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小田 裕也(オリックス)外野手のルーキー回顧へ






 小田 裕也(25歳・日本生命)外野 172/69 右/左 (九州学院-東洋大出身)
 




                  「守備・足で食って行ける」





 この手の小柄な巧打者タイプにしては、打球をあまり転がせないので、個人的には今まであまり評価していなかった選手でした。しかし守備・足に関しては、プロでも充分売りにして行けるレベルではないのだろうか。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、左打席から4.0秒前後と際立って速いわけではない。しかしこれは、インステップしてしっかり踏み込んで打つ打者のため、最初の一歩目が遅れるからだろう。しかしセーフティバントのように、最初から走り出すときは、3.6秒を切るような極めて速いタイムで駆け抜ける。

 特に素晴らしいのは、相手の状況をよく観察しており、隙を突いて来る実戦的な走塁。確かな脚力の上に、そういった相手の隙・癖を盗む技術があり、彼は実に実戦的だ。プロでも、足を売りにできる資質を持っている。

 またその脚力を活かした、非常に広い中堅手守備が魅力。球際にも強く、すでに守備に関しては一軍でも上位級。地肩は、特に売りにするというほどではないものの、中堅手としては合格レベルだろう。守備に関しても、プロで売りにできるレベルにすでに到達しつつあるのではないのだろうか。





(打撃内容)

 最大の特徴は、上から被して来るようなスイングにある。打球はライナー性のものが多く、あまり転がらない。チームでは9番打者を務めるように、確実性に課題を抱えている。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップの高さはそれなり。腰の据わり・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢などもよく、常に体を動かし揺らいでおり、理に適ったフォームになっている。

<仕掛け> 平均的な仕掛け

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。これは、ある程度の対応力と長打力をバランスよく兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターが多く採用。巧打者タイプに見えますが、結構長打を秘めた打撃をしています。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 始動~着地までの「間」はそれなりに取れていて、速球でも変化球でも、それなりに対応。ベース側にインステップして踏み込んで来るように、外角を強く意識している。踏み込んだ足元はブレず、外角の厳しい球や低めの球に喰らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆

 あらかじめグリップを捕手側に引いており、打撃の準備である「トップ」の形は作れています。そのため速い球には立ち遅れませんが、柔軟なリストワークは期待できません。振り出しは、インサイド・アウトのスイング軌道ではないので、インステップも相まって内角は窮屈。その分スイングの弧は大きく、強烈な打球を放ちます。最大の特徴は、ボールを捉える時に、バットの先端であるヘッドを立てる意識があり、これがボールをフェアゾーンに落とす確率を高めている。ただしインパクトの瞬間あたりでヘッドを立てているので、打球は転がり難いのかもしれない。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げは静かなので、目線は上下に動きません。体の開きも我慢できず、軸足にも粘りが感じられます。

(打撃のまとめ)

 ボールに合わせるというよりも、ボールにぶち当てて来る感じのスイング。対応力・ミート力に非凡なものは感じませんが、技術的には悪くありません。小柄ですが、非力感は感じられず。しかし巧打者ですが、柔軟さはありません。この辺が、あまり率が上がって来ない要因ではないのでしょうか。

(最後に)

 守備・走塁は、今すぐプロに混ぜても、チームで上位レベルではないのでしょうか。しかし打撃の弱さは確かで、その点でプロで通用するのかは気になります。守備固め・代走要員で長く生き残れる可能性もあり、その辺で役割がはっきりしており好感が持てる指名。元来ならば育成枠のような指名ですが、社会人選手は育成枠指名が出来ないので8位指名での指名も納得できるところ。ボールに喰らいつくガッツと、抜群の洞察力で長く生き残って欲しいと思います。打力のない選手は評価しないという、私の評価方ではリストに残しませんが、個人的にはこういう選手キライじゃありません。


(2014年 日本選手権)