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岩佐 海斗(24歳・東京ガス)投手の都市対抗寸評へ
岩佐 海斗(24歳・東京ガス)投手のスポニチ寸評へ
岩佐 海斗(22歳・東京ガス)投手 187/73 右/右 (成立学園出身) |
「あんまりいないタイプ」 成立学園時代から観てきた投手だが、どうしても線の細さから来る球威の無さが気になってきた投手です。今年に入り何度か観ましたが、年々少しずつですがボールに力強さが出てきました。しかし今は、そういったことよりも、かなり特殊なピッチングをする投手だという印象を受けます。 (投球内容) スラッとした投手体型から、角度のあるボールを投げ込む正当派右腕。 ストレート 130キロ台後半~140キロ台前半 相変わらず球威には欠けるのですが、角度のあるボールをコースに、そして低めに集めて来るコントロールがあります。ただこの投手は、あまり素直な真っ直ぐを投げて来ることは少なく、コンビネーションの中でストレートを交えて来るといった感じです。球威がない分、角度で芯をズラしたり、コースを間違えないように投げて討ち取ります。当然甘く入れば、簡単に痛打を浴びてしまうでしょう。同じストレートでも、少しツーシーム的に沈む球を投げて来ることも少なくありません。この時に球速が135キロぐらいになっているので、微妙な違いがわかります。 変化球 チェンジアップ・カーブ・スライダー チェンジアップなのか落差の小さなフォークなのかわかりませんが、速球とのコンビネーションはこの球でカウントを整えてきます。この沈む球で投球を整えて来る投手は貴重で、この選手は右打者の内角でも、この球でカウントを整えます。通常ボールが抜けやすいので、左打者にしか使わない選手が多いのですが、彼は右打者にも積極的にこの球を交えます。 たまに100キロ台カのーブを使うことで、単調なコンビネーションの偏りを改善しようとします。横滑りするスライダーもあるのですが、カーブ以上に滅多に使いません。 その他 クィックは、1.05~1.25秒ぐらいとバラツキがあるのですが、基準以内では投げ込んできます。滅多に牽制を投げないですし、フィールディングも正直記憶がございません。 もともと試合を作ることができる選手で、マウンド捌き、投球センスなどは悪くありませんでした。 (投球のまとめ) ただ昨年までは、球威・球速が物足りず、何の変哲もないストレートを投げる投手との印象が強かったのですが、今年はツーシーム系などボールを手元で変化させる球が増えてきました。 また落ちの悪いフォークとの印象だったのを、かなり自在に操れるようになり、空振りこそ誘えませんが精度は格段に上がったように思えます。単調なだったコンビネーションも、カーブを交えることでアクセントを生み、投球に工夫の跡が観られます。現状の物足りなさを、常に改善して行こうという姿勢が感じられました。 (投球フォーム) 足を引き上げた時に、軸足一本で立ったときの姿勢が悪いです。膝から上が真っ直ぐ真上に伸びてしまうので、それでも身体を支えるために、余計な力みが生じます。またフォームが、ツッコミやすくなる弊害があります。 <広がる可能性> 引き上げた足を空中でピンと伸ばさないので、お尻は一塁側にシッカリ落ちません。そのため元来、フォークやカーブなどの球種を投げるのには捻り出すスペースが確保できていないのでお勧めいたしません。ただ前に大きくステップすることで、「着地」までの時間は稼げています。ただお尻が落とせないために、フォークなどの落差には乏しく、カウントを稼ぐボールとなってチェンジアップ的なボールになっています。将来的にも大きな変化を武器にするよりも、球速のある小さな変化で勝負するのに適したフォームではあります。 <ボールの支配> グラブが最後まで内に抱えきれておらず、足の甲の押しつけも地面から浮いてしまっています。一見制球力がありそうに見えますが、意外に四死球が多いのは、この辺の動作ができていないからだと思います。 それでも最低限まとめられているのは、「球持ち」が非常に良く、指先である程度ボールをコントロールできるからだと考えられます。 <故障のリスク> お尻が落とせない割に、カーブやフォークなどの球種を多投するので、肘への負担は少なくないはず。それでも腕の角度の割には、振り下ろしに無理がないので、肩への負担は少ないかもしれません。ただかなり特殊な投球なので、故障の可能性は否定できません。 <実戦的な術> 「着地」までの粘りはあるので、身体の「開き」も早すぎることはありません。ただ手足が長い割には、腕が身体に絡んで来ない点。足の甲の押しつけができないので、体重が前に乗っているというよりは、身体が突っ込んでいる印象を受けます。一見実戦的な投手に見えますが、各動作に課題があり、実戦的かどうかには疑問が残ります。 (投球フォーム) 特殊なコンビネーションを支えるはずのフォームに不安な部分があり、長く今の投球を続けて行けるのか疑問が残ります。またそれほど球威・球速があるわけではないのに、制球もバラツキがあり、その辺でどうしても不安は拭えません。 (最後に) 自らの欠点と向き合い、課題を一つ一つ改善してきた意識の高さを感じます。また年々少しずつですが、球威・球速を改善しつつ、ボールを動かすなど工夫も観られました。そういったところには、非常に好感が持てる選手です。 ただ上記にも記した通り、不安な部分も多く残り、私には推せるだけの材料が揃いません。あまりプロにはいないタイプなので面白いとは思いますが、それだから活躍できるという確信は持てませんでした。高卒4年目と、まだ若いのですが、個人的にはもう少し様子を見てみたいと思います。 (2012年 都市対抗) |
岩佐 海斗(21歳・東京ガス)投手 187/74 右/右(成立学園出身) |
(どんな選手?) スラッとした投手体型が目を惹く選手で、成立学園時代から注目されてきました。個人的には毎年のように見てきた投手ですが、今年の春先は観戦運に恵まれませんでした。ようやく都市対抗の舞台で、その勇姿を確認。かなり力強くなってきており、更なる成長があると楽しみな存在だと思います。 (投球内容) 元々は線が細く、ボールもビシッと来ないので、イマイチ物足りませんでした。しかしリリーフということもあったのでしょう、腕を強く振れてストレートに威力が出てきました。特に187センチの長身を生かし、角度のあるボールが低めに決まるところが、この選手の最大の魅力です。 変化球は、110キロ台の緩いカーブと、フォークを多投してきます。ただフォークは、曲りが早過ぎるせいか、イマイチ効果的に扱えていないのが残念です。低めや外角に集められる制球力はあるのですが、変化球の生かし方に課題があるように思えます。 以前は試合を作る先発タイプのイメージが強かったのですが、最近はリリーフを任されることが多いようです。ただ気になるのは、予選で12イニングを投げておきながら、それを上回る13安打。更にイニングの半分になる6四死球と安定感はイマイチ。やはりフォークを武器にしながら、三振は7個とやや物足りない数字です。ボールに威力が出てきた分、投球が粗くなっている点が気になります。そう無理しなくても好い球が投げられるだけの、馬力・体力を身につけたいところです。 (投球フォーム) <広がる可能性> 引き上げた足を、ピンと伸ばす動作がないのまま投げ込んでしまうので、お尻の一塁側への落としも少し甘いです。まして着地までの粘りに欠けるので、どうしても変化球の曲がりが中途半端な印象を受けます。将来的にも、この欠点を直して行かないと、見分けの難しいカーブの習得や落差の鋭いフォークを身につけるのは厳しいのではないのでしょうか。 <ボールの支配> グラブを最後までしっかり抱えれておらず、両サイドへの制球は不安定。足の甲も深くないので、ボールが浮きやすいフォームです。その割にボールを抑えこむことができているのは、球持ちがそれなりに好いからでしょう。それでも四死球の多さからも、こういった動作をしっかりできることが求められます。その上で今の球持ちを維持できれば、かなり高い精度の制球力を身につけられるのではないのでしょうか。 <故障のリスク> お尻が一塁側に落としきれないのに、カーブやフォークを多投するのを見ると、故障の可能性は否定できません。ただ振り下ろす腕の角度を見るかぎり、肩への負担は少なそうです。彼の投球内容からも、お尻の落としと着地の粘りを意識したフォームを身につけたいところ。 <実戦的な術> 着地の粘りがなく、その影響で「開き」も早くなっています。すなわち打者からはタイミングが計りやすく、ボールも見やすいわけです。腕は強く振れるようになったのは成長だと思いますが、体重移動が上手く行かないのが気になります。そのため、ボールにしっかり体重が乗せられておらず、角度こそ感じますが打者の手元までの勢いはさほどありません。結局相当腕を無理に振らないと、勢いのある球が投げられないわけです。これでは、消耗も激しいですし、制球も不安定になります。 (今後は) 独特の角度のあるボールが、低めに決まるところは魅力です。ただ現状は、フォームレベル・制球力・変化球と課題があり、総合力で物足りません。この冬を上手く乗り越えて更なる成長を遂げれば、来年はドラフト候補としてマークできるレベルに近づきました。ここからどのような進化を遂げるのか、来年は注目して見守りたいと思います。 (2011年 都市対抗) |
