15dp-4
熊原 健人(仙台大4年)投手 178/76 右/左 (柴田出身) |
「3月のイメージのままだった」 今年の3月に、、関東に遠征してきた 熊原 健人 。その時は、リリーフでの1イニングのみであった。球速は、常時140キロ台後半~150キロ級のボールを投げており、ボールの勢いは素晴らしい。その反面ボールがすべて上吊る、アバウトさも目についた。 春季リーグ戦に仙台まで足を運ぶも、その時は脇腹を痛めて登板せず。それだけに大学選手権で、先発する姿をぜひ確認したかった。それだけに今回の大学選手権で、どんなピッチングを見せてくれるのか、否が応にも期待が高まる。 (投球内容) 立教大時代の 多田野数人(日ハム)のような、上下動の激しいギッコンバッタンしたフォームは昨年から変わらない。ガンガン力で押してくるスタイルは、先発でもリリーフでも変わらず。いつも一生懸命、それがこの 熊原 健人 の投球スタイル。 ストレート 常時145キロ~MAX150キロ ボールの勢い・球速はには、目を見張るものがある。この球を、試合の最後まで持続する体力は持ち合わせている。しかし消耗の激しいフォームのせいか? 登板過多になると、上下動の激しさから身体に出てしまうタイプなのかもしれない。 打者の外角にストレートを集めるコントロールはあるのだが、そのボールが真ん中~高めのゾーンに集中。それゆえに好投していても、手痛い当たりを打たれてしまう。試合巧者の九州産業大打線は、そこを見逃さなかった。 変化球 スライダー・フォークなど 曲がりながら沈むスライダーと、フォークのような縦の変化球があります。スライダーは、打者の空振りを奪うためというよりも、カウントを稼ぐためのもの。フォークもまだストンと落ちることは少なく、チェンジアップ的に落差が小さい。そのため打者のタイミングを外したり、ストライクゾーンに落ちてカウントを稼ぐことも少なくない。 そのため相手の的を絞らせない働きは期待できるが、それほど絶対的な球種があるわけではない。 その他 クィックは1.1秒前後と基準以上だが、フィールディングの動きが危なかっかしいかったり、牽制の動作も大きめなのは気になった。投球術も含めて、技術・センスに優れた選手だとは言えないだろう。あくまでも、ガンガン力で押してくる力投派。 (投球のまとめ) 短いイニングならばプロ相手でも、このボールの勢いで押せるだけの威力・ボールの勢いはあります。しかし先発としてはまだまだ物足りませんし、リリーフでもときどきポカして手痛い場面も多そう。1位指名濃厚な選手ですが、本当の意味で即戦力になり得るのか?と言われると疑問で、リリーフならばという限定付きの評価でしょうか。 (投球フォーム) オフの寸評でもフォーム分析を行っているので、変わったところのみに絞って考えてみます。 1,お尻が一塁側に落とせるようになっている お尻が一塁側に落ちるのは遅いものの、身体を捻り出すスペースは確保できるようになりました。これにより、フォークを投げるのも無理がなくなっています。そういった意味では、フォークを結構使う投手なので、明るい材料ではないのでしょうか。 2,着地までの粘りがなくなり、体の開きが早くなっている 「着地」までの粘りが昨年よりも淡白になっており、打者としては合わせやすい感じに。更に「開き」も早くなったことで、コースを突いた球でもいち早く球筋が読まれ、痛打されやすくなっています。 3,足の甲では地面を押し付けられなくなっている 足の甲の地面への押し付けが浮いてしまっており、ボールが上吊りやすい要因を作っている。 4,腕の送り出しがスムーズになっている ボールを押し出すような感じの腕の送りだしだったのが、だいぶ自然な振りに変わってきました。そういった意味では、故障の可能性が軽減されているのではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) 全体的に良くなった部分と悪くなった部分が同じぐらいあり、プラス・マイナス0 といった感じ。特に下半身の使い方が悪くなっており、この辺が秋に向けて改善できるかでしょうか。 (最後に) ボールの勢い・威力は、間違いないなく1位指名の12名に入るだけのものがあります。その反面勢いだけであり、実戦的な部分ではまだ課題を残します。現状は、即戦力を期待するのならば短いイニングに限定されます。そういったことを考えると、ハズレ1位ぐらいが妥当ではないのでしょうか。しかし秋にもうワンランク・レベルアップできれば、一躍1位競合級まで評価を高めても不思議ではありません。なかなかの気持ちの良いナイスガイだけに、逆に大学選手権では悪い意味で空回りしてしまいました。そういった反省もいかして、秋には更なる飛躍を期待してやみません。 蔵の評価:☆☆☆ (2015年 大学選手権) |
熊原 健人(仙台大3年)投手 178/76 右/右 (柴田出身) |
