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唐仁原 志貴(福岡大)投手 184/75 左/左 (小林出身) |
昨秋1年生ながら神宮大会で、素晴らしいストレートを投げ込んでいた正統派左腕。2年生になった今春のリーグ戦では、5勝0敗 防御率 0.79 と優勝に大きく貢献。そのボールだけでなく、実戦でも確かなものを残して全国の舞台に戻ってきた。 球速表示こそ140キロ前後(MAX142キロ)だが、スパッとキレるストレートはわかっていても中々打てない。変化球は、カーブ・スライダー・スクリュー系と一通りあるが、現状はストレートが優っている印象。牽制は平均的で、クィックは1.1秒台と基準以上。ただそれほど「間」を使ったり、微妙な投球術があるわけではなく、ストライクゾーンの枠の中にボールを集めて来るというシンプルなもの。アウトコース全般にボールを集めて来るが、ボールはやや高めに抜けることがあるなど、まだ細かいコントロールまではない。 (投球フォーム) ランナーがいなくても、セットポジションから足をスッと高い位置まで引き上げてきます。 <広がる可能性> ☆☆ 引き上げた足を地面に伸ばすため、腕の振りが緩まないカーブを投げたり、縦に鋭く落ちる変化球の修得には無理があります。また「着地」までの粘りがもう一つなので、キレや曲がりの大きな変化球の修得は厳しいかもしれません。そのためあくまでも、速球を全面に出した投球で勝負せざるえないのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは体の近くにあるも、最後抱えが甘くなっています。ただ、足の甲の地面への押し付けは悪くありません。何より気になるのは、「球持ち」が浅く、指先の感覚が悪そうな点。そのためボールを押し込めず、リリースも安定していないように思います。枠の中にボールを集める制球力はありますが、大雑把な制球しかできないんが現状ではないのでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆ お尻は落とせないので、カーブなどをあまり多投するようだと、肘への負担が生じます。また腕の角度にも無理があり、腕の送り出しに負担を感じます。肩の故障には、充分注意して欲しいと思います。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りはもうひとつも、体の「開き」は抑えられています。この辺は、わかっていても打てない球を生み出す一つの要因になっているのでしょう。 「球持ち」が浅く、腕も強く振れないので、意外に腕が体に絡んできません。これだと、速球と変化球が見極められてしまうので、これからの課題となります。ボールへの体重の乗せは悪くなく、適度に地面を蹴り上げられています。そのため、打者の手元まで生きた球が投げられると考えます。 (最後に) ストレートに関しては、素晴らしい球を投げ込みます。しかし変化球や打ち難い実戦的なフォームという観点では、まだまだ多くの課題を抱えます。それ故に、今後大いに伸び悩む危険性も感じなくはありません。素材は素晴らしいのですが、その資質を伸ばして行けるのか、これからも注目して行きたいと思います。順調に伸びて行けば、2年後はドラフト最上位候補だと思います。 (2013年 大学選手権) |