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竹下 真吾(ヤクルト)投手のルーキー回顧へ







竹下 真吾(23歳・ヤマハ)投手 180/84 左/左 (八幡-九州共立大出身) 
 




                     「何故もっと騒がれない」





 九州共立大時代は、川満 寛弥(ロッテ)や大瀬良 大地(広島に入団)の陰に隠れて、4年間で8試合・通算で1勝しかあげられなかった。ヤマハに進んでその才能を開花させることができたが、昨年の都市対抗では、MAX138キロに留まった。しかし今年の都市対抗では、コンスタントに140キロ台中盤のボールを投げ込み、MAXで148キロまで到達。ボールの勢いも、昨年とは雲泥の差だった。左腕から140キロ台後半を投げ込む存在だけに、もっと騒がれても良いのではないのだろうか。


(投球内容)

ゆったりしたモーションから、腕や上体をピュッと鋭く振るギャップで、打者のタイミングをワンテンポ遅らせるのが特徴。

ストレート 常時140キロ台~MAX148キロ

 昨年の都市対抗では、常時135~138キロぐらいでも、打者が振り遅れるのが目立ちました。今大会では、それに確かな球速と球威が加わり、迫力満点のボールを投げ込めるようになりました。ストレートはとりあえずストレートの枠の中にといったアバウトなタイプでしたが、今年は細かいコントロールなくても甘いゾーンには入ってきません。ストレートは高めに集まることが多いのですが、ボールに球威と勢いがあるので、返って効果的に使えています。

変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ

 この投手の良さは、ストレートは高めでも変化球が低めに集められること。カーブで緩急をつけたり、カウントを整えることができます。スライダーやチェンジアップも、打者の空振りを誘えるほどではありませんが、高めに浮いてこないので、連打を食わないところが良いところ。上手くストレートに集まりがちな目先を、外すことができます。

その他

 牽制の技術は平均的で、走者を刺すというよりも、間合いを外すなど一息入れる意味合いが強い。クィックは、1.05~1.10秒ぐらいで投げ込めますし、投球に集中したい時は1.2秒台と少しゆったりと投げて使い分けます。

 走者への目配せもできますが、クィックをしようとすると制球を乱したり、投球に集中しきれていないことがあります。

(投球のまとめ)

 それほど繊細なコントロールや、巧みな投球術に絶対的な球種はありません。そのためあくまでも、まだ発展途上の選手との印象は受けますが、大きな欠点もありません。一年目からバリバリに働くというよりも、プロの環境に慣れた2年目以降に期待が集まります。



(投球フォーム)

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足は地面に向けて伸びがちなので、お尻は三塁側(左投手の場合は)にあまり落とせていません。すなわち体を捻り出すスペースは充分とはいえず、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球には適しません。

 「着地」までの粘りは平均的ですが、昨年よりはまともになってきました。まだまだ体を捻り出す時間は並ですので、変化球のキレ・曲りの大きさに特徴が出ないのもそのせいでしょうか。まだまだその辺は、改善の余地が残されています。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブはしっかり抱えられているわけではないのですが、最後まで体の近くにあります。そのため両サイドへの投げ分けはそれなりに安定し、昨年よりもアバウトさは薄れました。

 その代わり、昨年に比べると足の甲での地面への押し付けが甘くなり、浮いてしまいがち。こうなると浮き上がろうとする力を充分抑えこめず、ストレートが高めに集まりやすいのも納得。「球持ち」も平均的で、それほど指先の感覚には優れていません。おおよそボールを集められる、そういった大雑把なコントロール。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻はしっかり落とせないフォームですが、カーブをそれほど投げてきませんし、フォークのような球種も見られません。そういった意味では、肘への負担は少ないはず。

 振り下ろす腕の角度にも無理はなく、肩への負担も少ないはず。そういった意味では、それほど故障のリスクは少ないと言えます。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは平均的であり、体の「開き」も並ぐらい。特に合わせやすいわけではないのですが、打ちづらいフォームとは言えないでしょう。しいて言えばゆったりと振りかぶり、鋭く腕を振るというギャップが、打者にとっては厄介なのかもしれません。

 振り下ろした腕は思ったほど身体に絡まず、速球と変化球の見極めつけやすいはず。また軸足への体重の乗せも充分でないままリリースを迎えているので、その点で打者の手元まで生きた球が何処まで投げられているのかは疑問。まだまだ、この投手は発展途上です。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、どれも大きな欠点がないかわりに、特別優れているところがありません。フォームにまだまだ粘っこさがなく、タンパクに感じられてしまうのは気になります。

制球を司る動作ではボールが高めに集まりやすい欠点はありますが、故障の可能性は少ないのは明るい材料。


(最後に)

 即戦力として一年目からバリバリというよりは、素材的な伸び代も残されていて、2年目以降に期待かなといったタイプです。それでも制球も変化球なども一定のレベルにあり、現時点でプロに入れる総合力は身につけているのではないのでしょうか。

 フォームの違いはあれど、同じ東海地区の逸材だった、昨年の 濱屋 廣大(HONDA鈴鹿-楽天)左腕レベルの能力はあり、プロ志望であれば指名が予想されます。この一年で見違えるように伸びたように、今後も更なる成長が期待できる余力があります。3位以降であれば、面白い存在ではないのでしょうか。