「多田野数人(日ハム)みたいだな」 熊原 健人 の上下動が激しく、何かゴチャゴチャしたフォームを見ていると、立教大時代の 多田野 数人 を思い出す。投手としての完成度は多田野方が上だったが、ボールの勢いという意味では、この 熊原 も負けてはいない。順調に最終学年を過ごせば、中位~上位指名でプロ入りすることが予想される。 (投球内容) ストレート 常時140キロ台~140キロ台後半 腕が少し下がったところから出てくるので、高めのボールは少し浮き上がって来るような錯覚に陥る。ワンテンポ差し込まれるようなキレがあり、中々芯で捉えることが難しい。ただし球筋は真ん中~高めに集まりやすく、結構暴れている。 変化球 スライダー・シンカー(フォーク)・カーブなど 小さく横滑りするスライダーなのだが、体の近くでしっかりブレーキが効く。それにシンカーのような沈む球があり、この球が低めのボールゾーンに沈み空振りを誘える。他に115キロ前後のカーブもあるが、この球の精度・曲りはそれほどでもない。ストレートは暴れるものの、スライダーとシンカーというある程度頼れる変化球を2つ持っていることは大きい。 その他 クィックは、1.1秒前後とまずまずで、牽制は平均的。ゲームメイクするような投球術や微妙な駆け引きで勝負するというよりは、一つ一つのボールの威力で勝負するタイプ。 (投球のまとめ) 差し込まれるボールの勢いと、スライダー・シンカー(フォーク)のような変化球のレベルも低くない。コントロールはアバウトなものの、ボールそのものの威力で勝負できる選手なので、短いイニングならばプロでも現時点の力でも通用しそう。 (投球フォーム) 今度は、投球フォームを分析して今後の可能性を考えてみたい。大きく足を引いた独特のセットポジションから、勢いよく足を引き上げてきます。 <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側には落ちません。したがって体をひねり出して投げるカーブやフォークといった球種には適しません。 「着地」までの粘りは、それほど悪くありません。したがって体を捻り出す時間はそれなりに確保でき、カーブやフォークといった球種以外ならば、習得に問題はないでしょう。ただし今のフォームのままだと、武器にできるほどのキレを身につけられるかは微妙。縦の変化がフォークという話もありますが、ストンと落ちるというほどではなく、プロレベルだとそれほど決め球にはならないではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは内に最後まで抱えられているというほどではないのですが、割合体の近くにはあります。足の甲では深く地面を捉えており、浮き上がろうとする力は抑えこむことは出来ています。ただしボールを少し押し出すようなリリースのためか、ボールが高めに抜けることも少なくはありません。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻が落とせない割にカーブやフォークを使うので、その点で肘への負担は気になります。あの縦の変化が、本当にフォークとなると、ちょっと心配ではあります。 振り下ろす腕の角度には無理はありませんが、送り出しが押し出すような感じなので、その点で不安は感じます。悲観するほどではないのかもしれませんが、力投派でもあり消耗は激しいのではないのでしょうか。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りはそれなりで、合わせやすいということはなさそう。体の「開き」も平均的で、特に問題は感じません。独特のフォームなのもあり、更にボールの勢い・質も良いので、打者は思わず差し込まれます。 振り下ろした腕は身体に絡んでおり、速球と変化球の見極めは困難。ボールへの体重の乗せもそれなりで、けして体重移動が悪いようにも見えません。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に何処か悪いとか優れた点はなく、極めて平均的なフォームだと言えます。コントロールを司る動作も平均的で、しいて言えばちょっと肘の故障など、そういった部分が気になります。 (最後に) 現状は、ドラフトで2,3位レベルの投手かなという印象はうけます。速球の勢い・変化球のレベルはまずまずで、あとは暴れる速球を、いかに制御できるかでしょう。その辺を改善してゆかないと、プロで一年目から活躍というのは微妙ではないのでしょうか。 ボールの勢いに加え、いかに実戦的な投球を魅せてくれるのか、ここが最終学年でのチェックポイントであるように思います。出来れば春のオープン戦あたりで、今年最初の観戦をしたいですね。楽しみにまずは、その時を待ちたいと思います。 (2014年 大学選手権) |