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戸柱 恭孝(DeNA)捕手のルーキー回顧へ







 戸柱 恭孝(24歳・NTT西日本)捕手 179/88 右/左 (鹿屋中央-駒大出身)
 




                      「今年は指名されるはず」





 昨年はチームの引き止めもあったのか? ☆ を付けたものの指名されることなく残留となった 戸柱 恭孝 。しかし2015年度の社会人球界において、最も成熟した捕手との印象で、今年は間違いなく指名されるだろうという確信を持てる数少ない野手の一人。昨年と比べて、どの辺が変わってきたのか考えてみた。


(ディフェンス面)

 昨年も触れましたが、体を低く小さく構えることで的が浮き彫りになり、投手としては狙いをつけやすい。また低く構えることで、審判からもより低めの球筋が見やすいという、周りに配慮できるキャッチングが彼の最大の特徴。

 昨年からの変化は、一度ミットを地面に着けてしまう癖が改善されたこと。これにより、ワンバウンドするような球に対しても立ち遅れることなく対応できるようになりました。ただし一球一球のボールの押し込みは弱く、また低めの球に対しても上から被せるように捕りにゆくことが多いので、ボールを後ろに逸らす危険性を強く感じます。こういった部分のキャッチングは、プロでも結構苦労するのではないかと感じます。この辺は、社会人でも屈指のキャッチング技術を持つ、足立 祐一(パナソニック)捕手あたりに比べると、大きく見劣りします。

 リードに関しては、かなり安心して見ていられる成熟したものがあり、カバーリーングなどの動作も怠らないプレースタイルなどは、アマでもトップクラスの捕手だと感じます。その一方で、二塁までのスローイングは1.9秒前後とドラフト候補としては平均レベル。そういった素材としての凄みやスケールは、それほど感じられません。


(打撃内容)

 昨年の都市対抗同様に、いやそれ以上に打撃で存在感を示した大会でした。何より、この大会に賭ける意気込みを感じます。木下 拓哉(トヨタ自動車)のように、4番という重責を背負わされることはありません。しかし与えられた役割以上に、結果を残して見せたところは高く評価できます。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり・全体のバランスに優れ、両目で前を見据える姿勢は並でしょうか。打席での、気合が全面に感じられるプレースタイル。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す「平均的仕掛け」を採用。ある程度の対応力と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターが多く使うタイミング。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 始動~着地までの「間」はそこそこで、速球や変化球に対してもそれなりに対応。昨年はベース側にインステップして踏み込んでいたのを、真っ直ぐ踏み出すことで、内角でも外角でも幅広く対応することを重視しているようです。

 踏み込んだ足元は、インパクトの際にもブレず。外角の球に対しても、きっちり長打が打てるように、開きを我慢してついて行けるところが良いところ。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、リストワークを柔らかく使えるところは良いところ。速い球に立ち後れないことに注意すれば、安定した成績が残せるのではないのでしょうか。しかし都市対抗の時は、少しバットを引くのが遅れがちだったのは気になります。

 インサイド・アウトで最短距離というスイングではなく、外の球に対し最も強いエネルギーを集約できるタイプのスイングです。そのため左打者ですが、内角を綺麗に巻き込むよりは外角の球をきっちり叩くことで結果を残すタイプなのでしょう。

 バットの先端であるヘッドも下がることなく、強く振り抜けられています。オーバーフェンスで魅了するというよりは、強い打球で間を抜けてゆくことに主眼が置かれているように思われます。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げはあっても、目線の上下動は並ぐらい。体の開きは我慢できており、軸足にも粘り強さが感じられます。

(打撃のまとめ)

 昨年とフォームは大きく変わっていない感じで、インステップして得意のアウトコースを叩くことに主眼が置かれていたところを、内角にも多少意識を傾けた踏み込みになっているとぐらいの違いしか感じません。意識的にウエートを増やすことで、より打球の強さ・打撃の迫力は昨年よりも増しているようには感じます。

 将来的に中軸を打つとかそういった凄みは感じられませんが、技術的にはシッカリしており、6番あたりまでなら環境になれれば可能かもしれません。捕手として求められる以上の打撃は、期待できるのではないのでしょうか。


(最後に)

 捕手として凄いとか、打者として中心的なとか、そういった素材としての凄みは感じられません。しかし守備でも打撃でも、その期待される役割以上のものを、実戦で引き出してくれるタイプの選手ではないかと思います。

 プロの落ちる球に対し、キャッチング等での心配は若干感じますが、今のスタイルでも目立ったミスは少ないので、ある程度は対応できるのかもしれません。プロでレギュラー捕手まで昇りつめられるのかと言われると、二番手・三番手ぐらいまでの捕手かなという気もしなくはなりません。

 しかし即一軍争いをしてくれる捕手を探しているような球団ならば、その期待に応え得る数少ない人材ではないのでしょうか。ドラフトでも3~5位ぐらいでは、間違いなく指名されると思います。今年は吉報を、期待しても良いのではないのでしょうか。


蔵の評価:
☆☆ (4位前後ならば充分ありなのでは)


(2015年 都市対抗)


           
 





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戸柱 恭孝(24歳・NTT西日本)捕手 178/83 右/左 (鹿屋中央-駒大出身) 
 




                    「補強選手なのにスタメンマスク」





 大阪ガスは、多彩な投手陣のリレーで勝ち上がってきたチーム。そんなチームのマスクを、補強選手である 戸柱 恭孝 は任された。ライバルチームの選手だとはいえ、普段バッテリーを組んでいるわけではない。そんな難しい役どころを、この短期間の大舞台で任せられるのには、それだけ絶大な信頼があったからこそだのはず。

