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本田 圭佑(西武)投手のルーキー回顧へ







本田 圭佑(東北学院大)投手 178/73 右/右 (東北学院出身) 
 




                         「底が浅い」





 東北学院高時代から綺麗なフォームから投げ込む投手で、大学下級生の時も生で見たことがあった。当時は、速い球を投げられそうなフォームをしていながら、意外に球速が出ない投手、そんな印象が強い。しかし昨秋は、MAX147キロのボールを投げていたということで、どのぐらい成長しているのか楽しみだった。


(投球フォーム)

 非常に綺麗なフォームで投げ込む、正統派右腕といった感じの投手。私が会場に着いた3回ぐらいには、すでにセーフティーリードに入っており、やや力をセーブするようになってしまっていた。

ストレート 常時135キロ前後~MAX87マイル(139.2キロ)

 丁寧に両サイドに投げ分けるコントロールがあり、ボールそのものにはキレがある。しかしながら、キレ型故に球威が物足りない。さらにコースには散るが、全体的にボールが高い傾向にあり、甘く入ると球威がないだけに怖い。

変化球 スライダー

 変化球は、横滑りするスライダーとのコンビネーション。他にもカーブ・チェンジアップ・スプリットなどを持っていると聞いていたが、この試合では見られなかった。そのため抑えてはいたものの、投球内容が薄っぺらく奥行きが感じられない。これでは、プロの打者相手に、抑えこむのには厳しいだろうというのが率直な感想。

(投球のまとめ)

 178/73 の中背の体格もあり、よほどボールが切れる、コントロールに優れる、変化球が冴え渡るなどの特徴がないと、正直厳しい。確かに好調時には140キロ台後半を出すときもあるのかもしれないが、それだけでは抑えこむのは厳しいだろうなというのが、全体を通じての感想。その辺が、普段からどうなのかは、残した成績やフォームからも考えてみたい。

(成績から考える)

6試合 3勝2敗 41回1/3 31安打 16四死球 45奪三振 防御率 2.18

1,被安打はイニングの70%以下 △

 被安打率は、75.1% 。地方リーグの選手ならば、70%を切りたいところ。それだけにコンビネーションの底が浅いとか、ボールに圧倒的なものがないことを、数字も示している。

2,四死球は、イニングの1/3以下 △

 四死球率は、38.7%であり、基準を満たしていない。このぐらいだと大まかに投げ分けるコントロールはあるが、繊細なコントロールがないことがわかる。特に球威・コンビネーションに課題があるだけに、もうワンランク上のコントロールが欲しい。

3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◎

 1イニングあたりの奪三振数は、1.09個 。先発投手ながら、イニングを上回るペースで三振が奪えている。これは、ボールがキレ型で、空振りが奪いやすいことが大きいのではないのだろうか。

4,防御率は1点台以内 △

 地方リーグの選手ならば、防御率は1点台、できれば1.50位内には抑えたいところ。3年春に1.56でリーグ1位、3年秋には、1.61でリーグ2位の数字を残しており、そのぐらいの能力は持っていることはわかる。

(データからわかること)

 実際の投球を観て感じたとおり、データの上でもワンランク上を追求して欲しい。逆にその辺がクリアできるぐらいの力が付いてくれば、指名も意識できるぐらいにはなっているだろう。現状物足りなく感じられるのは、データの上でも裏付けができた。





(投球フォーム)

 では実際には、どの辺に問題があるのか、フォームを分析して考えてみたい。特に足を引き上げて、軸足一本で立った時のバランスの良さが光る。そういったところに、投手としての筋の良さは感じられる。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を、比較的高い位置でピンと伸ばしています。そのためお尻は一塁側に落とすことができ、身体を捻り出すスペースが確保できています。すなわちカーブやフォークを投げるのに、無理がないフォームだと言えます。

 「着地」までの粘りは平均的で、身体を捻り出す時間が並なのが残念。この辺にもう少し粘りが出てくると、変化球の曲がりやキレに特徴が出てくるのではないのでしょうか。


<ボールの支配> 
☆☆☆☆

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲でも地面を捉えているようには見えるが、ボールが全体的に高いのはどうしてだろうか? 「球持ち」も特に悪くないが、それほど指先の感覚に優れているわけではなさそう。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆

 お尻は落とせるフォームなので、カーブやフォークといった球種を投げても無理はありません。しかしそういった球はあまり見られないので、肘への負担は少ないのでは。

 腕の送り出しにも無理は感じないので、肩への負担も少なそう。力投派でもないので、故障のリスクは少ないフォームだと言えそう。


<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りが並なので、打者にとって厄介なフォームではなさそう。それでも「開き」自体は抑えられているので、コースに投げていれば、痛打を食らう可能性は低いのでは。

 振り下ろした腕は身体に絡み、速球と変化球の見極めは困難。しかしながら、ボールへの体重の乗せが不十分で、打者の手元までグッと乗った感じの球が投げられないのが気になります。


(フォームのまとめ)

 フォームの4大要素である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「体重移動」に課題を残し「球持ち」は並で、「開き」は抑えられて優れています。全体的に、下半身の使い方に課題があることがわかります。

 コントロールを司る動作は悪くなく、故障のリスクがないところは明るい材料。


(最後に)

 投球における球威の物足りなさ、引き出しの少なさ、フォームにおける下半身の使い方などに課題を感じます。この辺を、社会人の2年間で磨くことができれば、即戦力投手としてプロ入りも期待できそう。

 現時点では、ちょっとプロに入るにはパンチに欠けている印象は否めません。目的意識を持ってレベルアップして行けるのか、少し長い目で見守って行きたいですね。



(2015年 春季リーグ戦)