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丸子 達也(早稲田大4年)一塁手の個別寸評へ








丸子 達也(広島・広陵)一塁 185/86 左/左





            「松井秀喜(エンゼルス)以来の逸材なのか?」





 左打者としては、あの松井秀喜以来の素材なのだろうか?名門・広陵高校史上最強の長距離打者と言われ、1年の頃から4番を務める図抜けた素材。今年の選抜大会でも、その片鱗を全国に知らしめた。今回は、彼がプロの世界でも長距離砲と成り得る素材のか?検証してみたいと思う。





(プレースタイル)

 バリバリの長距離砲と言うよりは、対応力の高い中距離タイプの打者に見えます。上記の動画にもあるように、一年生の頃よりも選抜では、だいぶ対応力を増してきた気が致します。また打席でも、集中してボールに対することができるようになってきました。松井秀喜は、すでに打席に立った時から、その雰囲気は、成熟した大人の雰囲気を漂わせておりました。ただ新2年生の丸子には、凄みみたいなものは、まだまだ感じられません。

(守備・走塁面)

 一塁手としては、可も不可もなし。ただバント処理などの動きも素早くはありませんが、緩慢な感じはしません。またベースカバーに入る投手に対しても、タイミングを上手く図って落ち着いて送球をしている感じです。またセカンドにランナーがいれば、その動きに目を配り、ランナーの動向もしっかり把握したり、ランナーを牽制しながらボールの処理ができるなど、さすがに名門で鍛えられているだけに、ポジションニングや基本的なプレーは、しっかり叩き込まれています。

 一塁までの塁間は、4.45秒前後。左打者としては、遅い部類になります。ただ実際には、52試合で14盗塁を決めているように、全く動けない選手ではないようですし、4.3秒ぐらいでは走り抜けられる脚力はありそうです。またアウトになるのがわかっていても、走力を緩めるわけでもないので、プレーの貪欲さ・走塁への意識づけも、けして低い選手ではないようです。

 守備・走力でアピールするタイプでもなければ、あえてそれを望まなくても良いのかなと思える選手ですが、その辺は監督さんが厳しく指導されているように感じられました。


楽天


(打撃内容)

 
バットが素直に出てくる選手だと言う印象が受けましたし、カーブに対しても上手く引きつけて打てるなど、緩急への対応もできております。後ろが小さく、前が大きくと言うスイング軌道であり、フォロースルーまでしっかり振り切れております。現時点では、凄いと言うよりは、上手く合わせられる選手だなと言う印象でした。

 また打席に入るまでの素振りにも、全くいい加減に振っていると言う感じは致しません。ただ細かい部分まで神経が行くタイプには見えませんし、足場の馴らしなどをみると自分の打撃に、それほどこだわりはないのかなと言う気はしてきます。

また秋の成績から、実際どの程度の長距離砲なのかな?と思って計算してみると、

167打席で4本塁打ですから、プロの規定打席である446打席計算で考えると、年間で11本程度にしかなりません。これでは、
中距離打者どころかパンチ力を秘めた打者程度にしかならない数字です。

 では今度は、技術的な観点から彼がどんな打者なのか?考察してみたいと思います。

(打撃フォーム)

<構え> 
☆☆☆

 スクエアスタンスで両足を揃えつつ、グリップを高めに添える強打者スタイルです。腰の据わり・全体のバランス・両目での前の見据え方などは平均的。あらかじめ捕手方向に、グリップを引いているところに、長距離砲としてはどうなのかな?と言う疑問は生じます。

<仕掛け> 平均的な仕掛け 投手の重心が下がってきて底に到達したときに始動

 仕掛けの中でも、最も平均的なタイミングでの始動となる。このスタイルは、ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備える万能型。主に中距離打者や打点を多く稼ぎたいポイントゲッターが多く採用するスタイルだ。ただ一見完璧そうに見えるこのスタイルも、実はアベレージ打者なのか、長距離打者なのか、どっちともつかずの特徴の見えにくいスタイルに陥りやすい。個性のない打者の多くが、このスタイルを採用しているケースが多い。

