14sp-13






横山 雄哉(26歳・阪神)投手の藁をも掴むへ







横山 雄哉(阪神)投手のルーキー回顧へ







横山 雄哉(21歳・新日鉄住金)投手 182/82 左/左 (山形中央出身) 
 




                  「印象は変わらなかった」





 春の関東選抜リーグで確認した時にレポートを作成したが、その時の印象とその後も変わらなかった。都市対抗本戦、U-21の日本代表で151キロを記録しても、私の印象はそのときと同じ。


(投球内容)

セットポジションから、非常に高い位置まで足を引き上げてきます。

ストレート常時140キロ前後~中盤ぐらい

 ストレートは角度よく投げ下ろされて、ミットにズバーンという感じで収まります。物凄く手元でキレるとか伸びるといった感じではなく、見え始めからミットに収まるまでの時間が短く感じられるボールだということ。高めのボールには、それなりに勢いを感じ空振りを誘えます。

 球筋は、両サイドに散らすことができます。特に右打者の内角を厳しく突いてきますが、結構バラつきがありコントロールはアバウトな感じ。特に甘いところに来るというよりは、カウントが悪くなくってもあっさり四球を出してしまったりとそういった踏ん張りの無さがあります。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど

 曲がりながら落ちるスライダー、緩いカーブ・チェンジアップなど、ひと通りものはあります。横滑りするというよりも、縦に落ちる変化が大きいということ。それでも変化球で、バシバシ空振りを誘うほどの精度・キレはまだありません。あくまでも、速球を見せておいての変化球といった感じはします。

そのほか

 クィックは、1.1秒前後~1.25秒前後と意外にゆったり投げています。牽制は「間」を入れたりするために使いますが、鋭い走者を刺すようなものは見当たらず。フィールディングも、極平均的だと言えます。

 投球の間や、微妙な投球術コントロールはなく、淡々と威力のあるボールを投げ込んで来る感じがします。それほど、野球センス・運動神経に優れたタイプには見えません。

(投球のまとめ)

 関東選抜リーグで観た印象と同じで、高校時代からかなりパワーアップしているものの、まだまだコントロール・投球術・実戦力にかけては、発展途上との印象を受けます。自分のペースでポンポンと追い込めているときは良いのですが、コントロールもアバウトなので、プロの打者ならば見極めてきたり、カットしてきたりと、粘られているうちに甘い球を打たれる悪循環に陥るのでは?自分のペースで投げさせてくれない相手と対峙すると、途端に脆さが出てきます。

 左腕で140キロ台中盤を連発できる素材は魅力なものの、一年目から活躍できるかと言われると疑問が残ります。あくまでも一年ぐらいファームに漬け込んで、2年目ぐらいにどのぐらいやれるのか?というタイプではないのでしょうか。


(最後に)

 ポンポンとストライクを先行させられる良さはあるのですが、ボールをじっくり見極められると、本当のコントロールがないだけに苦しそう。昨年の阪神1位である 岩貞祐太(横浜商科大)投手と同等かそれ以下の完成度であり、即戦力としては厳しいでしょう。

 しかし高卒3年目の21歳と若く、左腕から140キロ台中盤を叩き出し、投球も最低限まとめられるレベルにはあり、指名されても不思議ではないかなとは思っていました。しかしそれは、一年目から結果は求めないというのが条件であり、そこを覚悟の上での指名ならば好いのではないのでしょうか。個人的にはもう一年ぐらい会社に残った方が良いと思うのですが、プロの育成力に期待しましょう。2年目以降、ローテーションに入ってくるような成長を期待します。


蔵の評価:
☆☆


(2014年 U-21ワールドカップ)











 横山 雄哉(21歳・新日鉄住金)投手 182/82 左/左 (山形中央出身)





                  「確かに成長している」





山形中央時代から、正統派の左腕として注目されてきた存在。あの時はスラッとした体型・柔らかい身のこなしが魅力だったものの、あともう一歩プロにかかるには物足りないものがあった。しかし入社3年目の今年、プロを意識できるところまで来ている。


(投球内容)

高校時代は、足を引き上げたあと、前に倒れ込むような感じのスリークオーターで、上下の動きが激しいフォームでした。しかし今は、そういった余分な動作は少なくなり、腕も真上から振り下ろす本格派になりました。

ストレート 常時130キロ台後半~140キロ台前半

 球速としては驚くようなものはないのですが、決めに行く時の高めのストレートに勢いを感じます。特に腕をしっかり振れるところが魅力で、高校時代が135キロ前後だったことを考えると、一回りも二回りもパワーアップしているように思えます。

