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浅間 大基(日ハム)外野手のルーキー回顧へ







浅間 大基(横浜・3年)中堅 182/72 右/左 
 




                「ギラギラしたものが感じられない」





 疲労骨折明けで、選抜でのプレーも心配された 浅間 大基 。オフの寸評でも潜在能力は相当高いのでは?と書いた選手で、スポーツ新聞では「巨人の1位候補」との見出しも大々的に出た。しかしその能力は認めるものの、高校からドラフト1位で指名されるほどの絶対的なものを感じたかというと、そこまでのものは感じられなかった。今回は、オフの寸評とも重複する部分が多いのだが、改めてこの選手のことを考えてみたい。

(プレースタイル)

 名門・横浜高校において、一年から不動のレギュラーとして活躍。そのため極めて・走塁・守備・打撃ともハイレベルな技術の持ち主だといえよう。それでも何処かスマートにプレーしようという天才肌で、底から沸き上がるようなギラギラしたものが感じられない。何か垢抜けたものは感じても、凄みみたいなものが感じられないのだ。まだまだこの選手、持っている潜在能力の半分も出しきっていないのではないかという、歯がゆさも残る。


(守備・走塁面)

 打球への反応、その後の落下点までのボールの追い方をみても狂いがありません。そのため普段から、余裕を持ってキャッチングできます。それでいて球際でのギリギリのプレーも上手く、高校生としては全国でもトップクラスの守備力があると言えるでしょう。また元投手だっただけに、肩も結構強い。レーザービームというほどの超強肩ではないにしろ、プロに混ぜても強肩として存在感を示せるはず。こと守備に関しては、今すぐ上のレベルに混ぜても、それほど遜色がないと評価できます。
 
 一塁までの塁間は、4.1秒前後と際立って速いタイムではありません。これは、ドラフトに指名される左打者の平均的なタイム。しかし実際には、相手の隙を突くセンス・盗塁する勇気は持っているので、その走力以上に実戦的な走塁は期待できます。足で魅了するほどの絶対的なものがあるのかは微妙ですが、プロに混ぜても年間20盗塁ぐらいを記録できる脚力はあるのではないのでしょうか。

 そういった意味では、守備・走塁にしても、比較的早い段階からプロに順応して行けるだけの技術があります。あとは本人がいかにそういったものに意識を傾け、その術を更に磨くかで位置づけは変わってくると思われます。

(打撃内容)

 現状は、オーバーフェンスをするよりも、外野手の間や頭の上を越えてゆくような二塁打・三塁打が多い中距離タイプというイメージがあります。しかし練習試合でたまたま見た彼のセンターフライが、空高く上がって中々落ちて来ないのをみて、この選手の持っている潜在能力は相当高いのではないかと思うようになりました。これは、高校時代中距離打者にしか見えなかった先輩である 多村 仁志(DeNA)外野手が、プロに入って長打力に魅力を見出したような変化が、プロ入り後期待できるのではないかとみています。単なる中距離打者というよりは、中長距離砲への変貌を期待させます。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を引いた左オープンスタンスで、グリップの高さは高めに添えます。背筋をしっかり伸ばし、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢も悪くありません。適度な緊張感のなかにも、リラックスした良い構えではないのでしょうか。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

 開いていた足をスクエアに戻し、リリース直前に小さくステップする「遅すぎる仕掛け」を採用。これだと打てるタイミング限られて、一定レベル以上の球速・キレにのある球に差し込まれやすい傾向にあります。

<足の運び> 
☆☆☆

 始動~着地までの「間」がないので、瞬時にいろいろな球には対応できず、狙い球を絞る必要があります。またベース側にインステップして踏み込んでくるので、内角の捌きも窮屈になりがち。どうしても右投手の内角に食い込んで来る球筋に対し、左のアベレージ打者がインステップすると率が残りません。それでも踏み込んだ足元はブレないので、外の球や低めの球には、開きを我慢して対応できます。打てるタイミング・捌けるコースが、かなり限定されているのではないかと推測します。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 始動の遅さを、比較的早めに「トップ」を作って対応できています。これによりに、速い球にもそれなりには対応できるようになっています。振り出しも、けしてインサイド・アウトの軌道ではありませんが、始動~インパクトまでにロスは感じません。真ん中~外の球を叩くには無理のないスイングではありますが、内角の捌きはどうでしょうか?

