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西濱 幹紘(星城大)投手 174/78 右/右 (南伊勢出身) |
「見たことがない」 高校時代から、この 西濱 幹紘 という選手を全く見たことがないのではないのだろうか。動画でも投球フォームを確認できたのは1球程度のもので、どんなピッチングをするのかさえ掴めていない。今回は、この動画を元にフォーム分析をしつつ、残した成績から彼のイメージを膨らませてみたい。 (投球スタイル) MAX148キロのストレートに、カーブやスライダーを織り交ぜる投球スタイルなのだという。実際1球映っていた動画でも、球場のスピードガンは146キロを記録。まだ荒削りだが、ハマった時のボールには観るべきものがあるという。 (投球フォームを考える) 結構躍動感があって、体重移動も滑らかな個人的に好きなタイプのフォームをしていえる。 <広がる可能性> ☆☆ 引き上げた足は地面に向けて伸ばすので、お尻を一塁側にはあまり落ちていない。そのため体を捻り出すスペースが確保できておらず、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に大きく落ちる球種を投げるのには適さない。 しかし着地までの粘りもそれほどないので、体を捻り出す時間も稼げていない。そのため変化球の曲がりの大きさやキレにも影響し、現状スライダー頼みのピッチングなのもよくわかる。お尻を落とせないのは致し方ないが、もう少し「着地」までの足の逃し方に工夫というか、意識を持ちたい。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは最後まで体の近くに留めており、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。そのため両サイドへの投げ分けは、安定しやすいのでは? 足の甲での地面への押し付けが短いので、力を入れて投げるとボールが上吊ってしまう危険性を感じる。「球持ち」自体もけして好いようには見えないので、細かいコントロールで勝負するタイプではないのだろう。 <故障のリスク> ☆☆ カーブをどのぐらいの頻度で使っているのかわからないのだが、お尻が落とせないフォームだけに、カーブを多く使うようだと肘への負担が心配される。 腕の送り出しを観ても、ボールを持っている方の肩が少し上がって、グラブを持っている方の肩が下がり、若干無理を感じる。それほど悲観するほどの負担ではないと思うが、リリーフなどで登板過多になった時はちょっと怖い。日頃から、体のケアには充分注意して欲しい。 <実戦的な術> ☆☆☆ 着地までの粘りがないので、打者としては合わせやすいはず。更に開きも早くなっているので、コースを突いた球でも打ち返されてしまう危険性を感じる。 腕はしっかり振れており、速球と変化球の見極めは困難。打者が、思わず振ってしまうという場面も少なくないはず。ボールには適度に体重が乗せられており、打者の手元まで勢いのある生きた球が投げられているのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の部分では、「体重移動」こそ悪くないものの、あとの部分には課題があることがわかってきた。そのためボールこそ速いが、打ち難さ・嫌らしさという部分に欠け、淡白な投手なのではないのだろうか? 足の甲の押し付けや球持ちからみると、細かいコントロールは無さそう。更に腕の送り出しに若干の無理が感じられるので、ここから故障につながらなければという不安は残る。 いずれにしても実戦派というよりは、素材型なのだろうなという印象はフォームから受ける。 (成績から考える) 実際の投球を見ていないので、成績から傾向を考えてゆくしかない。彼の在籍する愛知リーグの2部というのは、私が知る限り全国でも東都二部に次ぐぐらいのハイレベルなリーグ。それだけに、通常の地方1部リーグにも匹敵するぐらいのレベルがあると考えて良さそうだ。この秋の成績は 4年秋 5試合 3勝1敗 34回1/3 22安打 16四死球 37奪三振 防御率 1.83(1位) 1,被安打はイニングの70%以下 ◯ 34回1/3イニングを投げて、被安打は22本。被安打率は、64.1%であり厳しいファクターもクリアできている。速球とスライダーという単調なはずのピッチングスタイルでもこの被安打というのは、相当ボールの威力がリーグでは優っていたのではないのだろうか。 2,四死球は、イニングの1/3以下 ✕ 四死球率は、46.6%であり、基準を満たしていない。やはりこれだけのボールを持っていても、コントロールのアバウトさがあるということなのだろう。打者のレベルが格段に上がるプロの世界では、よりこの傾向は顕著になりそう。 3、奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◎ 奪三振は、イニング数を上回っており、文句なし条件をクリアしている。先発でイニング以上なのだから、それだけボールの威力が抜けていることを示している。 4、防御率は、1点台以内 ◯ 防御率1.83は、リーグ1位の成績。先発だけに、1.50以上であることは問題ではない。まぁ地方リーグで即戦力を期待するのであれば、0点台ぐらい絶対的な数字は欲しかったが。 (成績からわかること) ボールの威力が、愛知二部では図抜けていることがよくわかった。しかしその一方で、細かいコントロールに課題が残り、ゲームメイクする力は、地方リーグのレベルを脱していないのではないのだろうか。現状は、ボールの勢いで押せるリリーフ向きの投手との印象を受ける。 (最後に) 動画や成績を観る限りは、ボールの威力に優れ素材としては面白味のある選手なのではないのだろうか。その一方で、アバウトな制球力、淡白なフォームなどに課題があり、実戦力に欠ける勢いで押すタイプなのではないかと想像する。 しかし中日の場合、ファームで使える選手に育てる育成力には定評がある球団。それだけにプロの指導・野球に専念できる環境で、どんな化学反応が起きるのか期待したい。実際に投げている姿を、ぜひ確認してみたい。 (2015年 秋季リーグ戦) |