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5 倉本 寿彦(27歳・4年目)内野 180/82 右/左 (横浜-創価大-日本新薬出身) |
(プレースタイル) 柔らかいリストワークを活かした巧打が魅力で、打てる二遊間としての希少価値がある。また早いカウントから積極的に打ち行く打撃スタイルで、四球が少ないのが特徴。16年度は141試合、17年度は143試合に出続けるなど、心身共にタフで怪我に強く休まない。他の選手が打っていない時にヒットを放つなど、チームの中でも異色の存在感を醸し出す。 (長所と短所) 周りに何を言われようとも、意に介さない良い意味での鈍感力を持っている。そのため、精神的には極めてタフ。そんなこともあって、得点圏に強い勝負強さも生まれるのだろう。 良い意味で一本筋が通っていて、悪く言えば融通が効かず、なかなか悪いところを修正できない。それは時に不調にハマり、なかなか抜け出せない事態に陥る。 (守備・走塁面) 入団以来ショートという難しいポジションを担いながら、.980・989・979厘と高い守備率を誇ってきた。その一方で守備範囲が狭く、後ろに下がってボールを処理する場面が目立ち、数字に現れないミスも少なくない。特筆すべき点は、地肩が強く送球の乱れが少ないこと。すなわちこの選手の守備は、追いつける範囲は限られているものの、追いついた球はしっかり処理することができる。 それでもプロのショートとしては物足りないので、今年からセカンドコンバートの話が現実味を帯びてきた。特に下がって捕っても一塁までが近いセカンドの場合、それが致命傷になり難い。また地肩の強さを活かし、併殺プレーも多く望めるだろう。セイバーメトリクスの守備指標であるUZRでは、球界でも下位レベルに位置するショート。しかしセカンドの守備に慣れれば、平均レベルのセカンドにはなれるかもしれない。オープン戦を見る限りは、まだ不慣れなため捕ってから焦ってしまいポロポロする場面が目立った。しかしこの辺は、馴れてゆけば解消できるはず。一年間守らせて、セカンドでどのぐらいの数字を残すのかまずは観てみたい。 入団以来の盗塁数は、0・2・3個となっており、年齢の割に非常に少ない。全く動けないわけではないが、盗塁への意識も低く、走力自体も並のプロ野球選手といった感じで期待できない。今後も走塁では、多くは望めないだろう。 (打撃に関しては) 昨年は開幕から長らく不調に陥り、調子を取り戻すのに多くの時間を要した。しかし今年は、オープン戦から巧打を連発。初の3割到達にも、期待を抱くシーズンとなる。特に遠心力を活かし遠回りに軌道するスイングで、そのぶん外角に強い特徴があった。反面内角の球にはバットが出難ったのだが、今年は内角を上手く巻き込んで長打に繋げることができている。内角への不安が減り、打率だけでなく長打も増えてくるシーズンになるのではないかとみている。ハンドリングの柔らかさ(宮崎は捌きの上手さ)は、現在のベイスターズ打線でも屈指の技術を誇っている。 (入団以来の推移) 1年目から我慢して起用したのもあり、レギュラーに定着。その経験を活かした2年目には、打率.294厘を残し不動のショートへと成長した。その一方で昨年は、打撃改造を試みるも上手くゆかず出遅れる。復活を期す今年は、開幕からもガンガン打ってくれるだろう。その一方で入団以来守ってきた守備位置が、ショートからセカンドへとコンバートが検討されている。しかしそのぶん打撃で活躍、セカンドでも無難なプレーを見せれば、チームでの存在感は今まで以上に高まるとみている。 (これからの倉本に望むこと) けして長打で魅了する選手ではないので、センターラインに居続けて欲しい。「打てる二遊間」だからこそ、この選手の価値があると私は考えている。また守備の負担が減るセカンドならば毎年3割前後を期待できるだけの能力を持っているし、近い将来には首位打者を獲っても不思議ではない。あわよくばもう少し長打が増えてくれればと思うし、アマ時代のプレーを見る限り年間二桁本塁打ぐらいは打てる能力は持っているはず。毎年3割・10本 は放ってセカンドを無難にこなしたら、リーグを代表する二塁手になっていることだろう。そういった未来像を、倉本 寿彦 には描きたい。 (2018年 3月22日更新) |