 スイングの弧は、強打者らしく大きめ。フォロースルーを活かすようなタイプではないのですが、ボールを捉える部分が打球に角度をつけて捉えられます。見た目は線の細さを感じますが、打球やスイング自体は、結構強いものがあります。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げが静かなので、目線は上下に動かず、ボールを的確に追うことができます。体の開きも我慢出来ていますし、軸足もそれなり。軸足を崩してでも、柔らかく膝を使えう選手なので、この辺はあまり気にしなくて良いでしょう。

(打撃のまとめ)

 打撃フォームは、秋から全くいじっていないのではないかと思われます。まだまだスイングに凄み、打席での隙なし鋭さは、秋同様に感じられません。あくまでも、潜在能力の高さでプレーしている印象は否めません。

 現状は、捌けるボールが限られており、その辺をいかに広げて行けるかでしょう。素材的には「柔らかさに」加え「強さ」もある素材だけに、今後どういったプレーヤーに進化してゆくのか楽しみです。


(最後に)

 けして長距離打者ではない左の外野手ということで、ドラフト1位で指名するほどの需要があるのかは正直疑問。近年で似たタイプだと 駿太(オリックス)選手が1位で指名されたり、現在内野手ですが高校時代は外野手だった 西川遥輝(日ハム)が2位で指名された例などがありました。

 そういった選手でも欲しいという需要があれば確かに上位指名になる可能性はあると思いますが、その能力の割に低い順位で取られることが多いタイプだとも言えるでしょう(イチローなどは4位)。現状では、3位前後の指名になると考えています。

 ただし夏までに、何か明らかに凄みを増したとか意識が変わってきたというものを実感できるようになれば、真の1位指名候補に浮上して来るかもしれません。現状はまだ、そこまでの領域には至っていない、そういった物足りなさが残ります。


蔵の評価:
☆☆☆


(2014年 選抜)











 浅間 大基(横浜・2年)中堅 182/72 右/左
 




                  「持っている潜在能力は相当凄い」





 チームのメイトの 高濱 祐仁 と共に、スーパー1年生として活躍してきた 浅間 大基 も最終学年を迎えようとしている。この選手は天才肌で、常に少しプレーに余裕を持っていて力を出し惜しんでいて、がむしゃらさが伝わって来ないのが、どうも前から気になっていた。しかし練習試合で見た一本の外野フライが、私のイメージを一変させた。ポ~ンと高く打ち上げた打球が、いつまで経っても落ちて来ない。この選手は、単なるハイレベルな好打者タイプなのではなく、高校時代は好打者タイプだった 多村 仁志 がプロで長打を売りにできたように、浅間にもそういった潜在能力が秘められているのではないかと思うようになった。


(守備・走塁面)

 あんまり内野ゴロで仕留められるという場面が少ないので、中々一塁までの計測タイムを測れない。また、それこそ必死になって一塁まで駆け抜ける機会も少ない選手でもある。本気で走った時の一塁到達タイムは、4.1秒前後ぐらい。際立って速いわけではないが、上のレベルでも平均~中の上ぐらいの脚力は持っている。

 むしろそれ以上にこの選手の場合、実戦的な走塁技術と盗塁能力を秘めており、そのタイム以上の走力を身につけていることは見落としては行けないだろう。投手の癖を読み、隙あらば次の塁を陥れてゆく。

 中堅手としては、落下点までの入りが早く安心して見ていられる。また球際のプレーもうまく、守備の能力も相当高いと見て良いだろう。また投手をやっていたこともあり、送球も想像以上に強いものがある。驚くほどの強肩ではないが、上のレベルでも通用するだけの地肩・スローイング能力の持ち主。