(どんな選手?) 東京の成立学園時代から名の知れた投手でしたが、社会人2年目にして都市対抗で先発を任された期待の若手投手です。 (投球内容) まだ線は細いのですが、オーソドックスなフォームから常時130キロ台後半~140キロ台前半ぐらいの球を投げ込みます。球筋が素直で、球威・球速が物足りません。変化球は、スライダー・フォークなどがあるようですが、現状はフォークを多投する窮屈なピッチングスタイル。元々先発で試合を作るタイプだけに、あまりフォークばかりに依存しないピッチングスタイルで、投球の幅を広げて欲しいところ。 牽制もまずまず鋭いですし、クィックも1.10~1.15秒と基準である1.20秒を上回り素早く投げ込めます。両サイドに投げわけられる安定した制球力と、マウンド捌きにはそれなりのものがあります。ただ甘くない球でも打たれてしまう素直なフォーム・綺麗な球質の改善が、今後の大きな課題でしょうか。 (投球フォーム) 足を引き上げる時に、空中でピンと伸ばさないまま、大きく前にステップするフォームです。そのためお尻の落としがしっかりできないので、フォークも落ちるのですが効果が薄いものになってしまいます。それでも前に大きくステップするので、着地の時間を遅らせているのは救いです。 グラブを内にしっかり抱えきれず、最後大きく後ろに抜けてしまいます。足の甲の押しつけも浅いフォームです。しかしそれでも両サイド・低めに球が集まるので、このこと自体は気にする必要はないと思います。これでも制球力が良いのは「球持ち」がよく、指先の感覚に優れるからでしょうか?ただ腕をかなり無理に高い位置から投げ降ろし来るので、肩への負担は拭えません。アフターケアに充分注意して欲しいところ。 投球の4大動作においては、「着地」までの粘りや「体重移動」などは悪くありません。しかしボールが見やすい「開き」の早いフォームに大きな課題があります。「球持ち」に関しては、非常に良い投手だと思います。 (今後は) 「開き」の早い投球フォームの改善と、球威・球速不足をいかに補うかが、当面の課題でしょうか?現状は、まだまだと言った感じで、来年ドラフト候補と呼べるのかは微妙だと思います。数少ない頭角を現している貴重な高卒投手ですが、まずは社会人で充分活躍して行けるだけの下地作りに専念して欲しいと思います。 (2010年 都市対抗) 187/74 と言う見事な体格の大型右腕。その体格に加え、腕を柔らかく縦に振り下ろせる投手なので、縦の変化を武器にできる投手。 速球は、コンスタントに140キロ前後(MAX89マイル・142.4キロ)を記録する。ただ、まだまだ身体がビシッとしてきてないのか、球速ほど速くは感じないし、何より球威がないのが物足りなかった。変化球は、フォークとのコンビネーション。たまにカットボール気味のボールは投げ込むのだが、カーブやスライダーらしき球は見受けられず、非常に緩急に欠けるタイプだと言えよう。 ただ球は両サイドに散らせつつ、縦の変化を落とせると言う、球種の割にはバリエーションは豊富な攻めはできる選手。1にも2にも球威の向上が、この選手の課題ではないのでしょうか。身体がビシッとしてくれば面白いと思いますが、それはもう少し先のことになりそうです。 (2010年6月 シーレックスVS東京ガス戦) |
スラッとした投手体型の選手ですが、相当まだ線が細いのが気になります。少し前に倒れ込むようなフォームから、キレのある135~130キロ台後半の速球とスライダーとのコンビネーション投手です。 攻めのバリエーションが少なく単調になりがちなのと、球威がないので、甘く入ると痛打されるケースが目立ちます。ただ将来性は感じさせる素材で、身が入って来ると140キロ台中盤の快速球投手に変貌するかもしれません。 しっかりした環境・指導者・本人のモチベーション次第では、まだまだ化ける可能性を秘めており、今後も注目して行きたいですね。覚えておいて損のない投手だと思いました。 (2008年・夏) |