蔵の評価:
☆☆


(2014年 都市対抗)










竹下 真吾(23歳・ヤマハ)投手 180/81 左/左 (八幡-九州共立大出身) 





                「誰だかわからなかった。」





 都市対抗・東芝戦に先発した 竹下 真吾 。この選手の名前を訊いた時、何処の誰だか全くわからなかった。そう大学時代は、先日取り上げた 福地 元春(三菱重工横浜)同様に、川満 寛弥(ロッテ)や大瀬良 大地(広島に入団)の陰に隠れて、4年間で8試合・通算で1勝しかあげられなかった投手。私自身過去のメモに、少し彼の名前があるだけの選手であり、映像として記憶には全く残っていなかった。

(投球内容)

大型投手にありがちな(実際はそれほど大型ではない)、ただ淡々と投げ込んで来るタイプ。

ストレート 常時135キロ前後~MAX138キロ

 MAXは148キロと言われる投手ですが、都市対抗では常時135キロ前後ぐらい、力を入れた球でもMAX138キロ程度でした。東京ドームのガンが厳しいといっても、他の球場でもMAXで140キロ前半ぐらいでしょう。

 ただしこの投手の球は、球速表示よりは勢いが感じられるのは確かで、実際打者はワンテンポ振り遅れている場面が目立ちます。ボールそのものが凄く伸びるとかキレるということではなく、ゆったりしたモーションから上体を鋭くする振ることで、ギャップが生まれているのではないかと考えられます。

 球筋自体は結構バラついていて、とりあえずストライクゾーンの枠の中に投げ込んで来るというアバウトなもの。甘いゾーンには入ってきませんが、細かいコントロールはありません。

変化球 カーブ・スライダーなど

 都市対抗の投球を見るかぎり、変化球はカーブとスライダー。チェンジアップもあるということでしたが、試合を観る限りそれらしい球もありませんし、あったとしてもそれほど大きな意味を持っていないのではないかと。

 変化球も、速球との球速差・カウントを整える球としては意味がありますが、相手を仕留めるほどの絶対的な球種ではありません。

(投球のまとめ)

 大学時代の登板が少なかったのも、抑揚のない投球内容、アバウトな制球力、武器になる変化球がないなどからも伺うことができます。素材として凄みがあるわけではないのですが、それでも打ちづらさがあるのは、天性の資質なのでしょう。

 2014年度は、もう少しマウンド経験を積んで、投球にどんな変化が観られるのか注目したいと思います。

(投球フォーム)

 ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。足を引き上げて軸足一本で立った時に、少し背中が猫背になってバランスがイマイチなのが気になります。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻を三塁側(左投手の場合は)に落とせるフォームではありません。そういった意味では、腕の振りの緩まないカーブや縦に鋭く落ちるフォークのような球種には適さないでしょう。

 「着地」までの粘りもあっさりしているので、体を捻り出す時間も十分とは言えません。そのため武器になるほどのキレや曲がりの大きな変化球を望むよりも、小さく速い変化球を中心に、投球の幅を広げてゆくのが望ましい姿ではないのでしょうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブを最後まで抱えられていないので、両サイドへの投げ分けはアバウトになりがち。足の甲での地面への押し付けは悪くありませんが、球筋は定まっていません。「球持ち」も悪くはないと思いますが、まずはグラブをしっかり抱えることから始めたいですね。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻が落とせるわけではないのに、カーブなどを投げるのは、肘への負担は感じます。腕の角度には無理がないので、肩への負担は少なそう。ただしこの投手、カーブを無くしたら投球が余計に幅がなくなるので、適度に混ぜながらやってゆくしかないでしょう。それほど力投派ではないので、消耗は激しくないと思いますので。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは極端に早すぎることはなく、体の「開き」もなんとか平均的で抑えられているのではないのでしょうか。むしろゆったりしたモーションから素早く上体を振ることで、打者はストレートに振り遅れています。

 残念なのは、腕の振りが弱く身体に絡んで来ない点。もう少し変化球を活かす意味でも、粘っこく身体に絡んで来るような腕の振りが欲しい。ボールへの体重の乗せは悪くなく、適度にボールに勢いと球威を生み出すことは出来ています。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、極端に悪いところはなく、それでいて特別優れているところもありません。

 肘への不安、グラブの抱えからの制球面などにも課題を残し、フォームで推せるほどの材料は揃っていません。

(最後に)

 恵まれた資質を活かすだけの、自己追求が甘い気がします。投球にもメリハリが乏しいですし、「着地」や腕の振りひとつとって観ても、粘りがありません。それだけにもったいないなぁと思いますし、意識次第では伸び代が残っているようにも思います。

 ただ素材で圧倒できるほどのボールは投げていないので、いかに自分で気がつき追求して行けるのか、その欲があるかにかかっているのでしょう。この一年で、その辺に変化が見られるか注目して行きたいと思います。現状は、まだまだドラフト候補としては物足りません。


(2013年・都市対抗)