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高木 勇人(25歳・三菱重工名古屋)投手 178/80 右/右 (海星出身) |
「今年こそ指名されるか?」 三重海星時代からプロ注目の投手だったものの、社会人7年目の今年まで指名されることなくここまできた。すでに2年前に残した寸評でも、いつ指名されてもおかしくないだけのところまで来ていると書いたが、あれから2年経っても指名されずにいる。万年ドラフト候補でありながら、例年微妙に進化を続けている。 摂津 正(JR東日本東北-ソフトバンク)投手もそういう投手だったことを考えると、この選手の可能性も捨てきれない。 (投球内容) それほど上背はありませんが、骨太の体格から堂々と投げ下ろして来る迫力を感じます。 ストレート 常時145キロ前後~MAX148キロ 都市対抗では緒戦の大阪ガス戦で逆転を許しましたが、堂々としたマウンド捌きが光りました。上背の割にボールには角度を感じさせ、ストライクゾーンにポンポンと投げ込んできます。都市対抗予選では、20回1/3イニングで四死球3個と極めて少なく、四死球で自滅するような不安定さはありません。特に力を入れれば、いつでも145キロ強のボール投げ込むなど、ストレートの威力・その馬力はプロ級だと言えるでしょう。 変化球 スライダー など 2年前のレポートを読むと、スライダー以外に、カーブ・チェンジアップ・フォーク・ツーシーム・カットボールと実に多彩な変化球を投げるも、何か絶対的な武器がないと記されていました。しかしこの試合ではリリーフというのもあったのでしょうが、殆ど横滑りするスライダーとのコンビネーションに終始。たまに低めに落ちる球もあり、これはフォークではなく縦スラを投げているのではないかと考えます。現状は、この二種類のスライダーが殆どで、他の変化球はよくわかりませんでした。 その他 今年の都市対抗では、間を外すための軽い牽制のみ。元来鋭い牽制が投げられる選手で、その辺は問題無さそう。フィールディングの動きも、少しドタドタしたところはありますが下手ではないでしょう。更に課題だったクィックも年々上手くなっており、今や1.1秒台前半と上手い部類へと技量を年々高めています。 (投球のまとめ) 常時145キロ前後投げられる馬力は評価できますし、スライダーもかなり特徴が出てきました。課題は四球で自滅するようなコントロールではないのですが、勝負どころで甘い球が入ってくるところと、カウントを取るスライダーが高めで曲がって来るのが気になりました。 この辺の詰めの甘さは残るものの、年々技量をあげている意識の高さを考えると、今年はプロ入りへのGO!サインを出す球団がいよいよ出てくるのではないかと期待されます。 (投球フォーム) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。足を勢いよく高く引き上げて来るリリーフタイプで、軸足一本で立った時に、綺麗なYの字で立てるのが特徴的。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 足を引き上げた時に、高い位置でピンと伸ばせるので、お尻は一塁側に落とせます。そのため、体を捻り出すスペースが確保でき、カーブで緩急を効かせたり、フォークのような縦に大きく落ちる球種を投げても無理がありません。 引き上げた足を幾分二塁側に送るなど工夫すれば、もう少し「着地」までの粘りが作れそう。現状「着地」のタイミングは平均的で、それほど体を捻り出す時間が確保出来ていません。そのため多彩な球種を投げることは出来ますが、絶対的なキレ・曲がりを身につけられないのはこのせいでしょう。それでもスライダーに関しては、以前よりもだいぶ特徴が出てきました。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けはまずまず。ただし足の甲での地面への押し付けが浮いてしまっており、力を入れたボールが上吊る危険性があります。「球持ち」は平均的で、指先の感覚も並ぐらいでしょうか。枠の中に集めることには苦労しませんが、枠の中で上手くコントロールする技術には課題を残します。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークといった球種を投げても肘への負担は少ないはず。腕の角度にも無理は感じないので、肩を痛める危険性は少ないのでは? そういった意味では、タフな活躍が期待できるフォームですし、身体に馬力を感じます。