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田村 丈(DeNA)投手のルーキー回顧へ







田村 丈(関西学院大卒)投手 185/86 右/右 (関大北陽出身) 
 




                        「大学5年生」





 関西学生リーグで4年間過ごした 田村 丈 は、大学を卒業するために、この一年大学に残った。そしてジムに通いながら体を鍛え、2年連続プロテストを受験。悲願のプロ野球選手へと、このたびなることができた。この選手、関大北陽時代は大阪屈指の素材として注目され、私自身彼を目的に遠征をしたことのある思い入れのある選手。関西学生リーグでは、通算9試合に登板するも、勝ち星をあげることなく4年間が過ぎていった。それでも高校時代は140キロそこそこだった球速が、今やMAX149キロまで到達するまでになったという。


(投球スタイル)

 残念ながら大学時代のピッチングを見た記憶が残っていないので、高校時代のレポートと伝え訊いていることを元に、どんな投手なのか書いてみたい。

 角度を感じさせるストレートを武器に、カーブ・スライダー・フォークなどを織り交ぜる投球スタイル。コントロール・マウンド捌きに破綻のない投手だったが、勝負どころの詰めの甘さを高校時代は指摘している。

 投球フォームにも大きな欠点はなかったのだが、少しテイクバックした時に肘が下がって出てくるので、押し出すようなところがあったのが気になった。順調に4年間で伸びて行ければ、上位指名も意識できる素材だと考えていたのだが。

しかし関西学院大での4年間では、

9試合 18回2/3イニング 14安打 9四死球 8奪三振 防御率 2.89

 この成績を見ると、被安打率75.3%、四死球率 48.4% 1イニングの奪三振は、0.43個。これを見るとそれほど相手に打たれてはいないのだが、制球力の悪さと決め手不足が気になる数字。ストレートに威力がある選手だけに、奪三振の少なさには疑問が残る。

(投球フォーム)

大学時代のフォームの映像もあったので、分析をしてみよう。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせているの、お尻は一塁側に落とせます。そのため体を捻り出すスペースは確保できており、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種を投げても無理はありません。

 「着地」までの粘りも平均的で、体を捻り出す時間は並。一通りの変化球を投げるものの、武器になるほどの球がないのは、もう少し粘りを作って時間を確保したい。そうすることで、変化球の曲がりの大きさ・キレも増す可能性が高まる。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲でも地面を押し付けられており、ボールを低めに押し込めます。これでもコントロールが不安定なのは、「球持ち」を含めて指先の感覚が悪いのでしょうか?力の入れ加減に、問題があるように感じます。

<故障のリスク> 
☆☆

お尻は落とせるので、カーブやフォークを投げても肘への負担は少ないのでは?

 しかし高校時代から指摘するように、テイクバックした時に前の肩と後ろの肩を結ぶラインよりも肘が下がってしまい、更に腕の送り出しが執拗に角度を付けようとして肩に負担がかかっています。ボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がっており、これが故障の大いなる原因になっているのでは?

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは並で、体の開きは並ぐらいでしょうか?そういった意味では、特に合わせやすいわけでも、打ち難いわけでもなさそう。

 振り下ろした腕は、思ったほど身体に絡んで来ていません。こうなると変化球と速球の腕の売りが生まれやすく、打者からはボールを見極められやすくなってしまいます。適度にはボールに体重が乗せられており、打者の手元まで生きた球は投げられていると考えられます。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作でる「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に大きな欠点がない変わり良いところもありません。

 コントロールを司る動作は良いわりにコントロールがいまいちなのと、肩への負担が大きなフォームなのが気になります。角度こそ彼の生命線なのかもしれませんが、無理をすると慢性的に肩などが痛む可能性は否定できません。日頃から、体のケアには充分注意してもらいたいところ。

(最後に)

 50メートル5秒7、遠投115メートルの高い身体能力も魅力で、149キロまで球速を伸ばした素材は魅力。大学時代は、怪我などもあり伸び悩んだとのこと。恐らくそれは、無理な腕の送り出しのため、慢性的な肩痛などに悩まされていたのではないのでしょうか。

 高校時代であれだけの資質があったのならば、通常なら卒業する頃にはドラフトで指名されていても不思議ではないぐらいの実績を残していたはず。それを妨げてきたのは、肩の調子が悪く、能力が出せないことが多かったからではないのだろうか? 果たして今は、そういった負担の大きなフォームを改善できたのだろうか? そこがクリアしていない限り、プロ入り後も多くは望めないのではないのだろうか?









