15dy-12
坂本 誠志郎(明大4年)捕手 175/77 右/右 (履正社出身) |
「なんとなく細山田を思い出す」 今年の大学球界NO.1捕手と言えるのが、この 坂本 誠志郎 。なんとかなくアマ時代の位置づけは、細山田 武志(ソフトバンク)を彷彿とさせる。今年のドラフト戦線を見渡すと、極めて大学・社会人の捕手の人材が薄い。そう考えると有力捕手たちにとっては、追い風が吹いている年だとも言えるのかもしれない。 (経歴) 大阪の履正社高校時代から、関西屈指の好捕手として知られていました。そして明大に進んでからも、1年春からリーグ戦に出場し、秋からは正捕手として活躍。2年からは、全日本の捕手として実績を重ねてきました。ある意味、アマの王道をひた走ってきた選手だとも言えます。 (ディフェンス面) 一言でこの選手を表現すれば、ソツがないということ。プレーが洗練されていて、非常にアマチュアの捕手としては完成された選手との印象を受けます。個人的に履正社時代からあまり彼のことを評価しなかったのは、大型捕手でもないのに、腕だけを伸ばして捕球にしに行ったり、体でボールを受け止めようという姿勢が感じられないから。構えた時もドカッと深く座ってしまい、次への動作も遅れがち。ボール押しこむような力負けしないようなキャッチングも観られず、何か小手先でプレーしようとする姿勢が感じられること。これは、今も殆ど変わっていません。ハンドリングには自信があるので、それでもアマレベルの変化球や速球に対応できてしまうのかもしれませんが、プロの一軍レベルでこれで大丈夫?という疑問は残ります。私はまず、捕手はボールが捕れることというのを最も重視するので、彼が下手だとは思いませんが、そのことを重視しないプレースタイルは好みではありません。投手にとって一番嫌なのは、キャッチングに課題があり、自分の投球が制限されてしまうこと。その点で、この選手はどうなのかな?と思うわけです。 リードに関しては、アマの捕手としては大人びていると言えます。スローイングも捕ってから非常に素早く投げ込むことができ、イニング間練習でもランナーの滑り込んで来るあたりに投げることを意識してます。スローイング自体は、1.9~2.05秒ぐらいのことが多く、驚くような肩や速さではないのですが、実戦で刺せる選手だと言えるでしょう。細山田との違いは、スローイングで大きく見劣ることはないだろうということ。 捕手としては、気遣いのできる配慮型というよりも、俺について来い!という叱咤激励して引っ張ってゆくタイプ。そのリーダーシップは、最上級生になって主将を任されていることからも伺えます。そういったチームの中心的な役割は、プレーからも期待しても良いのではないのでしょうか。 (打撃内容) 打撃に関しては、最低限の働きはするというタイプ。特にしぶとく右方向にはじき返すなど、食らいついてゆく打撃はできます。プロの球威・スピードに対応するのには数年かかるかもしれませんが、スピードに馴れさえすれば、意外にどうにかなるのかな?といったタイプ。むしろディフェンスに意識が行っている選手なので、打撃に意識を傾けたときに、どの程度の数字を残すのか気になります。 <構え> ☆☆☆ 前の足を少しだけ引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢は悪くありませんが、全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。高校時代は、両目で前を見据える姿勢が良くなかったので、そのへんは改善されています。 <仕掛け> 早めの仕掛け 投手の重心が下るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターが採用する仕掛けであり、確実性を重視していることがわかります。高校時代は、始動が遅すぎる欠点があったのですが、その辺も改善されています。 <足の運び> ☆☆☆ 始動~着地までの「間」は充分あるので、速球でも変化球でも合わせやすい打ち方。軽くベース側にインステップして踏み込んでくるので、内角よりも外角に意識があるのがわかります。残念なのは、スタンスが狭くインパクトの際に足元がブレてしまうこと。これにより外角の厳しい球には、開きを充分我慢できません。更にインパクトの際の、パワーロスにつながってしまいます。そういったせいかもしれませんが、本当に強い球を投げられると力負けしてしまっています。 <リストワーク> ☆☆ 早めに打撃の準備である「トップ」の形は作れており、速い球に立ち後れないための準備はできています。しかしバットを振り出す際に肘が下がってしまい、バットが遠回りに軌道。更にインパクトの際にバットの先端であるヘッドが下がり、打ち損じも少なくありません。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げはそれほど大きくないので、目線の上下動は平均的。しかし体の開きが充分我慢できないのと、軸足に強さがなく空振りをしたあとに大きくは崩れないのですが、打球に力強さを感じません。 (打撃のまとめ) 構えや始動などは、高校時代から変えてきて改善の兆しが見られます。しかし足元の盤石さや、スイング自体に欠点があり、この点は依然改善の兆しが観られません。やはり4年間という時間があっても、打撃への意識はそれほど高くなかったのではないかと考えられます。 当てること自体は下手ではありませんし、状況に応じてセンターから右方向へのイヤらしい打撃もできます。しかし今のスイング・体の強さなどを考えると、プロのスピード・球威には、かなり苦労するのではないかと予想されます。 (最後に) 大人びたプレースタイルで、捕手としてはかなり完成されています。そういった意味では入団してすぐに、一軍で二番手・三番手あたりでベンチに入ることはできるかもしれません。しかし若いことを考えると、そういった立場よりもファームで実戦経験をという判断に各球団はなるかもしれません。 打撃に関しては、最低減のことはできるものの、ドラフト候補の中でも弱い部類。細山田ほど打てないかは別にして、一軍で常時出場できるようになるには、数年の時間が必要ではないのでしょうか。未来の正捕手という位置づけよりも、二番手・三番手とレギュラー捕手が欠けた時の人員、捕手層に厚みを持たせたい球団が、中位ぐらいで指名して来るのではないのでしょうか。それでもアマから得ることは少なく、話があるのであれば出来るだけ早く、プロ入りしたほうが良いと考えます。 蔵の評価:☆☆ (2015年 春季リーグ戦) |