 コントロール自体は、とりあえずストライクゾーンの枠の中に集めるといった感じで、ストレート全体の球筋も高い傾向にあります。ボールの勢いがあるときは良いですが、これが鈍りだすと怖い部分が。それでも観戦日は、早めに追い込んで仕留めるというパターンができていました。

変化球 スライダー・カーブ・カットボール・チェンジアップ

 特に変化球のキレ・コントロールに特筆すべきものはなく、むしろストレートとの球速差・緩急の意味合いが強く、全体的にレベルが高いようには見えません。特にスライダーなどは、真ん中高めあたりに行くので、思わず打ち損じてしまいます。しかしこれが、そういうものだとわかってしまうと、痛打を浴びる可能性は否定できません。

その他

 牽制は、相手の打ち気を逸らしたりするためには使います。高校時代から左腕ですが、鋭い牽制は殆ど見られません。フィールディングも平均的で、クィックは1.05秒前後と素早く投げ込むことができます。

 野球センスや運動神経に優れたタイプというよりは、恵まれたポテンシャルの方が優先したタイプではないかと思います。

(投球のまとめ)

 高校時代よりは、確実にパワーアップ。しかし変化球レベル・アバウトな制球には課題があり、相手にじっくり見られた時に怖いなと思える部分があります。現状は、その辺をいかに勢いにかまけて誤魔化せるかではないのでしょうか。まだまだ、実戦力が高い選手とは言えません。


(投球フォーム)

では今回は、僅か3イニングのみの観戦だったので、投球フォームの部分から本質に迫ってみたいと思います。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けているので、お尻は三塁側(左投手の場合は)に落とせません。すなわち身体を捻り出すスペースが充分確保できないので、腕を捻り出して投げるカーブやフォークといった球種には適しません。

 それでも「着地」までの粘りは悪くないので、カーブやフォーク以外の球種ならばモノにできるように思います。その割に、各変化球のキレ・精度が低いのは気になりますが。

<ボールの支配> 
☆☆

 グラブは最後まで体の近くにはありますが、やや後ろに抜けてしまっています。これだと充分に外に逃げようとする遠心力を内に留めきれません。また足の甲の地面への押し付けも充分ではないので、力を入れて投げるとボールが上吊ってしまいます。コントロールのアバウトさは、こういった動作がキッチリできていないからでしょう。

<故障のリスク> 
☆☆

 お尻が落とせないですが、カーブはそれほど多く投げないので悲観しなくても良いでしょう。むしろ腕の角度は結構つけて投げてくるので、肩への負担は少なくないはず。故障には充分注意して、ケアして欲しいと思います。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆

 「着地」までの粘りは悪くなく、体の「開き」も早過ぎることはありません。そういった意味では、けして合わせやすいフォームではありません。

 腕も強く振れて身体に絡んでくるので、速球と変化球の見極めも困難。ボールにも体重が乗せられており、その球速以上に手元までボールの勢いが落ちません。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」においては、特に大きな欠点はなく、フォームとしての土台には優れていると評価できます。

 しかしその一方で、コントロールを司る動作と肩への負担を感じさせる部分があるので、その点は注意しないといけません。

(成績から考える)

昨年の成績ですが、「GRAND SLAM」にデータがあったので、傾向を考えたいと思います。

10試合 31回1/3イニング 29安打 16四死球 34奪三振 防御率 4.60

1,被安打は、イニングの80%以下 ✕

 被安打率は、92.7% であり、かなり高いのがわかります。まだまだ変化球を含めたコンビネーションや、細かいコントロールなどに課題を抱えているという印象の裏付けになっています。

2,四死球はイニングの 1/3以下 ✕

 四死球率も51.1%にのぼり、基準である33.3%以下に及びません。このへんもアバウトな制球の印象を受けたとおり、普段はかなり四死球を出していることがわかりました。

3,奪三振は、イニングの90%以上 ◎

 昨年は、10試合で31イニングということで、リリーフとしての基準で考えてみました。それでもイニング数を上回る奪三振を奪えており、充分基準を完全に満たします。ボールの威力がまさり、変化球のキレ・精度がそれほどでもなくても、多くの三振が奪えていることがわかります。

4,防御率は2点台以内 ✕

 昨年の防御率は4.60ということで、まだまだ安定感に欠けていたことがわかりました。

(データからわかること)