 ガンガン守備や走塁でアピールするタイプでもないのだが、持っている技術は高く実戦力が高い。レベルの高い世界に入っても、守備・走塁でも比較的早く対応できるレベル。この点では、間違いなくドラフト指名級だろう。


(打撃内容)

 打球の多くが、野手の間を抜けて行くか外野フライみたいな当たりが多い。転がして内野安打とか、そういった機会は殆ど見られない。それだけボールを、的確に捉える能力が秀でているものと考えられる。また打球は、どの方向にもはじき返せる幅の広さを併せ持つ。現時点では、好打者タイプというよりも中距離打者なのではないのだろうか。将来的には、高橋由伸のような中長距離打者ぐらいまで、長打力が目立つようになるかもしれない。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。背筋をスッと伸ばし、全体のバランスに優れる。両目で前を見据える姿勢は並ぐらいも、打席ではリラックスして構えることができている。あとは、甘い球は絶対逃さないんだという「鋭さ」みたいな高い集中力が出てくると申し分ないだろう。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

 投手の重心が下る時にベース側につま先立ちし、そこから小さく踏み出すので、本格的な始動はリリース前後。ここまで遅いと、一定レベル以上の投手への対応という意味では、不安を覚えずにはいられない。

<足の運び> 
☆☆☆

 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出します。真っ直ぐ踏み出すということは、内角でも外角でも同じように捌きたいという意志の現れ。踏み込んだ足元がブレないので、外の球や低めの球にもついて行けます。特に低めの球を拾うのが、上手い印象があります。

 気になるのは、始動~着地までの「間」が殆どないので、あらかじめ狙い球を絞って、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。現状は、どんな球も打ち損じないだけの高い集中力が常に保たれているわけではなく、大舞台やチャンスのときなど、アドレナリンが放出されるような場面で本気にならないと、そういった打撃が持続できないように思います。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのが早く、始動が遅過ぎるのを補っています。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではないので、懐にある程度スペースが欲しいタイプ。それでもバットの挿入角度がよく、インパクトまで無駄のない軌道をたどっています。

 またスイングの弧は大きく、けしてフォロースルーーでボールを遠くに運ぶことはありませんが、ボールに角度をつけて上げることができます。このへんは、肉体がパワーアップするに従い、オーバーフェンスの確率も高まるのではないのでしょうか。バットの先端であるヘッドも下がりませんし、上半身の使い方は柔らかく上手い選手。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げが小さいので、頭の動きは小さく目線は動きません。体の開きも我慢出来ているので、あとは軸足があまり崩れないように注意することではないのでしょうか。ただ彼の場合、型を崩してでも低めの球を拾うような柔らかさが持ち味なので、ボールを追いすぎない、見極めることに注意すると言った方が的確なのかもしれません。

(打撃のまとめ)

 まだスイングに凄みを、意識的に隙無しの鋭さを感じることはありません。まだまだ潜在能力だけでやっている印象は拭えませんが、ボールを捉える能力・持っている技術は、中々素晴らしいものがあります。

(最後に)

 野球エリートである横浜高校の選手に多い、何処か余裕を持ちすぎてしまい、プレーに必死さや危機感が伝わって来ないのが、正直気になります。がむしゃらにアピールしろとは言いませんが、甘い球は絶対逃さないだという高い集中力、内から滲み出るような凄みが最終学年に現れてくると上位指名も意識できるのではないのでしょうか。

 最初は、高校の先輩である 乙坂 智(DeNA)外野手の強化版かなと思っていたのですが、むしろ先輩である 多村 仁志 のような強打者的な潜在能力が高いのではないかと思うようになりました。同じ左打者ならば、天才打者と評されながら怪我で苦しんだ 前田 智徳(広島)外野手に近いタイプという方が、イメージ的には良いのかもしれません。彼が目指すべきは、前田の技術ではなく、野球への姿勢・精神だと思います。その辺のことを早く意識して取り組めれば、プロでも一流打者になれるのではないのでしょうか。


(2013年秋 神奈川大会)