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川越 誠司(西武)投手のルーキー回顧へ








 川越 誠司(北海学園大)投手&外野手 174/80 左/左 (北海出身)
 




                 「そんなにメチャクチャではない」





 北海高校時代は、肩を痛めたこともあり外野手に転向。しかし高校時代の映像を観る限り、驚くような球威・球速はないが、適度にまとまった左腕という感じの投手だった。この時の北海高校は、一学年に下に 玉熊 将一 という好投手がいて、神宮大会・選抜・選手権と新チーム以後は3大大会すべてに出場。その中で、4番・右翼手として、甲子園にも4試合ほど出場している。

 大学3年時には主力投手の一人として活躍するも、4年時には春リーグ出場無し。秋も先発するも太ももを痛めて途中降板。以後、リーグ戦で投げることなく終わっている。そのため最終学年での登板を確認するのは、極めて難しい選手だと言えるのではないのだろうか。私自身、大学時代確認することもできなければ、映像すら確認することができず。高校時代の、僅かな動画からわかることを判断してみたい。指名された時は、投手ではなく野手としての才能を買ってのものだと思っていたぐらいだった。

(投球内容)

 高校時代は、肩を痛めていたせいなのか? わからないが、130キロ前後ぐらいの平凡な投手という感じ。後にMAX149キロを投げて、後に上位指名される投手の片鱗を感じるような映像ではない。

 高校時代の動画も、僅か打者1人のもので細かい考察はできない。変化球に、スライダーがあるのが確認できる程度、この球にも特別なものは感じられない。ただ見ていると、適度にまとまった好投手タイプであり、140キロ台を連発するような馬力のある投手になるとは思わなかった。牽制の動きなどは鋭く、普段野手をやっている片鱗は感じられる。





(投球フォーム)

この僅かな投球だけではよくわからないので、フォーム分析をして考えてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は三塁側(左投手の場合は)に落ちません。したがって体を捻り出すスペースは確保できず、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような落差のある縦の変化球の習得には適しません。

 しかしこの投手、前への足の逃しが上手く下半身を上手く使えて、着地までの粘りは作れています。そのため体を捻り出す時間は確保でき、カーブやフォークといった球種以外ならば、好い変化球を身につけられる可能性はあると考えられます。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆

 グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定しやすいはず。足の甲の押し付けも深く地面を捉えており、ボールも上吊り難いのではないかと。「球持ち」は並なのと、球速が上がることで何処までそういった動作が蔑ろになっていないのかが気になります。しかし速球派でありながら、土台となるフォームはしっかりしています。

<故障のリスク> 
☆☆

 お尻を落とせないフォームですが、現在の持ち球がよくわからないので、肘への負担はよくわかりません。

 気になるのは、腕の送り出しの部分。ボールを持っている腕の肩は上がり、グラブを抱えている肩がかなり下がり背中も後ろに傾けて投げるほど角度をつけています。これは明らかに肩への負担が大きなフォームであり、高校時代から肩を痛めていた理由がわかります。このフォームが変わっていない限りは、一定量越えてしまうと、肩痛に見舞われるのではないのでしょうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆

 「着地」までの粘りが作れているので、ただの速い投手ではないようです。体の「開き」も抑えられており、打者としてはかなり厄介なのでは?

 腕は振れて身体に絡んできますし、ボールへの体重の乗せ、体重移動も悪くありません。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」までの粘りが作れ、「開き」「体重移動」も悪くありません。「球持ち」に関しては、平均的ぐらいでしょうか。

 何より素晴らしいのは、速球派でありながら制球を司る動作に優れている点。そして心配なのが、肩への負担が大きく、高校時代から肩痛に悩まされてきたのも頷けます。

(最後に)

 高校時代の僅かな動画を観る限り、当時は平凡なサウスポーという印象でした。しかしフォームを分析すると、下半身が使えるフォームであり、コントロールもある程度つくだけの土台があるということ。そういった大きく化ける予感は、フォーム分析からも伺えました。

 現状がどの程度なのか確認できていませんが、実戦力も兼ね備えた速球派である可能性があります。ただしすでにアマ時代から、故障との戦いみたいな選手であり、身体を酷使するプロの世界で能力を出せる瞬間がどのぐらいあるのかには不安が残ります。この選手は投手としての指名ですが、高い身体能力を活かして、野手にコンバートされるのではないかという気がしています。いずれにしても来年は、ファームでぜひ確認してみたい一人ですね。