倉本 寿彦(23歳・日本新薬)遊撃 180/82 右/左 (横浜-創価大出身) |
「大学・社会人NO.1内野手」 今年も大学・社会人球界には、プロでもニ遊間を担えそうな選手は枯渇している。そんななか救世主となりそうなのが、この 倉本 寿彦 。創価大時代のレポートを読むと、いつも三拍子中の上レベルでバランスが取れているが、何かプロで売りにできる特徴が欲しいとコメントしてきた。しかし今年に入り、打撃が急成長し異彩を放っている。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、左打席から4.1秒前後。これはプロの基準である4.2秒を満たす数字ではあるが、プロで足を売りにできるほどの絶対的なスピードではない。実際に試合を見ていると、盗塁を積極的に仕掛けるタイプではない。 遊撃手としては、ボールを丁寧に扱おうという姿勢が感じられる。特にフットワーク・キャッチングなどに派手さはないが、スローイング含めて安定。都市対抗予選の5試合で、失策は1個。プロでレギュラーの遊撃手となれるかは微妙なレベルだが、ニ遊間を担って行ける素材ではあるだろう。地肩は、それほど強い返球は見られないものの、難しい体勢からでも送球が乱れないのは、地肩が強いからだろう。ドラフト候補としても、地肩も基準レベルは満たしている。 現状は、走力は並。守備は、ドラフト候補としては中の上レベルと考えてよさそう。 (打撃内容) 左打者には珍しく、クロスに構える。どことなく構えた時の雰囲気は、小笠原 道大(現中日)内野手を彷彿とさせる。ここに来て伸びてきたのは、対応力というよりは長打力。オーバーフェンス連発というわけではないが、二塁打など野手の頭を越えるような長打が増えてきた。 都市対抗初戦の富士重工戦では攻守に大活躍だったが、結局三試合のあベレージは.231厘。更に、予選でも3割だったことを考えると、対応力はそれほど変わっていない。 <構え> ☆☆☆ 両足を揃えて構えていますが、両肩を結ぶラインは少しクローズ気味に。グリップの高さは平均的で、あらかじめ捕手方向に引かれています。腰の据わり・全体のバランスという意味ではもうひとつですが、両目で前を見据える姿勢は並ぐらい。クローズドスタンス独特の、少し癖のある形になっています。 <仕掛け> 早めの仕掛け 投手の重心が下がる途中で動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターが採用する仕掛け。しかし実際には、パンチ力もあり中距離タイプの打者に見えます。 <足の運び> ☆☆☆☆ 始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも幅広く対応しやすい打ち方。しかし実際は、いろいろな球に対応するために足を高く早めに引き上げているというよりも、強く踏み込むためだと考えられます。そのため始動が早い割には、それほど対応力は高くありません。特に緩いカーブ系の球に脆く、この点は気になりました。 真っ直ぐ踏み出してくる選手で、内角でも外角でも幅広く対応。都市対抗の富士重工戦でも、外角の球でも内角の球でもヒットを打っていました。特に踏み込んだ足元がブレず、腕がよく伸びるところの打球は伸びます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ あらかじめグリップを捕手方向に引いているので、打撃の準備である「トップ」の形は早く作れます。そのため速い球に立ち遅れる心配はありませんが、リストワークにあまり柔軟性は感じません。 バットの振り出しにも癖はないのですが、けしてインサイド・アウトの最短距離で振りぬくというスイングではなく、バットのしなりを活かした大きなスイングが特徴。そのため打球は、レフト方向へも大きく伸びてゆきます。