 駒大時代から、知る人ぞ知る好補手でした。攻守に派手さはないものの、確かな実力がある選手として、スカウトからも注目されるほどの存在。


(ディフェンス面)

 身体をコンパクトに屈め、投手からは的を大きく、審判からは低めの球筋が見やすい姿勢を保ちます。これだけでもこの選手が、周りに気を遣えることが伺えます。気になるのは、一度示したミットを地面に下げてしまうことがあること。それほどワンバウンド処理に立ち遅れるほどの大きな動作ではありませんが、ボールの押し込み等含めて、キャッチングに良さを感じません。大学時代は、ボール押し戻すような力強いキャッチングをしていたのですが。ただしフットワーク・ボール捌きなどはよく、動きの悪い選手ではありませんでした。

 多彩な投手陣を操り、チームを準々決勝まで導きました。リードもそれなりのレベルまで来ていますし、大学時代2.0秒前後かかっていてスローイングも1.9秒台前後になり、かなり刺せる実戦的なスローイングに変わってきています。プロレベルに混ぜても、ファームの試合ならスンナリ入って行けるだけのレベルにはあるのではないのでしょうか。


(打撃内容)

 それほど打撃でアピールするタイプではなかったのですが、都市対抗のJR東日本東北戦では、ライトスタンドへ勝ち越しのホームランを含む3安打を放ち、打撃でも存在感を示します。4試合で.357厘と、打撃でもアピールできたのは大きかったはず。大学時代から、思いっきり振り切るスイングには定評がありました。

<構え> 
☆☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢もよく、適度に集中力を感じさせる良い構え。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す「平均的仕掛け」を採用。ある程度の対応力と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターが多く使うタイミング。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 始動~着地までの「間」はそれなりにあり、速球でも変化球でも程よく対応。ベース側にインステップするように、外角を強く意識した打ち方。踏み出した足元はブレないので、外角や低めの球に喰らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、リストワークが固くなることなく対応。バットの振り出しも、インパクトまでロス無く振り抜けています。けしてインサイド・アウトの最短距離で振りぬくようなスイングではなく、大きな弧を描いて思っきり振りぬく強打者スタイル。バットの先端であるヘッドも下がらないので、打ち損じの少ないスイングになっています。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げありますが、上下の目線はそれほど動きません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足も力強く粘れています。

(打撃のまとめ)

 技術的には完成度が高く、当てるというよりは強く引っ張ったく強打者スタイル。際立って当てるのが上手いとかボールを飛ばせる能力はありませんが、捕手に必要な適度な打力は身につけているように思います。インステップして踏み込んだり、インサイド・アウトのスイング軌道でないことからも、内角の捌きが窮屈かなという心配はあります。特に左打者がインステップすると、右投手の食い込んで来る内角球に苦労するので、打率が上がらない傾向にあります。その点で、確実性はあまり高くないのではという気はしています。


(最後に)

 ディフェンスにしても、打撃にしても、すでにある程度完成された選手との印象を受けました。そのため今すぐファームの試合に混ぜても、違和感なく溶け込んで行けるはず。逆に一軍で活躍するような、図抜けた武器がないのも気になります。

 都市対抗では、飯田 大祐(中央大-HONDA鈴鹿)と共に、目立つ若手捕手でした。捕手の頭数が足りない、選手層を厚くして競争を煽りたい。そんな球団の下位指名ならば、指名もありかなと思っています。ドラフト当日、彼の名前が呼ばれるのか、密かに期待してみたい一人でした。


蔵の評価:



(2014年 都市対抗)










戸柱 恭孝(駒沢大)捕手 178/82 右/左 (鹿屋中央出身) 
 
 この春から駒沢の正捕手として出場し、「大学野球」にも来年のドラフト候補リストに名前が掲載されていたので、取り上げてみることに致しました。

(ディフェンス面)

 素早く投手にボールを返し、テンポの良い投球を目指します。ミットを示し、グラブを地面には下ろしません。そのため、ワンバウンド処理への対応も悪くありませんし、ボールを押し返すような、しっかりしたキャッチングができるのが魅力。また塁間2.0秒前後と、驚くようなスピードではないのですが、正確な送球でランナーを捕殺します。ただプロを目指すなら、1.9秒前後では投げられるようにしたいところ。

(打撃内容)

 春は.184厘、秋は.220厘 と対応力に課題があります。ただスイング自体はフルスイング。気持ちよく、バットを振りぬく潔い打撃が持ち味。

 全体に、バランスの取れた良い構えをしています。仕掛けも「平均的な仕掛け」を採用し、中距離で勝負強い打撃が元来の持ち主。

 残念なのは、アウトステップした足元が、インパクトの際に少し我慢が効きません。そのため、外の強い球・逃げて行く球に対しては弱い気が致します。そうかといって、少し体から離れてバットが振り出されるので、内角もアウトステップの割にどうなのかな?という不安も残ります。

(将来に向けて)

 キャッチングを中心としたディフェンス力は悪くないのですが、プロに行くほどの絶対的なポテンシャルは感じません。またバッティングも思っきりの良いスイングは魅力ですが、対応力はイマイチ。そう考えると、攻守に課題を残す選手であることがわかります。

 来春のリーグ戦までに、如何に課題を改善してアピールできるかがポイントになります。現状は、このまま社会人に進んで行く選手ではないのでしょうか。

(2011年 秋季リーグ)