15dp-12
石田 光宏(関西大4年)投手 181/77 右/右 (近江出身) |
「シーズン中に観てみたい」 今年の3月に、全日本大学選抜を決める平塚合宿のため関東にやってきていた 石田 光宏 。関西屈指の好投手の呼び声高い投手だったが、この日の投球はプロを想定すると物足りないものだった。それだけに、シーズン中の投球を観て判断したいと思っている。 (投球内容) 非常にオーソドックスなフォームから投げ込む、正統派の好投手といった印象を受けます。昨年も平塚合宿に選出されて見ましたが、その時とあまり印象は変わりません。 ストレート 常時130キロ台後半~MAX144キロ 特に手元までグッと来る感じや、ピュッと切れるようなことはなく、ボールの質としては平凡かなと。球速も130キロ台後半~MAX144キロと、ドラフト候補としては平均的。特に気になったのは、全体的にボールが高いことが気になりました。高めに行って打ち取れるほどの勢いがあれば良いのですが、けしてそういった球ではないので。 変化球 スライダー‥チェンジアップ・ツーシーム? 小さく横滑りするスライダー、それにチェンジアップ、更にスピードのあるツーシームのようなボールもあるように見えます。変化球も、打者を仕留めるほどの絶対的なキレはありません。特に変化球は、高めに甘く浮くので気になります。コンビネーションで討ち取るタイプだけに、この精度の低さはどうでしょうか? その他 牽制に関しては、中の上ぐらいと悪くはありません。特筆すべきは、クィックの速さ。これに関しては、0.9秒台で投げ込めることが多く、かなり素早いといえます。 (投球のまとめ) コントロールが悪く四死球で自滅するとかそういったタイプではなく、ストライクゾーンの枠の中での甘さがあります。これがまだ開幕まで1一ヶ月ぐらいある時期だったからなのか? それとも普段からこうなのかは、シーズンと見比べてみないとわかりません。 しかしそれを補うだけの、ボールの勢い・変化球のキレがあるわけではないので、現状ドラフト指名となると物足りません。 (投球フォーム) では投球フォームの観点から、考えてみましょう。 <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落とせません。すなわち体を捻り出すスペースは確保できず、カーブで緩急を利かせたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種の習得は厳しいでしょう。 「着地」までの粘りも平均的で、体を捻り出す時間も平凡。こうなると変化球のキレ・曲がりも平凡になりやすく、武器になる球の習得は厳しいかもしれません。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲でも地面を捉えているように見えますが(ちょっとわかりづらい)、その時間が短く充分ではないのかもしれません。それゆえに、ボールが上吊りやすいのかも。また「球持ち」がよく、もっと指先の感覚が優れているタイプかと思っていましたが、けしてボールの押し込みが深いタイプではありません。この辺も、ボールが高めに浮きやすい要因なのではないのでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻を落とせないフォームですが、カーブやフォークは見られませんので、肘への負担は少ないのでは?ただし今後、ツーシームなどを多く使って来るようだとわかりません。 また腕の送り出しを見る限りは、肩への負担は少なそう。それほど力投派でもないので、故障の可能性は低いのではないのでしょうか? <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りは平均的で、打者としてはそれほど苦になるフォームではなさそう。また体の「開き」も少し早く、コースを突いても打ち返されてしまう危険性を感じます。 振り下ろした腕は身体に絡み、速球と変化球の見極めは困難。ボールへの体重の乗せも悪くなく、最後地面をシッカリ蹴りあげています。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」にこそ問題を感じませんが「着地」「球持ち」は平凡で、「開き」の早さが気になります。実戦派に見えますが、技術的にはけして高くありません。 コントロールを司る動作も高めにボールが集まりがちですが、故障のリスクがそれほど高くないのは救いでしょうか。特に打ちづらさがあるわけではなく、むしろ合わされやすいフォームです。 (最後に) 特に嫌らしさがなく、平凡な投手との印象を受けます。ただしマウンド捌きの良さなどの野球センス・要所を締める気持ちの強さなどは併せ持ち、その辺が関西を代表する投手へと昇りつめた要因ではないのでしょうか。 現状は、社会人などに進むタイプなのかなと思っています。しかしシーズン中の投球を、ぜひ確認してみたいですね。そのためにも、ぜひ大学選手権まで駒を進め、全国大会でその勇姿を確認したいものです。 (2015年 平塚合宿) |