それでも内角よりも球は、しっかり引っ張ることができ、どの方向にも強い打球が飛ばせます。上手く合わせるというよりは、強く叩くスイング。 <軸> ☆☆☆☆ 足を大きく上げ下ろししますが、目線はそれほど上下に動きません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足も力強く根を張って打てています。打球が伸びるのも、この軸足の内モモの筋肉が強いからでしょう。 (打撃のまとめ) ボールを捉える柔軟性や打撃の感性には、あまり特別なものは感じません。しかしボールを強く、遠くにという能力には非凡なものを感じます。けして長距離打者ではないのですが、野手の間や頭を越えて行くような、破壊力のある打撃は期待できそう。あとは、プロでどのぐらいの打率を残せるのかが、一つポイントではないのでしょうか。 それでも上半身の使い方、下半身の使い方などに悪い癖はなく、技術的にもある程度プロの一軍を意識できるだけの技術は備わってゆきます。あとは、何処までプロで何かを掴み、それを広げて行けるかではないのでしょうか。それでも大学時代には何か特徴に欠けていたところを、ここまで打撃で存在感を示せるまでには、それなりの努力を重ねてきたはず。その点では、プロでも資質を伸ばせる可能性は充分あると感じます。彼は天才肌ではなく、努力で作り上げてきたタイプです。 (最後に) プロに混ぜてしまうと、守備・走力・対応力という意味では平凡です。それでも丁寧なプレーで、安定した守備を。努力して積み重ねてきたスイングで、破壊力を磨いてきました。そういった積み重ねてきた選手なので、きっとプロでも自分の生き残る術を、見出して行けるのではないかという期待は抱けます。 プロでも環境に慣れれば、2割7分・15本級ぐらいで、ニ遊間を担えるぐらいの選手までには、育つかもしれませんね。ただし都市対抗初戦の富士重工戦の内容は、攻守に出来すぎだった気がします。あれをアベレージの力だと考えてしまうと、ちょっとプロ入り後はあれ?ということになってしまうかと。プロでその存在感を示すのは、数年後になるのではないのでしょうか。プロでは一年目よりも、数年後にその才能が爆発すると考えています。 蔵の評価:☆☆ (2014年 都市対抗) |
倉本 寿彦(創価大)遊撃 180/75 右/左 (横浜高出身) |
チームの5番・遊撃手を務め、攻守の中心的な役割を果たします。神宮大会代表決定戦でも、創価大の野手の中ではこの選手が一番を目をひきました。 (第一印象) 大型ですが、いかにもセンスが良さそうだなと、その立ち姿からも感じられる。実際試合でも、三拍子バランスの取れたプレーヤーだという印象を受けた。 (長所) 180センチ台の体格の割に、守備に走力に地肩にと身体能力を秘め、動ける選手なのは貴重。 踏み込んだ足元がブレず、下半身が安定している。そのため外角の球でも、きっちり叩くことができる。 バットの振り出し~フォロースルーまでの一連のスイング軌道がよい。 足の上げも静かで、目線・体の開き・軸足の崩れも小さく、軸がしっかりしている。 (課題) 構えた時のバランスなどは良いのだが、少し力が入りすぎかなと。もう少しリラックスして構えられると、もっと打撃の幅が広がりそう。 打撃の準備である「トップ」を作るのが遅れ気味で、もう少し早くバットを引いてトップの形を作りたい。また「トップ」自体も浅いので、キッチリ深くとりたいところ。 三拍子が中~中の上レベルでまとまっており、何か図抜けた特徴が欲しい。ただその中では、打撃がしっかりしている点は好感が持てる。 (将来に向けて) 今のままだと、社会人タイプの好選手かなと思える。ただもう少し守備でアピールできれば、ニ遊間を担える好打者だという付加価値もついて来るだろう。 現状は、同じように左の好打者からプロ入りした田上健一(阪神)に比べると、ワンランク落ちる印象は否めない。田上の場合外野手ではあったが、走力という売りがあった。今後は自分の色をどう出してゆくのか、最終学年でのプレーに注目したい。 (2011年 神宮大会) |