田村 丈(大阪・関大北陽)投手 185/80 右/右 

初回から88マイル(140.8キロ)連発で、2010年度の大阪を代表する速球派と言う評判には嘘偽りのない逸材だった 田村 丈。185センチの長身を活かした角度のあるストレートは、MAXで145キロにも到達したとも言われる。これから夏の大会に向けて、大きくクローズアップされる1人ではないのだろうか。

動画:田村丈(関大北陽)投手


(投球内容)

 この投手の最大の良さは、ボールに角度が感じられること。そのため球威はやや物足りないものがあるのだが、打者が微妙にバットの芯からハズされる良さがある。ポンポンと心地の良いテンポに加え、制球力・マウンド捌きにも大きな破綻はない。カーブ・スライダー・フォークと一通りの変化球を持っているのだが、追い込んでからの詰めの甘さを露呈する。

 両サイドに球を散らせつつ、変化球を織り交ぜて的を絞らせない。基本的には、三振をバシバシ取って力でねじ伏せると言うよりは、相手の打ち損じを誘うタイプの投手なのだろう。ただ、まだ身体がビシッとしていると言うほどではないので、本格化するのは、数年先のことになりそうだ。


(投球フォーム)

 ワインドアップに振りかぶり、足をしっかり引いて構え、静かに確実に足を高い位置まで引き上げるフォームになっている。軸足にも力みなく、バランス良く立てるのも良いところ。

 お尻の落としも悪くないので、将来的にもっと見分けの難しいカーブや縦の変化も期待できそう。着地までの粘りもあり、良い変化球を投げられる下地があるフォームになっている。

 グラブも内に最後まで抱えられる上に、足の甲の押しつけも悪くなく、そのうえ球持ちも悪くない。両サイドだけなく、球が低めに押し込める要素も兼ね備えている。

投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」でも、大きな欠点はなく、高いレベルでフォームをまとめることができている。土台となるフォームとしては素晴らしい。

 しいて気になる点をあげるとするならば、テイクバックした際に両肩を結ぶラインうよりも肘が下がってしまっている点。それでいてボールに角度を付けようと、かなり無理のある角度から腕を振っているので、身体への負担が大きい。アフターケアには、充分注意して欲しい。

 また腕の振りの「強さ」や上体を振る「鋭さ」など、筋力不足がある点は否めない。将来的に背筋や下半身を中心とした鍛錬を重ね、上半身と下半身のバランスの取れたパワーアップが求められる。


(スカウティング6原則)

 「強さ」「速さ」「柔らかさ」「鋭さ・厳しさ」「イヤらしさ・怖さ」「センス」などの観点で見てみると「柔らかさ」の天性の部分を除けば、まだまだ発展途上の印象は否めない。それだけまだ伸びしろも残されているし、投手としては未完成だ。


(今後に向けて)

 素材としての奥行き、土台となるフォームの素晴らしさ・投手としての破綻のないまとまりなどを併せ持つなど、ドラフト候補に相応しい素材だと言えよう。ただ現状は、あくまでも候補の1人であって、指名確実な力量とは言い難い。それだけに、夏までに目に見えてワンランク・ツーランクの成長がないと、大学経由と言う可能性は高い。高校からプロに入るような選手は、この春から夏にかけての確かな成長が、指名のいや、プロでの活躍につながって行く。彼がそういった素材なのかどうか、夏までに注意深く見つめたい。


蔵の評価:追跡級! 


(2010年 春季大阪大会)