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りは平均的ですが、少し体の「開き」が早いように見えます。この辺が、コースを突いた球でも打ち返されたりする、一つの要因であるように考えます。 また振り下ろした腕が身体に思ったほど絡んで来ないなど、速球と変化球の見極めもつきやすいはず。ボールへの体重の乗せ具合は悪くないので、打者の手元までボールの勢いは落ちません。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」に関しては課題を感じませんし(足の甲は地面を捉えて欲しいが)、「球持ち」「着地」も平均的ではあるように評価します。 しかし「開き」は若干早く、打者としては球威・球速ほど苦にならない可能性が。故障のリスクは感じませんが、足の甲の押し付けができず、ボールが上吊るのを改善したいところ。 (最後に) ゲームメイクできるというよりは、リリーフで力を発揮するタイプ。まだプロでバリバリ一年目から活躍できるかと言われる微妙な部分があり、もう少しフォームに粘りが全体的に欲しいところ。 それでも年々レベルアップしていますし、ボール自体はプロ級。詰めの甘さは気になりますが、プロ入り後の更なる進化も期待して、今年は指名リストに入れてみたいと思います。果たして指名して来る球団が出てくるのか、密かに期待して見守りたいと思います。上手くハマれば、プロでも貴重なリリーフとして重宝されるのではないのでしょうか。 蔵の評価:☆ (2014年 都市対抗) |
高木 勇人(23歳・三菱重工名古屋)投手 178/82 右/右 (海星出身) |
「何か物足りない」 三重の海星高校時代からプロ注目の逸材として社会人に進み、毎年のように候補に上がるので注目している 高木 勇人 。確かに今年のスポニチ大会では、常時140~145キロぐらいのボールには勢いがあり、そろそろ指名されるかなというだけの、ボールの威力は身につけてきた。ただ実際の投球を見てみると、ボールはプロ級でも、何か「これは!」というほどのものが感じられない。その物足りなさについて考えてみた。 (投球内容) 都市対抗では、リリーフとして僅か1イニングの登板。特に悪い内容ではなかったが、それでいて推せるほどのものはなかった。 ストレート 常時130キロ台後半~MAX142キロ スポニチ大会の時より少し遅かったのは、他球場に比べ球速表示が3~5キロ程度厳しい、東京ドームだったからではないのだろうか。実際のボールの勢いは、スポニチ大会同様140~145キロぐらいは出ていたように思える。ボールの球威・勢いに関しては、いつドラフト指名されてもおかしくないだけの球をなげている。ただ上吊る傾向が見られ、あまり低めに押し込めないのはスポニチ大会と大差ないのでは? 変化球 スライダー・チェンジアップ・カーブ・カットボール・ツーシーム・フォークなど 多彩な変化球を持っており、コンビネーションの中で相手を打ちとってきます。特に絶対的な球ではないのですが、相手に的を絞らせないだけの多彩さはあり、単調なピッチングスタイルではありません。狙って三振が取れるような球がひとつあると、全然ピッチング内容は変わってきそうです。 その他 元々フィールディングは悪くないですし、牽制なども鋭いものがあります。課題だったクィックも1.2秒前後でまとめられるようになり、基準レベルまで引き上げることができました。 (投球のまとめ) この投手は、右打者には両サイドにボールを散らし投球は安定しています。そのため都市対抗では、粗が出ないまま1イニングを抑えることができました。 ただ課題は、左打者への投球にあります。特に左打者相手には、ストレートが高めに浮いて、その球をスポニチ大会で狙い撃ちされていました。ボールが高めに浮く、左打者に対する投球に課題がある、この部分はこの半年間で何処まで改善されているかは疑問です。 また投球トータルで見ると、絶対的な武器がなく「これは!」というものが見つかりません。けして悪い投手ではないのですが、じゃ何かあるのか?と言われると困ってしまいます。 (投球フォーム) 今度は、投球フォームの観点から、今後の可能性について考えてみましょう。 <広がる可能性> 引き上げた足を、比較的高い位置でピンと伸ばします。そのためお尻の一塁側への落としは悪くなく、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化も無理なく投げられます。