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柴田 竜拓(国学院大4年)遊撃 167/70 右/左 (岡山理大附出身) |
「遊撃守備だけで飯が食える」 今年のドラフト候補の中でも、最も遊撃手として高い守備力を示しているのが、この 柴田 竜拓 。その守備力は、プロに混ぜても際立っており、その守備だけで飯を食って行けるぐらいのレベルにある。そんな 柴田 竜拓 について考えてみた。 (ディフェンス面) けして身体能力の高さを全面に出して見せる、派手なプレーヤーではありません。むしろどうすれば、どうなるのか? 計算され尽くした守備という感じがします。彼の何が優れているのかと言えば、ボールへの入り方・バウンドへの合わせ方が非常に上手いということ。そして最後までボールから目を離さないで補球しているところが、この選手の一番の良さではないのでしょうか。 フットワークには無駄がありませんし、捕ってから素早く送球できます。それでいて、一塁までのスローイングにも乱れがなく実に安定しています。普通キャッチングが上手いとスローイングがイマイチだとか、スローイング良いとフットワークやキャッチングもイマイチという選手が多い中、両方を兼ね備えている点も素晴らしい。更に驚くような強肩ではありませんが、プロのショートしてやって行けるだけの地肩も備えています。 彼が素晴らしいと思うのは、単に守備が上手いというだけではないところ。ランナーが塁上にいれば、捕手から投手に返球されるたびに、二塁手の山崎と共に投手の後ろへのバックアップを怠りません。この辺は、国学院の指導の賜物なのでしょう。また1球投げるたびに、必ず声を出し投手や周りを鼓舞していること。そういった姿勢は、この大学の選手が先のレベルでも伸びて行ける理由の一つなのではないかと考えます。まさに、内野やチームの要と呼ぶにふさわしい選手。アマのショートに、これだけ関心させられるのは中々あることではありません。きっとプロで出番さえもらえれば、球界の名手として名前が残して行けるような、ショートストップになると確信します。 脚力に関しては、プロに混ぜれば平均レベルであり、売りに出来るほどのものはありません。三塁到達タイムが、12秒1(11秒前半だと速い)ぐらいなので、驚くようなタイムではありません。けして動けない選手ではありませんが、プロの世界で足を売りにして行けるのかには疑問が。 (打撃に関して) リーグ戦で3割を越えたのは、3年春と今シーズンの.333厘ぐらい。しかしこの選手の場合、ひ弱というよりも根本的に対応力が粗いというか、幅がないからでしょう。というのは、ベース側にインステップして踏み込んで来るので外角重視。しかし打球の多くは、センターからライト方向への引っ張りに偏ります。すなわちレフト方向への打球が極めて少ないわけです。インステップしながら引っ張れば、当然引っ掛けたゴロが多くなります。これは、昨年国学院からプロ入りした 山下 幸輝(DeNA)と全く同じような傾向があります。もちろん上手く巻き込めれば、バチンと長打を放つパンチ力はあるのですが。今後のチェックポイントは、レフト方向への打撃が見られるのか、そのことにより打てる幅が広がるかにかかっています。 山下 幸輝 の方が、柴田以上にヘッドスピードがあり、パンチ力がありました。しかしその彼でさえファームで、現在 .231厘 と対応の粗さに苦労しています。しかし山下の場合、リーグ戦で一度も3割を越えたことがないことを考えると、若干対応力では この柴田の方がボールを捉えるセンスはあるのかなという気もしています。山下は指名されるまで、おっ!と思う時がなかったのですが、柴田は上手く捉えた時の打球は強いよねと思わせるものがあるので、打撃での可能性も山下よりはあるのではないかと。 いずれにしても打撃に関しては、プロに入って数年は苦労するだろうと評価しています。 (打撃フォーム) <構え> ☆☆☆ 前足を少しだけ引いていますが、ほぼスクエアスタンスと言って問題ないかと。グリップの高さは平均的で、腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスともに並ぐらい。特に構えに関しては、可も不可もなしといった感じか。 <仕掛け> 遅すぎる仕掛け 投手の重心が下るときに動き出しますが、一度ベース側につま先立ち。そこから再度ステップするものの、そのタイミングがリリース直前と全く余裕がありません。こういう二段動作自体は本人のタイミングの取り方で問題はないのですが、この二度目の始動が遅すぎることに問題があります。日本人の筋力・ヘッドスピードを考えたら、投手の重心が前に移動する段階で振り出す「遅めのし掛け」のタイミングまでには動き出さないと、いろいろな弊害がでてきます。彼の打撃が、何か物足りないのは、まさにココに原因があるのでしょう。若干二度目の動き出しのタイミングを、意識的に早める必要を感じます。 <足の運び> ☆☆☆ 始動~着地までの「間」が全く余裕がないので、打てるポイントは点になり限られてしまいます。その狙いが合わない限り、なかなか結果は望めません。また長打を売りにするタイプではない割に、ベース側にインステップして踏み込んでくるので、最初の一歩目のスタートがシッカリ振りきってからなので遅れたり、右投手の内角クロスに食い込んで来る球筋に苦労し、率が残り難い傾向にあります。よほどの長距離打者ではない限り、左打者は真っ直ぐからアウトステップしないと、左打ちのメリットもなければ率も残せないと言えるでしょう。 それでも踏み込んだ足元はブレないので、外の球をシッカリ叩くことはできています。しかし外角よりの球をセンターからライト方向に引っ張ってばかりなので、当然引っ掛ける傾向が強いわけです。センターからレフト方向への打球も増やして行かないと、どうしても率は上がって来ないでしょう。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、リストワークに変な力みもありませんし、大きく立ち遅れている感じはしません。バットの振り出しもインサイド・アウトではないものの、外の球を捉えるまでの軌道にはロスを感じません。バットの先端であるヘッドも下がらず、最後までしっかり振りきれています。この辺が、ひ弱さを感じさせない最大の要因かもしれません。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げは小さいので、目線が上下動せずに追えています。体の開きも我慢でき、軸足も大きく崩れず、軸を起点に綺麗に回転できています。 (打撃のまとめ) 始動が遅すぎること、左の好打者なのにインステップして内角が窮屈になること、打球の多くが引っ張っる巻き込みが多くレフト方向への打球が少ないことなどが原因で、率が上がり難い要因を作っています。このへんが、ひ弱ではないけれど打率がイマイチな要因ではないのでしょうか。 しかし上半身の動きや軸はしっかりしているので、あとは下半身の使い方、意識づけを変えて行くことで、幅のある打撃を身につけられるかではないのでしょうか。秋のリーグ戦で、このへんに成長がみられると、もうワンランク上の評価、上位指名なども見えてくるかもしれません。 (最後に) 守備に対する意識・打球を飛んできた時の集中力には、目を見張るものがあります。しかし打席に入る前の集中力・意識は並みの打者であり、攻守で随分と違うものだと感じました。好きなものに対してはトコトン執着する反面、そうでないものに対しては、案外淡白な性格なのかもしれません。 その辺は、ネクスト~打席に入るときの様子を見ているとよくわかります。投手の投球動作に対しタイミングを図るなどの事前準備はしているものの、投球をしていない時に素振りをするとか、入念に体をほぐすとかなどの、事前準備などやれることをやらないあたりに並みの意識だと感じます。 打席に入るときに、引いてある打席のラインを踏まないあたりは、細かい部分まで意識の行くニ遊間に適した性格の持ち主なのでしょう。しかし打席につくときの、足場をあまり馴さないあたりに、打撃への執着やこだわりが感じられません。。守備で使うような意識を、もう少し打撃にも傾けられるようになると、この選手の評価も変わって来るのではないか? 秋までにそういった変化が起こるのか? 今後のチェックポイントになるのではないのでしょうか。 いずれにしても守備だけでお金を取れる選手であり、それだけでこの選手はプロに入る価値があると評価します。打撃・走力は並ですが、守備の部分が突出しているので。本当に守れるショートを欲っしている球団が、上位で指名して来るかもしれません。カープの 菊池 涼介 がセカンドの守備で魅了するように、この 柴田 竜拓がJAPANのショートとして躍動する姿を夢見ます。 蔵の評価:☆☆ (2015年 NPB選抜との壮行試合) |
