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福島 由登(27歳・HONDA)投手の個別寸評へ







福島 由登(24歳・HONDA)投手 178/80 右/右 (大阪桐蔭-青学大出身) 





                     「力強さ増したのだが・・・」





 今年の都市対抗のパフォーマンスならば、当然今頃指名の具体的な話が出てきてもおかしくない 福島 由登 。しかし今行われている関東選手権では、ベンチにも入らず登板していない。大学の上級生時代痛めた肩の状態が、再び良くないのだろうか?その辺の事情は定かではないのだが、都市対抗の投球から、彼の可能性について考えてみた。

(投球内容)

 非常にオーソドックスな、正統派右腕といった感じが致します。特に下半身主導で、フォームに粘っこさがあるのが魅力でしょうか。

ストレート 常時140キロ台~MAX146キロ

 青学時代の下級生時代に活躍していた頃は、球速は140キロ台が出ていても、何処か球威に欠け自己主張に欠けるようなボールを投げていました。そのため成績は良くても、イマイチ気にしたことがありません。しかし今年の都市対抗では、リリーフということもあり、ボールの勢いに加え球威も加わり、高めのストレートでも相手を討ち取れる球になっていました。

 力をセーブして投げると外角低めにも集められるのですが、力を入れて投げるとボールが上吊ります。しかしボールの質が向上したのと、変化球が低めに集まるので、高めにゆくこと自体は気になりません。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ・フォークなど

 球種はひと通りあるといった感じで、絶対的なボールはありませんが上手く低めにコントロール出来ています。都市対抗予選の8回1/3イニングで9奪三振。昨年の日本選手権・今年の都市対抗本戦でも、イニングを上回る奪三振は奪えています。

その他

 牽制もそれなり鋭く、走者を威嚇。クィックも1.05~1.15秒ぐらいでまとめるなどまずまず。フィールディングの動きもよく、この選手の野球センスの高さを感じます。

(投球のまとめ)

 大阪桐蔭時代に全国制覇を経験したうまさに加え、青学時代の良かった時よりもボールの威力を増しており、完全に復調して更にパワーアップしているといえます。都市対抗の3試合でも安定したピッチングを魅せており、即戦力への期待も高まりました。しかしここに来ての登板なしは、やはり状態がの不安が募ります。投球フォームを見ながら、故障の原因などを考えてみたいと思います。

(投球フォーム)

<広がる可能性> 
☆☆☆

 地面に向けて足をピンと伸ばしているので、一塁側にお尻の落としは甘くなっています。すなわち体を捻り出すスペースが充分ではないので、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種にはあまり適しません。

 「着地」までの粘りも平均的で、体を捻り出す時間も並。そういった意味では、多彩な球種を投げるも、これは!という球がないのもなんとなく頷けます。将来的にも、武器になるほどの絶対的な球種の習得は厳しいかもしれません。あくまでも速球とコンビネーションで、上手くコントロールして打ち取るタイプの選手なのかもしれません。


<ボールの支配> 
☆☆☆☆

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲での地面への押し付けも深いのですが、膝小僧に土がついてしまうほど深いので、返って効果は薄いと考えられます。「球持ち」も良く、指先の感覚にも優れているのですが、力を入れて投げるとボールが上吊る傾向にはあります。それでも予選の8回1/3イニングで1四死球ですから、コントロールの精度は高い方だと言えます。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻を落とせないフォームですが、カーブやフォークなどを多投するわけでもないので、それほど悲観しなくても良さそう。

振り下ろす腕の角度や送り出しにも無理は感じないので、どうして肩を痛めるのかはよくわかりません。特に登板過多だとか、力投派というわけでもなさそうなので。


<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは平均的で、体の「開き」も早過ぎる感じは致しません。特に合わせやすいとも合わせ難いこともなさそう。

 振り下ろした腕は身体に絡んで来ており、速球と変化球の見極めは困難。ボールへの体重の乗せも悪くなく、打者の手元まで生きたボールが投げられています。

(投球のまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」ですが、「球持ち」に優れており、ボールにしっかりバックスピンがかけられるので、伸びの良さを感じます。その他の部分でも、平均的なレベルは保っています。

 コントロールにも狂いの少ないフォームですし、どうして故障に泣かされるのかは、個人的によくわかりません。


(最後に)

 もしこの秋、大学時代と同様に肩を痛めて投げられていないとなると、今年だけでなく将来的にもプロ入りは厳しいかもしれません。アマに比べ、遥かにプロの登板は長く険しいからです。

 都市対抗の投球を見る限りは、充分プロでも即戦力で活躍できるだけの内容だと思いましたが、指名は現実的ではないのかもしれません。その理由が定かではありませんが、都市対抗の内容からは指名リストに残せるだけの投手だと判断致します。果たしてドラフト会議で名前が呼ばれるのか、密かに期待して見守りたいと思います。順調ならば、一年目から一軍で戦力になる投手でしょう。


蔵の評価:
☆☆


(2014年 都市対抗)










福島 由登(青山学院大)投手 178/74 右/右 (大阪桐蔭出身) 





                 「完全復調には程遠い」





2年生の頃には、130キロ台後半~140キロ台中盤のストレートで、制球・テンポ・要所での絶妙なコントロールなど付け入る隙を与えないほどの絶妙な投球をしていた。しかし3年生になって故障し、復調を期待された秋のシーズン。まだまだ元来の福島の内容からは、程遠かった。