実際そういったボールも投げてきますし、「着地」までの粘りも悪くないので、いろいろな球種を操ることが出来ています。 <ボールの支配> グラブを内に抱えられているので、両サイドの投げ分けは安定しやすいはず。また「球持ち」もよく、ボールを前で放せています。ただ彼の最大の欠点は、足の甲で地面を押し付けるどころか、完全に足が地面から浮いて投げてしまっているところ。そのため上に浮き上がろうとする力を押さえ込めないので、力を入れて投げるとボールが上吊ってしまいます。それを「球持ち」の良さで抑えこもうとしますが、限界があります。 <故障のリスク> お尻は落とせるので、無理なくカーブでもフォークでも投げられます。振り下ろす腕の角度にも無理がないので、肩への負担も少ないでしょう。そういった意味では、故障の可能性が低く、タフな活躍が期待できそうです。 <実戦的な術> 「着地」までの粘りも悪くないので、体の「開き」も平均的です。フォームが合わせやすいというよりは、甘く入ったボールを痛打されるタイプです。 振り下ろした腕は、体に巻き付くなど腕は振れています。足の甲での押し付けがないので、重心が前に乗っているように見えても、上体だけがツッコんだ感じになってしまいます。ボールには球威・球速がありますが、打者の空振りを誘うような手元での伸びやキレはあまりありません。ただストレートへの依存度は大きくない投手なので、そこまで気にする必要はなさそうです。 (投球フォームのまとめ) やはり課題は、足の甲の押し付けができないまま体重移動を行う下半身にあります。ただこういった完全に足が浮いてしまう投手のフォームが、シッカリ押し付けられた例を、正直観たことがありません。それだけフォームの根幹に関わることなので、簡単に直せるとは思いませんし、直すべきかも悩みます。ただその弊害は頭に入れて、他の部分で補うなり工夫が必要ではないのでしょうか。 (最後に) 東海地区を代表する、若手実力派投手です。すでに何処かから指名されても、けして不思議ではないところまで来ています。ただ私は、プロでの活躍という観点で見ると、何か推せるだけのものはないように思います。今後の部分は、アマに残って向上させるのか、プロの指導・環境に期待するのかは本人の考え方次第でしょう。そういった意味では即戦力とは言いづらいのですが、社会人で5年で学ぶものは殆どないと考えるならば、プロ入りも手段の一つだと思います。もちろん、それだけ推してくれる球団が現れるかだと思いますが。 ただこの投手、高校時代から毎年のように見てきて思います。年々少しずつですが、自己向上を図って伸びてきています。そういった野球に対する意識の高さはあるようなので、少しずつですが着実に今後も伸びて行けるかもしれません。そういった意味では、プロで期待以上の活躍を魅せてくれるかもしれませんね。 (2012年 都市対抗) |
高木 勇人(22歳・三菱重工名古屋)投手 178/80 右/右 |
(どんな選手?) 三重海星時代から、プロ注目の本格派右腕です。高卒3年目の昨年の都市対抗では、序盤まで文句なしの投球を示しました。あとは、それを長いイニング・一年間を通じて発揮できる安定感・そして大舞台でのアピールで、充分プロ入りを視野に入れられるところまで来ております。 (投球内容) オーソドックスな右上手投げから、常時140キロ前後ぐらいのストレートです。昨年までは、もっと140キロ台中盤ぐらいまで出していたのですが、この日は先発だと言うことで球速は控えめだった気が致します。それでもボールには、一定のボリューム感と勢いを感じさせます。 変化球もスライダー・チェンジアップ・それにフォークなどを交えます。両サイド一杯への制球力もよくなり、以前ほど高めに浮く球も少なくなりました。また決め手不足だった投球も、縦の変化に磨きがかかりました。都市対抗予選では、17回1/3イニング、イニングを上回る18奪三振を奪えるまでになっています。 マウンド捌きも悪くないですし、制球力も悪くありませんでした。ただ予選では、18回1/3イニングで四死球は9つと、イニングの半分程度と非常に多い数字。むしろ都市対抗での投球は、出来過ぎだったのかもしれません。あと気になる材料をあげるとすれば、クィックが、1.3~1.4秒ぐらいと出来ていない点です。そういった安定感・細かい総合力を引き上げられるのかが、今後の課題なのでしょう。 (投球フォーム) 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばしているので、お尻の一塁側への落としができる投手です。着地までの足の逃がし方も悪くなく、見分けの難しいカーブや縦の変化を修得しやすいフォームです。 グラブを内にしっかり抱えられているので、両サイドの制球は安定しています。ただ足の甲の押しつけが、つま先のみを地面を捉えており、腰高のフォームになってしまっています。そのため力を入れると、どうしてもボールが浮いてしまう傾向にあります。腕の角度も多少無理があるので、身体への負担は少なくはないでしょう。ただ彼の場合、この豪快な腕の振り下ろしが一つの特徴になっているので、これを軽減させると持ち味が薄れてしまうかもしれません。 投球の4大動作においては「着地」までの粘りがあり「球持ち」「体重移動」も平均的。ただフォームが直線的で、もう少しグラブを前に突き出す時に、斜め前に突き出すようにすると、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが斜めになり、打者に正対するのが遅くなり、ボールも見難くなるのではないのでしょうか。腕を強く振れている点には、非常に好感が持てます。 (今後は) あとは、先にも述べた通り、安定感と実績を残し、細かい総合力の引き上げの段階だと思います。大卒解禁組と同じ高卒4年目を迎え、いよいよプロ入りが見えてきました。ぜひ最高の形で、プロ入りを実現して欲しい期待の若手投手です。 (2010年・都市対抗) |
高木 勇人(21歳・三菱重工名古屋)投手 178/80 右/右 |
(どんな選手?) 三重の海星高校時代から、プロ注目の速球派。社会人2年目の今年は、ヤマハの補強選手として選ばれ、都市対抗の大舞台を経験した。 ランナーがいなくてもセットポジションから投げ込んで来る選手なのだが、ストレートはガン表示の厳しい東京ドームでも、常時140キロ台~MAX144キロを記録。その球威・球速溢れる速球は、まさにドラフト候補に相応しいボリューム感を誇っている。 また変化球は、スライダー・フォーク・チェンジアップあたりがあるようだが、球全体が高いのが気になるところ。球の勢いはあるものの、まだまだ実戦面と言うところでは課題の多い選手。 (今後は) 期待の若手投手として、ドラフト候補としてマークされる素材だろう。ただ高めに浮く球筋・武器になる変化球・実戦的なフォームなど、速球以外の部分では課題の多い選手。 来年には、150キロ近い球速も充分期待出来る素材だと思うが、即戦力になり得る投手育つかは微妙。個人的には、ぜひその成長を確認したかった投手だけに、確認出来て非常に嬉しい選手の1人だった。 (2009年・都市対抗) |
高木 勇人(三重・海星)投手 174/64 右/右 |
「中井のライバル!」 ドラフト指名確実な中井 大介(宇治山田商)のライバルとして、永年切磋琢磨してきたのが、同じ三重出身の逸材 高木 勇人 だ。今回は、プロ志望届けも提出した、彼の実情に迫りたいと思う。 (投球スタイル) オーソドックスな右の本格派で、コンスタントに135キロ前後ぐらいの速球に(MAXで140キロ近くか)、カーブ・縦に切れ込むスライダーなどを織り交ぜて来る。この投手の好いところは、カーブが比較的低めに集まるところ。そしてマウンド捌きなどのセンスは悪くないところだろう。 ただ速球に関しては、ドラフト候補として平均レベルで、手元での勢い・球威とも際だつ程ではない。またそれほど甘くない球でも、簡単に痛打されてしまうなど、開きの早いフォームには課題を残す。ただ牽制などを入れるタイミングなどを観ると、ピンチでも落ち着いて対処出来る投手だし、フィールディング・クィックなどの動作も基準を満たしている。そういった野球センスを持ち得た素材なのだ。 <右打者に対して> ☆☆ アウトコース高めに速球・アウトコース低めにカーブと云う投球は出来ている。ただインコースを厳しく突いたり、縦に鋭く落ちる球は殆ど観られない(実際にはあるのだが、滅多に使わない)。また制球力自体は安定しているのだが、開きの早さからか甘くない球でも簡単に痛打される傾向が見られる。右打者から多くのヒットを浴びていた。 <左打者に対して> ☆☆ 左打者に対しては、右打者相手よりもアバウトになる。アウトコース低めにカーブを決められるのは好いが、アウトコース高めに速球が抜けることが多い。インコースを突く球も観られるが、かなりリリースにバラツキが観られ、制球力に不安を感じさせる。