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友永 翔太(中日)外野手のルーキー回顧へ







友永 翔太(23歳・日本通運)外野 170/76 右/左 (東海大相模-国際武道大出身) 
 




                  「あまり気にしたことなかったけれど」





 ドラフト後、中日に3位指名された 友永 翔太 の感想を訊かれたが、「正直、あまり気にしたことがない」と応えた。そう確かに彼は良い選手だとは思っていたが、ドラフト候補として意識したことがなかったからだ。

 2014年度の観戦はじめは、日通VS法大 のオープン戦だった。そのときのレポートを読み直すと、友永は三番・センターで出場していたものの、無安打に終わっている。しかしレポートには、その俊足ぶりには目を見張るものがあると触れている。ここで日通をチェックしてしまった私は、以後日通の試合を観にゆくことはなかったから、なおさら彼の印象が残っていなかったのは致し方ない。改めて都市対抗の補強選手に出場していた彼のVTRを観て、寸評を作成してみた。


(守備・走塁面)

 この法大戦では、一塁までの塁間を左打席から3.9秒で到達した記録されている。このタイムは、プロでも快速レベル。走塁技術次第では、プロでも足を売りにすることは充分可能だろう。都市対抗でも、すかさず出塁すると盗塁を決めていた。またセーフティーバントなどで相手揺さぶることもあり、走力を全面に出したプレースタイル。

 外野手としてのキャッチングなどは、あまり自信がないのだろうか? かなり後ろに守っており、これはボールを下がって捕るのに自信がないからだろう。上手い内野手は後ろに守り、上手い外野手は前で守る、これは野球界の常識でもある。しかしプレーを見る限りは、それほど下手には見えないのだが。特にスローイングは魅力で、低い球筋で伸びて来る送球は、プロでも売りにできるほどの強肩。

少なくても走力・肩という意味では、一年目から一軍を意識できるレベルにあるはず。

(打撃内容)

 今年は都市対抗、日本選手権でも打ちまくり、打撃では一皮むけた感さえある。小柄だが、鋭い打球は印象的。パンチ力もあり、けしてひ弱な打者ではない。特に、ライト方向に引っ張る打球が目立つ。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を引いた左オープンスタンスで、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばし、両目で前をしっかり見据えられており、全体のバランスとしては並ぐらいだろうか。それでも全身を常に動かし、自分のリズムで打席に立てている。

<仕掛け> 平均的な仕掛け

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。これは、ある程度の対応力と長打力をバランスよく兼ね備え、中距離打者やポイントゲッターが扱う打ち方。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 始動~着地までの「間」はそれなりで、速球でも変化球でもそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたい幅の広いタイプ。踏み込んだ足元はブレないので、体の開きも充分我慢できるし、パワーロスも生じません。緩急にもコースに対しても、オールマイティーに対応できるはず。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは平均的で、力みなく自然体。バットの振り出しも、始動~インパクトまで上から無駄なく振り降ろされていています。バットの先端も下がることなく、実にコンパクトに振りぬきます。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げも小さく、目線も上下に動きません。体の開きも我慢でき、軸足も安定。軸を機転に、綺麗に回転出来ています。

(打撃のまとめ)

 どんな球にもそれなりに対応できる技術があり、それでいて鋭く振り抜けるヘッドスピード・打球の速さがあります。すでに打撃としてはほぼ完成されており、大きくいじるところはありません。あとはプロの環境で、いかに必要なものを自分で掴みとってゆくかではないのでしょうか。


(最後に)

 1年目からレギュラー争いが出来るレベルまで、すでに来ていると言えるでしょう。個人的には、田中 広輔(広島)を外野手にした選手みたいなイメージがあります。まぁ田中以上に、足・肩には特徴がありますが。

 問題は、強打者タイプの平田・和田というチーム事情であり、ポジションを争う同タイプとなると、今年.318厘を打った 大島 洋平 がライバルということに。こうなると大島の刺激剤&高齢の和田の衰えをカバーするという役割が中心であり、一年目からレギュラーを取れる環境ではないのかもしれません。

 普通にポジションを与えれば、2割7,8分は打てそうな選手だけに、ちょっと残念な気もしなくはありません。3位の順位で獲るのにはどうかと思いましたが、力量的には充分その価値がある選手だと再認識。あまりプロっぽい感じの選手ではありませんが、3位での指名には納得させられました。この選手が、一年目からどのぐらいやれるのか、ぜひ注目してみたいと思います。


蔵の評価:
☆☆


(2014年 都市対抗)