柴田 竜拓(国学院大3年)遊撃 167/68 右/左 (岡山理大附出身) |
「小粒でもピリリと光る」 打撃でのしぶとさやプロでもニ遊間を担える動きの良さは、全国の大学生の中でも指折りの存在。滅法足が速いとか、肩が強いとか、恵まれた体格を誇る選手ではないが、持ちえる能力を遺憾なく発揮してプレーする姿には好感が持てる。 (守備・走塁面) 残念ながら一塁までの正確なタイムは持ちあわせていないが、三塁までの到達タイムが12.05秒ぐらいなので、それほど際立つ走力はない。大学3年までのシーズンでも、通算で盗塁は2個程度。足でアピールするタイプでは、けしてない。 最大の売りは、打球への反応良さ・小回りの効き、スピード感溢れる遊撃守備にある。地肩に驚くほどのものはないが、プロでもニ遊間を担える素材として、現時点で見ることができる。中々プロを想定して、ショートを任せられる人材はいないだけに、柴田のアピールポイントは、まさにここにある。 (打撃内容) 引っ張るときの打球は強烈であり、外角の厳しい球にも上手く合わせて拾うしぶとさを持っている。プロを想定すると打撃の弱さは気になるが、けしてひ弱だとか、脆いとかそういった選手ではない。 <構え> ☆☆☆ 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えます。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスとまずまず。あらかじめグリップを捕手方向に引いているので、力まないように注意したい。 <仕掛け> 早めの仕掛け 投手の重心が下がりはじめるときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。典型的なアベレージヒッターが採用する、タイミングだといえる。 <足の運び> ☆☆☆☆ 早めに足を引き上げ、回しこんでベース側にインステップして踏み込んで来る。始動~着地までの「間」はとれているので、速球でも変化球でもスピードの変化に対応。インステップするように、外角を強く意識していることがわかります。踏み込んだ足元はブレず、外角の厳しい球や低めの球にも食らいつくことが出来ています。 しかし左のアベレージヒッターがインステップすると、どうしても最初の一歩目が遅れたり、内角の捌きに余裕がなくなり、率が残り難い傾向になります。強打者タイプならいざしらず、好打者タイプの彼の場合、もう少し真っ直ぐ踏み出すなどして、内角のの球も捌けるスペースを確保しておいた方が良いのではないのでしょうか。 <リストワーク> ☆☆☆☆ あらかじめ「トップ」に近い位置にグリップを添えており、早めに作ります。そのため速い球に、立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しも、インサイド・アウトではないのですが、外のポイントまでは無駄なく振りお降ろされており、バットの先端が下がることなく、レベルスイングで振り抜けています。 インステップと相まって、スイング軌道も内角を捌くようなスイングではなく、その辺が左打者の割にあまり引っ張る打撃を好まない理由ではないのでしょうか。打球の多くは、センター方向中心に打ち返されます。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げは静かで、目線は上下に動きません。体の開きも我慢できており、軸足も地面からまっすぐ伸びており、軸回転で捌けています。 (打撃のまとめ) 技術的にはシッカリしたものを持っていますし、苦手な内角は強烈な引っ張りのファールを打って投げることを封じます。しかし実際は、内角は打ってもファールにしかならず、最終学年ではどの程度捌けるようになっているのかがチェックポイントなのでは? (最後に) 守備では充分なレベルなので、あとは打撃で何処まで幅を広げて行けるのか。小柄ですがひ弱さはなく、しぶとさも兼ね添えている好選手。内角の捌きをポイントに、最終学年のプレーを注視したいと思います。 (2014年 平塚合宿) |