 ボールの威力は、社会人でも上位であることがわかります。しかしそれ以外の部分には課題が多く、素材型の域を脱していないのではないかということがわかります。あくまでもこの成績は昨年の成績を元にしているので、イコール今年のものにあてはまるとは思いません。しかし実際見た印象から、データによる裏付けも充分できたものと思われます。


(最後に)

 先日の登板では、ポンポンと討ち取って、どうも出来すぎだよなぁとは疑ってみていました。それは、アバウトな制球力・変化球の精度からして、そんなに普段も上手く抑えられているのかな?という疑問を持ったからです。

 それでも高校時代に比べると成長していますし、元々持っている素材の良さも感じます。今後の都市対抗予選・都市対抗などの内容にもよりますが、高卒3年目の若さにも期待して下位でならば指名はあるかもしれません。ただし今のままならば、最低でも何年かはファームで鍛えないと厳しいかなというのが率直の感想でした。


(2014年 関東選抜リーグ)


 









 横山 雄哉(山形中央)投手 181/75 左/左
 




                「巡り合わせが悪いな」





2年春の選抜で注目され、一躍翌年の成長が期待された 横山 雄哉 。しかし最終学年では、春季大会や夏の予選も調子が上がらないまま、山形大会の決勝戦を迎えた。しかし今度は、準決勝で左手中指まで皮がむけるアクシデントに見舞われ、4回でマウンドを降りることになる。


(投球内容)

 足を勢いよく引き上げて、そこからサイドハンドのように体を前に折ってから投げ込んで来るスリークオーター。とても、上下の動きが激しいフォームだと言えよう。

ストレート 135キロ前後

体は昨夏よりもガッチリしてきたが、指の怪我の影響かスピードはイマイチだった。はっきりした球速はわからないが、恐らく常時135キロぐらいだったのではないのだろうか。昨夏の時点で135~140キロぐらいは投げていたから、昨夏よりもむしろ遅くなって見えるぐらい。しかしボールはピュッと打者の手前でキレて、左腕らしく空振りを誘える球質となっている。またコーナーにズバッと決まった球は、打者が手を出すことができない。その素質の片鱗は、この試合でも確認できた。

変化球 カーブ・スライダー・スクリューなど

主な変化球は、鋭く低めに切れ込むスライダーとのコンビネーション。たまに緩いカーブや昨年なかったシュート系の球も右打者の外角に使っているようだった。特に武器であるスライダーが、比較的低めに集まっていた点は、評価したいポイント。ただこの決勝戦では変化球でカウントが取れていたが、それまでの試合では決まらずに苦しんでいたという。

その他

クィックは、状況に応じて使ったり使わなかったり。使ったときは、1.0~1.2秒前後で投げ込むなど、基準以上のものがある。牽制は、「間」を外したりする時に使うぐらいで、あまり刺そうと言う意図は感じられない。フィールディングは落ち着いているが、平均的なレベルといった感じだろうか。

気になるのは、決勝戦の鶴岡東戦で、一塁走者に完全にモーションを盗まれて盗塁を許したところ。特にこの日最初に出塁したランナーに対しての警戒として、かなり注意力が甘いのではないかと思われる。

(投球のまとめ)

この選手は、伸び悩むだろうなと昨夏の時点で思っていた。と言うのも制球がアバウトな部分があり、あまり繊細な投球ではなかったからだ。あくまでも下級生の割に、見込みのある球を投げ込んでいた左腕と言う意味で評価されていた素材型。

しかし今年は、かなりコースに投げ込むことができており、制球力は向上していたように思える。ただ決勝までは、変化球の制球に苦しむなどストレート以外の制球にまだ不安があるようだ。

そして昨夏にも観られた欠点が、精神的に余裕がなくなってくると、身体も突っ込み、甘い球が増えてきて痛打を食らう。逆境になった時のセルフコントロールが大きな課題だと述べていたが、先の一塁ランナーへの警戒心などを観ていると、まだまだ冷静なピッチングと言う意味でも不安が残る。結局この試合では、けして甘くない球を痛打され、4回途中でマウンドを降りることになった。


(投球フォーム)

<広がる可能性>

引き上げた足を地面伸ばすので、お尻を三塁側には落とせません。そのため腕の振りが緩まないようなカーブや縦に鋭く落ちるフォークのような球の修得は厳しいでしょう。ただ「着地」までの粘りは、少し作れるようになってきているので、そういった球以外を覚え、投球の幅を広げて行くことは期待できそうです。

