14ky-31
香月 一也(大阪桐蔭3年)三塁 175/62 右/左 |
「ピンと来たことはないが」 夏の甲子園で、日本一になった大阪桐蔭。そのメンバーの中で、唯一プロ志望届けを提出した 香月 一也 。広角に打ち返す強打で、下級生の頃から注目されてきた。果たしてドラフト会議で、その名前が呼ばれることはあるのだろうか? (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、左打席から4.35秒前後と、プロの基準である4.2秒に比べると劣る。夏の大阪予選8試合でも盗塁はなく、2度の甲子園に出場した9試合でも盗塁は1個もない。基本的に、足でアピールするというプレースタイルではない。 2年生の時は、二塁手。新チーム以後、三塁手として出場。打球への反応・動きはよく、守備範囲はまずまず。難しい打球に対するグラブ捌きもよく、三塁手としてはまずまず。地肩も基準レベルはあり、上のレベルでも三塁手ならば問題はなさそう。ただしそれほど長打力で魅了するスラッガーではないので、セカンドあたりがこなせると大きいのだが、プロの二塁手となると微妙なレベル。しかし強打のセカンドというアピールポイントがないと、プロの世界では埋もれてしまいそう。 (打撃内容) どの方向性にも、鋭いライナー性の打球ではじき返します。ゴロで打球が転がることが少なく、夏の甲子園でもタイムが計測出来たのは3試合目でようやくだった。ゴロの時は打ち損じとき、あとはポップフライが上がることも少なくない。 <構え> ☆☆☆☆ 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスと取れており、良い構えではないのでしょうか。特に構えに力みなく、立てていると言えます。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が下がりきったあたりで始動する、「平均的な仕掛け」を採用。これは、ある程度の対応力と長打力を兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターが採用します。彼のプレースタイルにも、見事に合致しているのではないのでしょうか。 <足の運び> ☆☆☆☆ 始動~着地までの「間」はそれなりで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に軽くインステップして踏み込むように、内角より外角の球を強く意識しているのがわかります。それでも内角の球に対しては、強引に引っ張って巻き込んでの長打も放ちます。甲子園でのホームランも、ライトスタンドへでした。 踏み込んだ足元がブレないので、外角や低めの球にも喰らいつくことができます。ただし膝が固いところがあり、低めへの対応に弱さがあるように感じました。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である、「トップ」の形を作るのは自然体。そのため、リストワークに硬さ感じられません。バットの振り出しも、インパクトまでロスなく振り下ろされています。それでいて大きな弧を描きつつ、バットの先端であるヘッドも下がらないで綺麗に振り抜けるのが、この選手の最大の魅力。特にヘッドスピードの鋭さは、今年の大阪桐蔭の中でも屈指だと言えるでしょう。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げがあるので、目線はそれなりに上下に動きます。それでも開きは抑えられていますし、軸足も内モモの筋肉に強さがあり、高校通算30本塁打のパンチ力を秘めているのも頷けます。 (打撃のまとめ) 膝の硬さなどもあり、やや柔軟性に欠けるのが気になります。ボールを捉えるセンス・感覚には特別ものは感じませんが、甘い球を逃さず叩く「鋭さ」は持っています。特にヘッドスピードの速さと美しいスイング軌道は、彼の最大の魅力。スイング自体はプロ仕様なので、木製バットへの対応も短期間に出来るのではないのでしょうか。 (最後に) 三塁手としては、プロだとスケール不足の印象は否めません。それだけに、セカンドがプロでもこなせるかどうかが、一つ見極めの判断になるのでは。個人的には、そのへんに不安があり、指名リストに入れるほどのインパクト・特別なものは感じませんでした。柔軟性・対応力への疑問はあるものの、そこをなんとか乗り越えれば可能性が出てくると思います。指名リストにはいれませんが、当日何処かが指名するかもしれませんね。 (2014年夏 甲子園) |