(投球内容)

非常にオーソドックスで、綺麗なフォームから投げ込む正統派右腕。

ストレート 136~MAX143キロ

神宮のスピードガンでは140キロ台も記録していたが、私のガンでは85マイル前後(MAX86マイル・137.6キロ)の球速がやっとで、明らかにボールは来ていなかった。しかし右打者には外角一杯に、左打者には両サイドに投げ分けるなど、安定したコントロールは健在。

変化球 カーブ・スライダー・カットボール・フォーク・チェンジアップなど

変化球は、実に多彩かつコースに投げ分けられる制球力がある。特にこれはという絶対的な球種はないのだが、右打者にはスライダー・左打者にはチェンジアップを多く織りまぜてくる。

その他

牽制の入れ方が上手く、クィックなども1.1~1.2秒ぐらいと基準以内。ベースカバーへの入りも早く、フィールディングも上手い。そういった野球センスも高く、大阪桐蔭時代はフォロースルーを活かした打撃にも魅力があった。

(投球のまとめ)

なんだかボールが勢いが落ちることで、大阪桐蔭時代の「威圧感」や「いやらしさ」に欠ける投球に戻ってしまった印象。大学2年時の時のような、テンポよく、ボールも走り・制球力も安定して、ズバッとコース一杯に決める爽快感。試合を作るセンスが高い投球ならばプロもありうると評価していたが、今はその内容は陰を潜めている。

(成績から考える)

これまでで

30試合 5勝8敗 127回1/3 86安打 106奪三振  48四死球  防御率 2.05

被安打は、イニングの70%以下 ◯

通算の成績では、安定した制球力を背景に、被安打率 67.6% と基準を満たす内容を示している。彼の場合、ボールの威力が上回っているというよりも、絶妙なコントロールと多彩な変化球を活かしたコンビネーションが大きいと考えられる。

奪三振は、イニングに対し1.0前後 ◯ 

先発で投げることの多い福島は、先発投手なので、イニングに対し0.8個以上奪っていれば結構三振が奪えていることになる。彼の奪三振率は、1イニングあたり 0.83個と、この基準を満たしている。

四死球は、イニングの1/3以下 △

安定した制球力が売りの福島だが、実は四死球率は 37.7% とやや基準である 33.3%以下の数字を満たしていない。しかし悲観するほど悪い数字ではないので、さらなる精度のアップを期待したい。

防御率は、1点台が望ましい。 △

この秋のシーズンの、防御率 3.33 はともかく、それまでは0点台か1点台の数字をマーク。やはり先発投手ならば1点台・プロというものを確定的にするには、0点台で圧倒的な存在感を示したい。

(成績からわかること)

元来の投球を取り戻せば、防御率1点台 などの問題は充分解決するだろう。一見非常に制球が安定しているイメージがあるが、いつもというわけではないようだ。安定した投球と球の勢いを取り戻せば、充分にドラフト指名も現実味を帯びてくる。

(最後に)

この春は、1にも2にもボールの勢いを取り戻すこと。そしてそれが出来た時、もう少し細かい精度の制球力を身につけたい。この春の投球で、社会人に進むのかプロ入りを目指すのか決まって来るのではないのだろうか。

上手くゆけば試合を作れる先発候補として、まさに即戦力の期待を一年目から抱ける。そんな貴重な即戦力候補の復活を、期待せずにはいられない。


(2011年 秋季リーグ戦)


 








 福島 由登(大阪・大阪桐蔭)投手 178/74 右/右


 右の好投手タイプで、ワインドアップから投げ込んできます。後に甲子園優勝投手になるのですが、高校生レベルでは適度にまとまり、多彩なコンビネーション可能な完成度の高い投手でした。

 球速は、常時140キロ前後(MAXで、この日は143キロ)ぐらいの速球に、120キロ弱のカーブのような球に、縦横二種類(カーブのような球も含めると三種類か?)のスライダーを操る投手です。ただ球速はある程度でるのですが、球威などに欠け、ボリュームがないところが、これほどの技量を魅せても、スカウト達の興味が沸かない要因なのでしょう。またシュート回転するあたりに、まだまだ筋力の弱さから来る、バランスの悪さを感じます。

 両サイドきっちり投げ分ける制球力に、1.1秒弱のクィック・フィールディング・ベースカバーの素早さ・牽制の間の入れ方、それにフォロースルーの効いた打撃(大阪桐蔭の打者の中で、一番長距離打者への可能性を持っている選手は、この選手だと思う)など、野球センスも極めて高い選手でした。

 ただ現状は、まだまだ好投手の域を脱しられておらず、大学などで肉付けをよくしてパワーアップを計りたいですね。投手としてのセンスは、基礎技術はしっかりしているので、「威圧感」や「イヤらしさ」みたいなものが出てくると、3,4年後は楽しみだと思います。比較的、どのレベルの野球に入っても、早く実戦で使えるタイプではないのでしょうか。ただ投手としての底は浅いかもしれないので、それが見えた時は、本格的に打者に転向するのも一つだと思います。持ち得る野球センスも高いので、むしろ現時点ではないと思いますが、私には野手としての可能性を感じさせる選手でした。

(2008年・夏)