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西村 天裕(24歳・NTT東日本)投手の個別寸評へ






 西村 天裕(帝京大3年)投手 177/92 (県和歌山商出身)
 




                       「ミニ澤村拓一」





 巨人の澤村拓一を、一回り小さくしたような投手、それがこの 西村 天裕 。先日取り上げた 田中 豊樹(日本文理大)と同様に、リリーフならばプロでも即戦力が期待できる馬力が魅力。

 田中との一番の違いは、ランナーを背負いピンチになればなるほど、力を入れて投げるということ。本気になると、150キロ台を連発して、力でねじ伏せに来る。


(投球内容)

 澤村拓一と同様に、圧倒的な馬力で一所懸命投げすぎるきらいがあります。エネルギーが有り余って仕方ないのかもしれませんが、ゲームメイクするというセンスには欠けています。そのため力で押しきれる相手には良いのですが、そうでないと勝ち味に遅い傾向にあります。

ストレート 常時145キロ前後~150キロ強

 ズバーンと捕手のミットに気持ちよくおさまるストレートの威力には、確かに見るべきものがあると言えます。両サイドにある程度投げ分けられるコントロールもありますし、勝負どころになればなるほど良いところに決まる典型的な良い投手。左打者の内角にも、胸元を厳しく突くことが出来ています。空振りを誘うというよりも、思わず良いところにズバッと決められて手が出ない、そんな見逃し三振を奪うのが、この選手の持ち味。

変化球 スライダー・フォーク?

 圧倒的にスライダーとのコンビネーションであり、田中豊樹のスライダーがいつでもカウントを取れるコントロールに優れたものだったのに比べると、西村のスライダーの曲りはハードで空振りが誘えます。しかしその分、曲りを制御できずに上手く操れないことも少なくありません。またフォークのような低めでワンバウンドする変化球もあるのですが、これもまだ精度が低く、打者の空振りを誘えるほどではありません。全体的に、変化球の精度が低いというのが、一つ課題としてあげられます。

その他

 クィックは、1.15~1.25ぐらいでまとめらており、ほぼ基準レベルぐらい。間のとり方とかマウンドさばきに良さは感じませんが、ピンチになればなるほど力を発揮できるハートはプロ向きではないのでしょうか。

(投球のまとめ)

 速球派ですが、ストレートのコマンドは高く、コントロールに不安はありません。しかしながら変化球の精度がまだ低いので、ストレートで仕留め切れないと、投球が汲々となる傾向にあります。それでもピンチになればなるほど、力を発揮するタイプなので、見ていて非常に爽快感が残ります。





(投球フォーム)

 全体的にウエートトレのし過ぎなのか、腕の回旋が窮屈でしなやかさに欠ける印象をうけます。

<広がる可能性> 
☆☆

 引き上げた足を地面に向けるので、お尻は一塁側に落とせません。そのため体を捻り出すスペースが確保できず、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦の変化球には適しません。現状それほど多くは投げませんが、カーブやフォーク系の球を投げますが、あまり武器にならないのも頷けます。

 「着地」までの粘りはないので、腕の振りの強さを活かしたスライダーやチェンジアップ、それにカットボール・ツーシーム・スプリットみたいスピードのある変化で、ピッチングを広げてゆくことが求められます。ただしスライダーの曲りは良いので、スライダーの精度を高めるとピッチングに余裕が生まれるのではないのでしょうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲でも地面を捉えており、それほど上吊らないように感じます。「球持ち」はそれほどでもなく、指先の感覚に優れているようにも見えませんが、それなりに狙ったところには投げることができ、四死球で自滅する可能性は低そう。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻は落とせませんが、カーブやフォークをそれほど投げて来ないので、肘への負担は問題なさそう。

 振り下ろす腕の角度にも無理はなく、肩を痛めるリスクは少ないといえます。タフな活躍は期待できますが、力投派なので消耗は大きいタイプ。登板過多になると、怖いタイプではあります。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 また「着地」までの粘りもさほどないので、打者としては苦になるフォームではないでしょう。「開き」こそ早すぎることはありませんが、澤村同様に、イチ・ニ・サンで、ニ~の粘りに欠ける印象は拭えません。

 腕は強く振れているのは良いのですが、手足が短い体型なので体にあまり絡んできません。またボールへの体重の乗せもう一つで、グッと前に乗って来ていません。それでもあれだけの球を投げられるわけですから、もう少し下半身を上手く使えるようになると、素晴らしいボールを投げられるようになるのではないのでしょうか。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」「開き」は平均的も、「着地」「体重移動」など下半身の粘りや使い方に課題を残します。

 コントロールを司る動作には優れているので、この点は推せる材料。故障のリスクは現時点では高くないものの、力投派だけに、疲れを溜めないように注意したい。


(投球のまとめ)

 熱いハートの持ち主で、見ていて爽快感溢れる投球が魅力。しかしその反面、一辺倒なのとしなやかさに欠ける点が、長いイニング・シーズンを考えると心配な部分。

 最終学年では、変化球の精度を高め、投球の幅を広げて行けるのか、これが一番のチェックポイント。それができれば、充分に2位以内で消える資質の持ち主ではないのでしょうか。期待して最終学年の投球を、堪能しようと思っています。


(2014年 平塚合宿)