14ky-32
山田 遥楓(佐賀工業3年)遊撃 178/73 右/右 |
「化学反応起きるか?」 強肩・俊足の高い身体能力加え、守備でも派手なプレーヤーで、スイングも大きなのを常に狙っているような選手です。良く言えば、かつての 新庄 剛志(元阪神)のような魅せることに徹したプレーヤーであり、悪く言えば粗っぽい雑なプレースタイルともいえ、危うさも感じます。ハイレベルなプロの環境・指導によって、どちらの面が際立って来るのかは、極めて想像が難しい選手だと言えるでしょう。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間を、右打席から4.25前後ぐらいで走り抜けます。これを左打者に換算すると、4.0秒前後。プロに混ぜても、かなりの俊足だと言えます。ただしプレースタイルを見る限りは、それほど盗塁をガンガンして来るような選手ではないように見えます。しかしそれが自分の生き残る道だと考えれば、走力が引き出される可能性はあるでしょう。思考回路的には、ガンガン行くタイプでしょうから。 遊撃手としては、捕ってからが速くダイナミックな動きが目を惹きます。スローイングは強く、地肩もかなり強いと言えます。まだ余分な動きが多いようにも見えますが、球際での強さを発揮しますし、守備範囲も広いと言えます。ただ力任せのスローイングなので、送球が乱れることも多いのかな?という不安はあります。しかし夏の佐賀大会の試合を2試合ほど見ましたが、粗っぽいプレーする割にはミスは見られませんでした。 また投手としてもマウンドに上がる選手で、球速は130~135キロぐらいでしょうか。身のこなしなどを見ていると、器用な選手は見えませんが、身体能力の高さでピッチングもこなしていました。 走れる走塁技術があるかとか、安定した守備力があるかは別にして、俊足・強肩の身体能力、ダイナミックな身のこなし、打球への反応などをみると、プロの遊撃手として育ててみたいと思わせるものがあります。 (打撃内容) 常に大きなのを狙っているような粗っぽいスイングですが、けしてロングヒッターではありません。打球もセンター方向中心にはじき返します。 <構え> ☆☆ 前足の軽く引いてつま先立ちしつつ、バットを立てたグリップの高さは平均的。足を引いて構えているものの、上半身は少しクロスに構えていて、センターカメラからみても背番号が読み取れます。そのため両目で前を見据える姿勢も、けして良いとはいえません。両目でしっかりボールを見ないと、目の錯覚で的確にボールを捉えることができないはず。 <仕掛け> 平均的な仕掛け 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。これは、ある程度の対応力と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターが多く使うタイミング。 <足の運び> ☆☆☆ 足を引き上げて回し込み、ベース側にインステップして踏み込みます。始動~着地までの「間」は適度に取れており、速球でも変化球でもそれなりに対応。ベース側に踏み込むということは、外角を強く意識しているのがわかります。しかしその割に、インパクトの際に足元がブレてしまうので、パワーロスをしたり打ち損じを起こしやすいのが気になります。 <リストワーク> ☆☆ あらかじめ早めにバットを引いてトップを作るので、速い球には立ち遅れ難いはず。しかしバットを振り出す時に、肘が下がってしまい、バットの先端であるヘッドも下がるので、中々綺麗にバットが振り抜けません。その分遠回りに軌道するので、ボールを捉える精度が落ちます。またバットが出て来ない分、内角の捌きにも課題があるように感じられます。現状、しっかり捉えられるポイントは、かなり限られていると考えられます。 スイング自体の強さ・ヘッドスピードは、けして遅くはありません。スイングの弧も大きく、最後までシッカリ振れているので、上手く捉えられれば遠くに飛んで行ます。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げは大きいので、ボールを捉えるまでにそれなりに目線は動いています。体の開きも充分我慢は出来ていませんが、軸足は大きく崩れないのが救いでしょうか。アクションが大きすぎて、まだまだ無駄な動きが少なくありません。 (打撃のまとめ) ボールを捉える根本的なセンスや能力に欠けるというよりは、技術的に課題が多く、打ち損じの多いスイングや打てる球が限られたものになってしまっているのが現状。それだけに、プロの指導でどのぐらい変わることができるのか。 問題は、こういった部分を修正できるだけの器用さがあるのか、またそれを自分のものにしてゆくだけの忍耐力があるのかということ。このへんについては、プレーや所作を見ていると少し心配になります。 (最後に) 持っている資質は面白いものを持っているので、プロという環境で秘めたるポテンシャルが引き出されるのか、あるいはプロの指導者により、課題を改善して行けるのかがポイントかと思います。 まだまだ底を魅せていない素材であり、プロの世界に入った時にどのような化学反応を起こすのかは、私自身想像できません。凄い大物に化ける可能性もあれば、全く水が合わず鳴かず飛ばずで短期間で消えるかもしれません。 しかしプロでもニ遊間で勝負して行けそうな貴重な存在だけに、こういった選手はプロが拾ってゆかなければいけないでしょう。恐らく指名は下位指名~育成枠ぐらいになるかと考えられます。確実にものになりそうな素材ではありませんが、何か賭けてみたい、そういった衝動にかられる選手ではありました。個人的には、その面白味に期待して、指名リストに名前を残してみたいと思います。 蔵の評価:☆ (2014年夏 佐賀大会) |