たまに縦に鋭く落ちるスライダーを投げ込み、この球の精度が上がって来ると面白いだろう。 (投球のまとめ) アウトコースに速球と変化球を決めると云う、投球の基本は出来ているのだが、開きが早いフォームのために、それほど甘くないアウトコースの球を痛打される場面が目立つ。その一つの要因は、内角への厳しい攻めに欠けるからだろう。左打者に対しては、より制球はアバウトになる。ただ内角を突いたり、縦の変化が見られるなど、攻めのバリエーションを増やすことで対応している。 (投球フォーム) いつものように「野球兼」の2007年9月23日更新分に、彼の投球フォーム連続写真が掲載されているので、そちらも参考にして頂きたい。 <踏みだし> ☆☆ 写真1は、高木投手がワインドアップで構えた時のものである。背中の反り具合・お尻の大きさなどを観ると、まだ発展途上の印象を受ける。足の横幅はそれなりに取り、足をそれほど引いていないところを観ると、球の勢いよりもバランスを重視したスタイルだ。ただ写真2までの、足を引き上げる勢いは大人しく、あまり高い位置まで引き上がってはいない。それほどエネルギー捻出の高い踏みだしとはなっていない。まあ典型的な先発タイプとも云えるであろう。 <軸足への乗せとバランス> ☆☆ 再び写真2に注目して欲しい。軸足の膝から上がピンと伸び気味で、あまり膝に余裕がないので力みが生じやすい。また全体のバランス・軸足への体重の乗せ具合も平均レベルと云えよう。 <軸足への乗せとバランス> ☆☆☆ 写真3を観ると、引き上げた足をかなり二塁側へ送り込んでいる。そのためお尻はバッテリーライン上に落ち気味で、身体を捻り出すスペースは充分と云う程ではない。それでもお尻の落としは充分なので、それほど悲観する程ではないだろう。 また足を上手く逃がし、着地のタイミングを遅らせることには成功している。ただ残念なのは、この逃がしを重視しすぎてステップの幅が広くなり過ぎているのか、返って体重移動が不充分になって後ろに重心が残ってしまっている。 <グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆☆ 写真6のグラブの位置に注目して欲しい。グラブが最後まで身体の近くにあり、左右の軸のブレを防ぐことが出来ている。特に右打者への制球が安定しているのは、このグラブの働きが大きい。今度は、写真5の右足スパイクに注目して頂きたい。足の甲をしっかり地面に押しつけることで、球が浮き上がったり、後の動作にしっかりエネルギーを伝えることが出来ているはずなのだが、ステップを広く取りすぎて実際には、後の動作にはエネルギーが伝えられていないのだが・・・。 <球の行方> ☆☆☆ 写真4を観ると、着地の瞬間ではボールを持った腕がすでに打者から見え始めている。これだと身体の開きが早く、少々好い球を投げ込んでも相手に打たれてしまう。写真5を観る限り、腕の角度は平均的・球持ち自体は悪くない。あとは開きの改善に努められれば、かなり実戦的なフォームになるだろう。 <フィニッシュ> ☆☆ 写真6では、意外に振り下ろした腕が身体に絡んでいないのは残念。また特に気になるのが、右足が殆ど地面から浮かず、地面を蹴り上げられていない点だ。これは先にも述べた通り、ステップが広すぎて重心が後ろに残ってしまっているからだろう。ただ体重が後ろに残る分、投げ終わったあとに、バランスを崩すようなことはない。 (投球フォームのまとめ) 彼の欠点は大きく二つ 1,身体の開きが早く、打者から苦になく打たれる点 2,体重移動が不充分で、ストレートが乗って行かない この二つの課題を克服して行けるかが、今後の大きなテーマとなりそうだ。 (最後に) まだまだ投球レベルも低く、技術的にも課題が多い。今のレベルでは、高卒即プロは厳しいだろう。しかし素材・センスとしては悪くないだけに、環境次第では3,4年後充分プロをも視野に入れられる可能性は秘めていると考えられる。ぜひ好い指導者の下、志を高く持って頑張って頂きたい。過去の自由枠入団でプロ入りした大学・社会人投手達の高校時代と比較しても、けしてヒケを取らない素材なのだから。 (2007年・夏) |
東海大会で一度見ましたが、145キロというのは眉唾です。140キロすらほとんど出ていないのではないでしょうか。球のスピードそのものよりも切れや威力を感じられず、また打ち頃の高さにボールが集まっていましたから序盤KOも当然かなと思いました。 (2006年 12月26日 山岡氏) |