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中川 皓太(東海大)投手 183/83 左/左 (山陽出身) |
「右打者への投球が」 最終学年での 中川 皓太 は、リーグ戦で11勝1敗。春は、リーグ戦で最優秀防御率。秋は、2位だったものの、MVP を獲得するなど、常勝軍団である 東海大のエースへと成長した。その割に地味な扱いなわけだが、ドラフトでは巨人から7位指名。果たしてどんな選手なのか? 改めて考えてみた。 (投球内容) 淡々と投げ込んでくるサウスポーといった感じで、特に投球にインパクトは感じませんが、イニングは食ってくれるだけのまとまりは感じます。 ストレート 130キロ台後半~MAX145キロ ストレートの球質は、特にピュッとキレるというほどでもなければ、手元でグ~ンと伸びてくるような優れたものでもありません。適度に、両コーナーに散っている感じで、特に絶妙なところにズバッと決まるわけでもありません。彼の投球が印象に残り難いのは、このストレートの自己主張が弱いからだと考えられます。 変化球 スライダー・カットボール・ツーシーム・カーブなど スライダー・カットボール・カーブなどで、微妙に変化を付けることで、相手の狙いをズラすピッチングができています。1つ1つの球に特別なものはありませんが、そういった複数の変化球を同じゾーンに集めることで、効果が発揮されています。 気になるのは、右打者に対してチェンジアップ系の球がなく、球速の近いツーシームと速球が中心だということ。そのため外角高めに入ってくる速球を、ことごとく打ち返されていました。興味深いのは、右打者外角のボールゾーン~ストライクゾーンに入ってくるバックドアという配球を使っていた点でしょうか。しかしいずれにしても、もう少し右打者の内角を突けないと苦しいように思います。 その他 走者を背負っても、牽制らしい牽制はあまり観られず。クィックは、1.05~1.15秒前後であり、まずまず。フィールディングも平均レベルであり、投球以外の部分はそれほど優れた選手ではないように思いますし、センスや運動神経の高さは感じません。 (投球のまとめ) 淡々と投げ込んでくるタイプであり、気がついたらそれなりにまとめていたという投球。球威・球速はドラフト指名選手としては平均以下で、特にこれは!という球もありません。 しかし複数の変化球を駆使して、相手の狙いをズラすピッチングができており、右打者への投球さえ克服できれば、使い勝手良い投手だけに現場としては重宝するのでは? ただしオーソドックスなサウスポーのため、それほど左対左のメリットが高い投手ではないように思います。そんななか、いかに自分の特徵をアピールして行けるかではないのでしょうか? (投球フォーム) ではフォームの観点など、技術的にはどうなのだろうか? <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせており、お尻は三塁側(左投手の場合)に落としており、カーブやフォークといった球種を投げても無理がありません。 「着地」までの粘りは平均的で、体を捻り出す時間は並。そのせいか? 特に変化球の曲がり幅・キレに特徵は生まれていません。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ グラブが最後まで体の近くに抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲での地面への押し付けもできており、ボールもそれほど上吊り難いはず。しかし実際は、結構高めに抜けることも少なくはありません。 「球持ち」は並で、それほど指先の感覚は良い方には見えません。しかし四死球率は低く、そういったところから崩れる心配はほとんどないと言えるでしょう。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻の落としはできているので、カーブやフォークといった球を投げても肘への負担は少ないはず。しかしそれ以前に、こういった球はあまり投げません。 気になるのは、腕の送り出しに少し無理があり肩への負担は少なくないということ。しかしそれほど力投派でもないので、悲観するほどではないのかもしれません。使い勝手が良く中継ぎで重宝されて負担が大きくなった時に、肩への負担を注意すべきかと。 <実戦的な術> ☆☆ 「着地」までの粘りが並なので、打者としては苦になるフォームではありません。しかしながら体の「開き」は抑えられており、コースを間違わなければ、それほど痛手は喰らわないのでは? 気になるのは、振り下ろした腕が身体に絡んで来ない点。そのため速球と変化球の見極めがつきやすく、打者から空振りが誘い難いのではないかということ。もう一つは、ボールへの体重の乗せが甘く、打者の手元まで活きた球が行かないこと。そのため、速球のインパクトが薄いと考えられます。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」は抑えられていて、「着地」と「球持ち」は並。「体重移動」に課題があることがわかります。そのため、ボールの質に影響するわけです。 コントロールを司る動作は良いのはいいのですが、肩への負担が大きななのは気になります。 (最後に) 私の格言の中に「コントロールの良い左腕は買い!」という言葉があり、それにのっとれば、この選手の指名はありなのでしょう。 しかし左腕にしては、右打者への攻めに課題があり、そこを改善してからでもプロ入りは良かったのではないかと。タイプ的には、海田 智行(日本生命-オリックス)左腕的な投手であり、上手くハマれば使い勝手の良い投手として重宝されるかもしれません。しかし現時点では、まだピンと来るものはなく、プロ入りには時期尚早だったのかなという印象で、指名リストからは外したいと思います。 (2015年 横浜市長杯) |