 彼の場合、
仕掛けの観点からすると、中距離打者の傾向が強い。

<下半身> 
☆☆☆☆

 足を軽く上げて回し込むスタイル。足を引き上げてから着地するまでの「間」があることからも、ボールを幅広いタイミングで捉えられる対応力のある打撃が期待できる。ただ長距離砲と呼ばれる選手達は、狙い球を絞って、その球を逃さず叩くタイプの打者達なので、彼はその打撃スタイルからも、
本質的には中距離打者なのだと私は考える。

 また踏み込みは、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップ。真ん中~内角よりの球を巻き込むのを得意としているタイプで、外角の捌きが一つ課題になる。それでもある程度外角の球に対応できるのは、踏み込んだ足下がブレないから。そのためカベを長くキープして身体の突っ込みを抑えることができている。真ん中~高めの力のない外角球ならば、充分に捌くことが可能だろう。荒削りな強打者と言う昨夏までのイメージと比べると、上半身と下半身のバランスの取れた好打者に育ちつつある。

<上半身> 
☆☆☆☆

 構えた時からグリップを捕手方向に引いているので、打撃の準備段階である「トップ」を作るのは遅くない。グリップに遊びがない分、ボールが上がるのか疑問ではあるが、弓矢の弓を強く引くが如く深いトップは、強烈な打球を生み出す大きな源になっている。

 またボールを捉えるまでは小さな動きでロスを減らし、ボールを的確に捉えるが如く、バットの先端は下がることなく広い接地面でボールに的確に力を伝えることのできるスイング。

 更にボールを捉えてからは、大きな弧を描きフォロースルーまでしっかり振ろうとする意識が感じられる。彼がボールを飛ばせるのは、このスイングの後半が大きく、フォロースルーの段階でグリップを少し高い位置まで引き上げられて、ボールを運ぶ意識があるからだろう。

 また現時点では、驚くほどヘッドスピードは鋭くはないが、すでに基準レベルの打球の強さは感じられる。これは、彼の肉体の資質が非常に高いことを物語っている。

<軸> 
☆☆☆☆

 頭の動きは小さく、目線のブレや軸回転には大きな影響を及ばさない。身体の開きも抑えられ軸足にも強さが感じられるなど、肉体の資質は、ボールを遠くに運ぶパワーには恵まれていることを裏付けている。


(打撃のまとめ)

 技術的には、かなり完成度の高い打者であることがわかる。ただ仕掛けのタイミング、あらかじめ引かれているトップ、実際のプレーを観ていると、やっぱり中距離タイプなのかな?と言う気がしてくる。

 ただフォロースルーや、大きな弧のスイング・軸足の強さなどを観ていると、今後長距離砲への変貌も期待できないわけではない。その辺が、最終学年に向けて、どのように変化して来るのか注目したい。





(今後に向けて)

 2年時の松井秀喜などと比べると、彼もこのぐらいだったんではないかと思う。特に対応力の部分では非常に優れており、その点では当時の松井と大きな差はない。ただすでに2年時には、オールジャパンの4番に座るなど、全国屈指の存在だった松井秀喜。更に3年生になってからの松井のボールを飛ばす圧倒的な能力・打席での集中力は別次元に変貌していった。

 丸子が、最終学年において松井の領域まで到達できるのか?と言われると大いなる疑問ではあるが、2年春の時点での筒香 嘉智(横浜高-ベイスターズ1位)と比べものにならないレベルにあるわけで、そう考えると、このまま世代屈指のスラッガーへの道をひた走っても不思議ではない。

 この甲子園での経験が、彼を一回りも二回りも大きなものにしてくれるのではないかと言う期待も込めて、今後も見守って行きたい。少なくて歴史に残るスラッガー達と比較するだけの価値が充分ある選手。2011年度世代を引っ張る存在感のみならず、日本の野球界への財産となって頂きたい!





(2010年・選抜)