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遠藤 一星(中日)内野手のルーキー回顧へ








遠藤 一星(25歳・東京ガス)遊撃 180/78 右/左 (駒場学園-中央大出身) 





                      「ジワジワ成長」





 中央大学時代から、180センチ台の大型ショートとして目を惹く存在ではありました。しかし打撃での脆さ、守備でも大型故にキレに欠けるところがあり、東京ガス入社後もドラフト候補としては殆ど注目されていませんでした。しかし今年の都市対抗での活躍で、落合博満GMのいる中日が注目、社会人4年目にして指名を意識できるところまで来ています。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、左打席から3.9秒前後ぐらいで到達するなど、脚力自体はプロでも上位。塁に出ればすかさず盗塁を仕掛けることも多いのですが、どうも失敗することが目立ちます。走力はあっても技術に欠ける、現状はそういった選手ではないのでしょうか。

 重苦しかった守備も、かなり最初の一歩目、フットワークにキレが出てきました。またこの選手は、丁寧に補球しようという姿勢が見られ、大きなミスをし難いのが特徴。守備範囲の限界や已の力量をわかっているので、自分の捌ける範囲の球を確実に処理するといったタイプ。地肩も中の上レベルの強さもありますが、プロで言えば遊撃よりも二塁の方が向いていると思われます。





(打撃内容)

 今年に入ったあたりから、実戦での目立つ活躍が増えてきました。今年の都市対抗予選でも2本塁打・5打点の活躍で本戦出場に大きく貢献。本戦でも3番打者として、打率.364厘の活躍を魅せました。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足をしっかり引いた左オープンスタンスで、グリップは高めに添えます。背筋を伸ばし懐を広く開けて、両目でもしっかり前を見据えています。バランスも取れていて、構えとしては良いのではないのでしょうか。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターの打ち方であり、対応力を重視しているのが伺えます。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を大きく引き上げて、まわしこんで打ってきます。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でも幅広く対応。軽くベース側にインステップして踏み出すタイプで、外角を意識。踏み込んだ足元はインパクトの際にブレず、外角や低めの球でもシッカリ拾えます。それでいて内角の球を引っ張って、一二塁間を抜くこともできます。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を早めに作り、速い球に立ち後れないようにしています。バットの振り出しも、インパクトまでロスが少ないスイング。ボールを捉える際も、バットの先端であるヘッドを立てる意識があるので、フェアゾーンにボールを落とす確率が高まります。

 大学時代あたりは、大型故にスイングにキレがないのが気になりました。物凄くスイングが力強いとか鋭くなったということはありませんが、その辺に違和感はなくなってきています。


<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げはあるので、目線の上下動はそれなり。体の開きは我慢出来ていますが、軸足が少し前に崩れがちで体が突っ込むのには気をつけたいところ。

(打撃のまとめ)

 大型で体には力があるので、まともにハマれば長打も期待できますが、それほど打球が上がるタイプではないと考えます。むしろしぶとく、センター前にはじき返すなど外角の球を上手く拾える印象があります。

 技術的には、かなり完成されており、将来性よりも現時点での力で勝負してゆくタイプでしょう。すでにファームレベルならば違和感なく入って行ける力はありますし、一軍争いも期待できるレベルにはあると考えられます。


(最後に)

 チームのレギュラーを奪うるほどの素材かと言われると疑問は残りますが、チームの内野層を厚くしたいという意味合いならば、指名もアリなのだと判断します。特に遊撃も守れますが、将来的には二塁あたりの方が向いているのではないのでしょうか。

 大学時代から見てきた人間からすると、よくぞここまでのレベルまで来たなと思える部分もあり、地道に努力を重ねて積み上げてきた努力の人と言えます。そういった部分も評価して、指名リストに名前を残して判断しました。



蔵の評価:



(2014年 都市対抗)