撃の基本はできています。プロの環境に馴れ、意識を打撃の方にも傾ける余裕が生まれれば、数字もそれなりに残せるようになっても不思議ではありません。しかし現状、打撃が売りの捕手ではないと言えます。


(最後に)

 攻守にバランスが取れており、数少ない大学からプロ入りを期待できる素材。特に今年は、大学・社会人の捕手が不足していることを考えると、追い風が吹いています。

 しかしプロに入って即一軍でバリバリという完成度はないので、1,2年ぐらいはファームでということになるのではないのでしょうか。その時に、どのレベルまで引き上げられるにかかっています。現状は、プロのレギュラー捕手というよりも、脇を固める2、3番手候補かなという気は致しますが、プロの指導でどのぐらい変われるのか注目してみたいと思います。


蔵の評価:
☆☆


(2015年 大学選手権)