<ボールの支配>

グラブを内に抱えているので、両サイドの投げわけ安定している。また足の甲もしっかり地面に押しつけられるなど深く重心が沈み、ボールの上吊りあまり観られない。「球持ち」に関しては平均的だが、実際には指先の感覚はあまり良いようには見えない。ただ昨夏から比べると制球は改善されつつあり、これから制球力をより磨いてもおかしくはない動作はできている。ただ彼の投球フォームは、あまりに上下動が激しく、それが制球に影響を与えている可能性も否定できない。

<故障のリスク>

お尻が落とせない割にカーブも織り交ぜて来るが、それほど多くは投げ込んで来ない。フォークやシュート系の球も多投はしないので、この部分は悲観しなくても良いだろう。また腕の振りはスリークオーターなので、肩への負担も大きくはない。ただこれだけ上下動に激しい動きをみると、腰など何処からかに疲労が蓄積しやすいのではないかと危惧する。それだけに、故障には充分注意してもらいたい。

<実戦的な術>

「着地」までの粘りは平均的だが、体の「開き」は遅くボールの出所は見難い。特に左打者にとっては、背中越しから来るような球筋でもあり、外角低めに決まる球筋は、相当遠くに感じられるはず。

振り下ろした腕は体に絡み、腕の振りの見分けは難しい。ただ「体重移動」は不十分で、打者の手元までウエートの乗った球威のある球が投げられない。重心の深すぎる沈み込みが、体重移動を阻害しているようだ。

(投球フォームのまとめ)

「着地」は平均的でタイミングが狂いやすいフォームではないが、体の「開き」が遅くボールが見えにくかったり、左スリ-クオーター独特の球筋が、左打者には厄介だというイヤらしさは持っている。

グラブをしっかり抱えられ、足の甲も深く押しつけられ、「球持ち」も悪くないのだから制球力は高そう。しかしそれほでもないのは、独特の上下の動きの激しさにあるのかもしれない。

「体重移動」の不十分さが、将来的に更にストレートを威力を磨いて行く上では不安を残す。今後もうワンランク・ツーランクとストレートを磨いて行かないと、今の球威・球速のでは物足りないだけに。


(最後に)

左スリークオーターと言う素材的に希少価値な点を考えると、かなりドラフト候補としては興味深い。ただ昨年~今年にかけての成長が乏しく、課題がまだ改善されていないことを考えると、やはりワンクッション置いてからの方が、プロ入りは無難だと考えるべきだろう。

まずは、大学なり社会人で、確かな実戦力と実績を残してから、プロ入りを目指すべきではないのだろうか。あくまでも面白そうな素材。まだそこから抜け出すことができていない。興味深い素材ではあるが、プロ入りには時期尚早だと判断する。


(2011年夏 山形大会)





横山 雄哉(山形中央)下級生寸評へ(無料)





横山 雄哉(山形・山形中央2年)投手 179/62 左/左





                「早くもプロ注目の存在に!」





 新2年生になったばかりでありながら、スラッとした投手体型から繰り出されるキレのある球が魅力の左腕・横山 雄哉 が、早くもスカウト達から熱い視線が注がれていると言う。そんな将来楽しみな投手を、今回は取り上げてみたい。

(投球内容)

 テイクバックを小さく固めて、打者のタイミングを狂わせつつ、ピュッとキレのある球を、リズム良く投げ込んで来るのが、この投手のピッチングスタイル。

ストレート 130キロ台前半~MAX137キロ

 ピュッとキレのある球が、比較的低めに集まるのが、この投手の良さ。その一方で、現時点ではそれほど球威・球速がないので、甘く入ると怖い側面があることも否めない。

スライダー 125キロ前後

 投球の多くは、速球とスライダーとのコンビネーション。ただこのスライダーは、打者の空振りを誘うと言うよりは、速球との緩急・カウントを稼ぐための球といった感じで、それほど絶対的なキレはない。現に甘く入ったスライダーを、痛打される場面が選抜では目立った。

カーブ 100キロ強

 緩急・投球のアクセントと言う意味で、カーブも投げることがある。ただ圧倒的に、その数は少なく、そういった球があるんだと言った程度で、かなり精神的に余裕がある時にしか使わない。

その他

 左腕としては、牽制は平均的。ただクィックは、1.0~1.1秒ぐらいでまとめられており、極めて高速なクィックが可能になっている。そのため左腕特有の牽制で威嚇しなくても、ランナーの足を封じることができるはずだ。

(投球のまとめ)

 アバウトにコースに投げ別けることはできるのだが、時々甘い球を投げ込んで来ることが多い。全国レベルの打線ならば、そういった球を中々見逃してはくれないはず。そういったことを、身を持って2年春に経験できたことは、彼が今後目標を持って成長して行く過程で、大きな経験となったはずだ。

