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井口 和朋(日ハム)投手のルーキー回顧へ







井口 和朋(東農大オホーツク4年)投手 177/73 右/右 (武相出身) 





                      「本会議の指名も」





 全日本大学選抜を決める春の平塚合宿で見た時は、指名ボーダーラインの選手で育成枠ならば指名があるかなぁという程度のものだった。しかし大学選手権、今回のNPB選抜との投球を見ると、本会議での指名も充分意識できるものになってきた。


(投球内容)

 この選手は、実戦になればなるほど力を発揮できる使い勝手の良いタイプ。投げっぷりがよく、違和感なくリリーフからでも試合に入って行けるのが持ち味。

ストレート 常時140キロ台~MAX146キロ

 球速的には、ドラフト指名される右投手としては平均的。しかし右打者外角へのクロスの球筋が、ズバッとコーナーいっぱいにコントロールすることができた時には唸るものがあります。その球質も、球速以上にズシッと来る厚みがあり、プロ向きの球威も兼ね備える。また腕を上から叩いてくるので、ボール自体に角度が感じられるところも良いところ。両サイドにボール散らすことができる、適度なコントロールも併せ持つ。

変化球 縦・横のスライダー・カーブなど

 横に大きく滑るスライダーを持っており、この球の曲がり幅に大きな特徴があります。更に縦に落ちるスライダーもあり、非常に効果的に使えています。余裕が出てくると、ゆるいカーブなども織り交ぜ、投球にアクセントを入れてきます。

その他

 牽制もまずまず鋭く、クィックも1.05~1.15秒ぐらい。。あまり細かいコントロール・投球術などはないものの、投げっぷりの良さが光ります。

(投球のまとめ)

 神宮大会の経験からか、全国の舞台でも地に足の着いた投球ができるようになっていました。超A級の素材ではありませんが、使い勝手の良い選手ですし、現場としてはいると重宝される選手ではないかと。

 現状ではプロでローテーションに入ってゆくほどの力はありませんが、リリーフならば一年目から一軍でソコソコやって行けるかもしれません。40試合・防御率3点台ぐらいの活躍を見せても不思議ではないでしょう。見るたびに成長を感じさせるところにも、好感が持てます。


(最後に)

 春先の寸評でもフォーム分析をしているので、今回は致しません。しかしこの春は、昨秋の 0.41 の防御率に続き、0.49 とリーグ戦で活躍。着実に力を付けてきていますし、全日本メンバーにも選出され箔がつきました。国際大会でどんな活躍を見せてくれるか、非常に楽しみだと言えるでしょう。今ならば、☆ をつけてみたいと思わせるレベルに到達しました。秋も順調ならば、中位~下位指名になってしまうかもしれませんが、本会議での指名も充分ありえるのではないのでしょうか。


蔵の評価:
☆☆


(2015年 NPB選抜との交流戦)
 









 井口 和朋(東農大オホーツク4年)投手 177/73 右/右 (武相出身)





                    「神宮大会で一躍全国区」





 風張蓮(ヤクルト)が注目された(東農大オホーツク)において、こちらの井口も中々良いじゃないかと注目された明治神宮大会。武相高校時代から神奈川では知られた投手だったが、一躍この大会で全国区へとなった。一冬越えた最終学年、井口はプロを意識できる存在なのか、平塚合宿で確認してみた。


(投球内容)

ガッチリした体格から、力強いボールを投げ込んでくるパワーピッチ。

ストレート 常時130キロ台後半~MAX142キロ

 球速こそ際立つものはないが、開幕の遅い北海道のチームの選手だけに、球速はシーズンに入ってくれば更にワンランク上がって来るはず。実際に神宮大会の時には、140キロ台中盤を記録していた。その球速以上に、ズシッと来る感じの球質で、ボールそのものの存在感はまずまず。両サイドにも投げ分けられており、細かさはなくても荒れ荒れの投手ではない。また球筋にも角度があり、打者としては芯で捉えにくい可能性も感じる。

変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップなど

 最大の武器は、大きく横に曲がりするスライダー。この球とストレートで投球を組み立てつつ、ときどき緩いカーブを織り交ぜたり、チェンジアップを使ってきます。変化球のコントロールも悪くなく、両サイドに散らしつつ真ん中~低めのゾーンには集まります。特にスライダーの曲がりはハードであり、この球はプロでも充分通用するはず。

その他

 牽制もまずまず鋭く、クィックも1.05~1.15秒ぐらいでまとめられており合格点。あまり細かいコントロール・投球術などはないものの、大まかに投げ分けて来るコントロールはあります。

(投球のまとめ)

 まだまだ発展途上の投手との印象で、一年目からガンガン働くような完成度の高さ・圧倒的な力は感じられません。しかし伸び代も秘めており、育成枠あたりならば指名もあるかもと思わせるボーダーライン上の選手。更にリーグ戦に入り、もうワンランク上の投球を示せれば、指名も現実味を帯びてくるのではないのでしょうか。



(投球フォーム)

 ワインドアップで振りかぶりますが、軸足一本で立った時に、体が直立して膝に力みが感じられるところが残念。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしており、お尻は一塁側には落とせません。体を捻り出すスペースは確保出来ていないので、どうしてもカーブを投げるときには腕が緩んでしまったり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種はどうでしょう?

 大きく前に足をステップさせることで、「着地」のタイミングを遅らせることは出来ています。そのため体を捻り出す時間は確保でき、良い変化球を投げられる下地は持っています。現時点でも、大きく曲がるスライダーを武器にできていますから。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドのコントロールは安定しやすいはず。足の甲の押し付けは、ハッキリとわからなかったのですが、地面を捉えているようには見えます。球筋自体も、それほど上吊っていませんから。残念なのは「球持ち」が浅く、ボールがあまり押し込めていないこと。この辺をもう少し我慢できるようになると、ボールの質・コントロールも変わってくるのではないのでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆

 お尻を落とせないフォームの割にはカーブを結構使ってきますが、今後肘などを痛めないように気をつけたいところ。腕の振り下ろしにも結構角度をつけて無理があるので、肩への負担も若干気になります。力投派でもあるので、登板過多になると疲労度・ダメージも大きいのではないのでしょうか。使い減りしなそうな体付きですが、その辺は充分注意してもらいたいですね。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆

 「着地」までの粘りもそれなりですし、体の「開き」も抑えられています。ボールにも角度がありますし、甘く入らなければ痛手は喰らい難いタイプかと。

 力投派の割に、投げ終わったあと身体に腕があまり絡んで来ないのは気になるところ。ボールには体重が乗せられており、打者の手元までの勢いは悪くありません。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」に課題があり、それ以外の部分は悪くありません。

 コントロールを司る動作は平均的ですが、故障のリスクが少し高いのが引っかかります。


(最後に)

 神宮大会で一躍名を馳せたのは、大舞台でも物怖じしない投げっぷりの良さ。これこそ彼の真骨頂であり、細かい部分はまだまだですが、今後の伸び代に期待が持てる素材としてマークできることでしょう。高い評価出来ませんが、ドラフト当落線上にいる選手。この春の活躍次第で、指名の有無が決まるのではないのでしょうか。引き続き、追いかけてみたいと思わせてくれました。


蔵の評価:
追跡級!


(2015年 平塚合宿)
 









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