 リズム良く投げ込むのが身上な投手であり、逆に自分のリズムが崩された時に、如何に立て直して行けるのか、そういった「間」の取り方、マウンド捌きなど、逆境に立ったとき、自分の本来の投球ができない時に、どんなピッチングをして行くのかが、この投手のこれからの課題だろう。


楽天


(データから考える)

新チーム結成以来の秋の成績は

16試合 115回1/3イニング 93被安打 26四死球 83奪三振 防御率 2.65

データを観る上で、一つ目安となる数字を、ご紹介したいと思う。

1,被安打は、イニングの70%以下に

 高校生レベルでの球の威力や、コンビネーションに課題がないかと探るには、被安打が70%以下であることが望ましい。彼の場合、被安打率は80.7%に昇り、まだまだ球の威力かコンビネーションに課題があることが伺われる。選抜では、全国レベル強力打線である日大三高打線に、7回を投げ18安打を喫している。このことからも、速球とスライダーの単調なコンビネーション。球威・球速に欠ける上、甘いところに入るなど、球の威力やコンビネーションに課題を残すことを露呈した。

2,四死球は、イニングの1/3以下に

 四死球率は、22.5%と、イニングの1/3以下に抑えることができている。ストライクゾーンの中で投げ別ける細かいコントロールには欠けるが、枠の中にボールをしっかり集める能力は、すでに身につけているようだ。日大三打線相手にも、7回を投げて四死球は2個に抑えられており、問題は枠の中での細かいコントロールや、球の威力・コンビネーションに課題があることがわかる。

3,奪三振率は、1イニング1個前後

 彼の秋の成績をみると、1イニングあたり奪三振は0.72個と、やや物足りない。最低でも、高校生相手ならば、0.9個以上の割合で三振の奪える球の威力・決め手を身につけたい。ただ、まだ新2年生あることからも、この数字は今後の一つの目安として考えて欲しい。

4,防御率は、1点台が並。0点台が望ましい

 高校レベルの打者相手ならば、1点台の防御率は欲しいところ。それが、2.65と言う数字からも、まだまだ勝負どころでの踏ん張り・圧倒的な力・安定感などに、課題を残すことが伺われる。

(データからわかること)

 まだまだ高校生レベルでは、突出した能力があるとは言い難い。あくまでも、今後の伸びしろを感じさせる素材としての魅力・可能性に期待した上での素材であり、過大な評価はできないことがわかる。


(投球フォームから考える)

 上体が前に倒れ込むような、サイドスローの入り方で投げ込む、スリークオーターです。テイクバックを小さめに取り、ボールの出所を隠す打ち難さが最大の特徴です。

 基本的に、お尻を三塁側(左投手なので)に落とせないフォームなので、将来的にも見分けの難しいカーブや縦に鋭く落ちるフォーク系の修得は難しいと思います。スクリューやチェンジアップなどを磨き、緩急・決め手に特徴を出して欲しいところです。

 グラブは、最後まで内に身体の近くにありますし、何より足の甲で地面を押しつけられるなど、低めに球が集まりやすいフォームになっています。あとは、リリースが安定してくれば、制球力には不安のない投球が期待できそうです。

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点で見てみると、「開き」
の遅さに最大の良さfがある一方、「着地」までの粘り、前にグッと体重が乗って来る「体重移動」に課題があるのがわかります。指先の感覚は、将来的にかなり良くなりそうなので、あとは腕を鋭く振れる「鋭さ」や身体の「強さ」などを磨いて欲しいですね


(今後に向けて)

 私の経験上、こういった細身で筋力の不足しているタイプは、意外に球威・球速が伸び悩む傾向が強いです。それだけに、体幹を鍛えたりして背筋を下半身のトレーニングと平行して鍛えて行かないと、ストレートにボリューム感が付かないまま、高校生活を終えることになりかねません。

 いろいろな面で課題を残す素材型でり、あくでも伸びそうと言う期待込みで評価されている選手です。その期待に応えて行くには、並々ならぬ努力を続けて行かなければならないでしょう。そこまでの意識がある選手なのかどうか、これからの成長に期待したいところです。ただ2年春の時点で、全国レベルの野球を実感できたことは、彼にとって大きな財産となったはずです。この経験を如何に生かすかは、彼次第といったところでしょうか。ぜひ秋からは、山形に横山あり!と鳴り響く存在に育って欲しいと願っております!


この記事が参考になったという方は、ぜひ!


(2010年 選抜)