14ky-30
小郷 裕哉(立正大4年)右翼 178/85 右/左 (関西出身) | |
脚力を活かしたプレーが魅力の外野手で、関西時代から目立った存在でした。高校時代は二塁手でしたが、外野にコンバート。三拍子揃った外野手として、東都でも注目の野手でした。しかし楽天は、ドラフト1位で指名された 辰己 涼介(立命館大)はじめ外野手がやたら多い球団。そういった中に混ざってしまうと、特徴を示すことができるのか疑問です。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 この選手の最大の売りは、走力ではないかと思います。一塁までの到達タイムは、左打席から3.9秒前後とプロでも上位の脚力の持ち主。レギュラーとなった3年春のシーズン以降は、毎シーズン5個以上の盗塁を決めています。ただしプロに混ぜてしまうと、A級というほどの突き抜けた脚力ではないので、この辺がどう出るのか気になるところです。 守備面:☆☆☆★ 3.5 打球への反応、落下点までの入り方などをみているとまずまずで、A級ではないけれど動きの悪い選手ではありません。返球も低い軌道で送球できますし、肩もまずまずの強さがあるはず。以前は投手もやっていた選手なので、肩もプロに混ぜたら 中の上~上の下 ぐらいのレベルにありそうです。 ただし走力も肩も、プロで一流という領域にまでなれるのか?と言われると微妙な気はしています。ここから精度を高めて、プロでも売りにできるところまで引き上げられるかではないのでしょうか。 (打撃内容) どの打席でも、バットの芯の近くで捉えられる当て勘は悪くないと思います。むしろ問題なのは、高めの球が見極められないことがあったりと、ボールを見極められる「眼」の部分。そして外の球を払うようなスイングで、あまり強く叩け無いので、そのスイングが改善できるかではないのでしょうか? <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと取れていて、理に適った構えにはなっています。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。このタイミングでの始動は、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けで、対応力重視の仕掛けだと言えます。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を地面から少しだけ浮かしまわしこみ、軽くベースから離れた方向にアウトステップしてきます。始動から着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でも幅広く緩急に対応しやすいはず。特に着地のタイミングを図って踏み込んで来るので、ボールに合わせるのは上手いことがわかります。 軽くアウトステップを採用しているように、意識は内角寄りにあることがわかります。これは、内角を得意としているというよりも逆で、苦手な内角の球に対し、うまく身体を開いて振り抜くためだと考えられます。踏み込んだ前の足も、インパクトの際に止まって我慢できています。アウトステップでも甘めの外角球や高めの外角球ならば充分に喰らいつくことができそうです。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、ボールを呼び込む時に力みは感じられません。バットの振り出しはインサイド・アウトではなく、遠心力を活かしたバットのしなりを使ったプロ仕様の大きなスイング。内角寄りの捌きには適していませんが、外の球をしっかり打ち返すには優れたスイングです。バットの先端であるヘッドもうまく残して、キレイに流すことができています。 ただしアウトステップして腰が逃げる分、外の球を払うようなスイングで弱々しいのが気になります。もう少し腰がグッと入った形で叩かないと、プロの強くて速い球には苦労するのではないのでしょうか。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 頭の上げ下げは静かなので、目線の上下動が少ないのは好感。錯覚を起こすことなく、球筋を追うことができています。また腰が開くは早いのですが、足元が止まってブレずにある程度のところで止めることができています。軸足にも粘りが感じられ、外に逃げて行く球にも上手く対応できています。 (打撃のまとめ) 当て勘も良く、技術的にも高い完成度の高いスイングができています。その一方で、腰の入りが弱いのが少々気になっています。この辺を改善するのに、時間がかかるかもしれません。持っているポテシャル自体はある選手なので、そこが改善されたらグングン伸びて来る可能性はあります。 (最後に) ただしプロに混ぜてしまうと、守備・走力もA級というほどではないので埋もれてしまうかもしれない恐れがあること。打撃でもまだ絶対的なものはなく、プロで特徴を出すまで行けるのかは微妙だと言わざるえません。個人的には、もう少し外の球を強く叩けるスイングができるようになってからでも、プロ入りは待った方が良かったかなとみています。そのため指名順位が物語るように、ドラフト指名となるとボーダーラインの選手でした。ゆえに現状は埋もれてしまう恐れが強く、指名リストに名前を残すほどの魅力は感じませんでした。果たして数年後、どのような選手に育っているのか気になるところです。 (2018年 神宮大会) |
小郷 裕哉(関西3年)二塁 178/81 右/左 |
「ポテンシャルは高そう」 夏の甲子園では、4打数0安打に終わり結果を残せなかった 小郷 裕哉 。しかしそのプレーを見る限り、かなり秘めたる能力は高いのではないかと気になっていた。そこで夏の岡山大会の模様2試合を見直して、この選手の本来の姿を追ってみた。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、左打席から3.9秒を切るような快速。同じ関西の核弾頭で注目された 逢沢 峻介(3年)中堅手が岡山予選の5試合で3盗塁であるのに対し、5試合で4盗塁を決めるなど盗塁数では上回っている。それも、4番という打順にもかかわらず。そういった意味では、かなり動ける走力と走塁技術を持った選手だと言えるだろう。 また二塁手としても、広い守備範囲を誇る。その守備を支えるのが、地肩の強さ。日本人の二塁手としては稀な、強肩の持ち主。すでに2年春の時点で、投手としても135キロを記録する程だったから、その強さの程が伺われる。これだけの身体能力がありながら、ショートではなくセカンドなのには、長い距離の送球が不安など、何か理由があるのだろうと思われる。この選手はニ遊間タイプというよりは、セカンドに特化した選手だと考えるべきかもしれない。 (打撃内容) 右にも左にもセンターへと、どの方向にも強く叩けるスイングが魅力。数々の選手をプロに送り込んできた監督が、「見てきた選手の中でも3本の指に入る」と絶賛する打撃のセンスの持ち主。 <構え> ☆☆☆☆ 前足を引いて、グリップを高めに添えた強打者スタイル。背筋をスッと伸ばし、全体のバランスも取れた良い構え。しいていえば、ややオープンに開いている割に前の見据えがよくないので、身体が固いのかなという不安は感じるのだが。 <仕掛け> 遅すぎる仕掛け 投手の重心が下る時に、ベース側につま先立ち。本格手に始動するのは、リリース前後という「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅いと、日本人のヘッドスピードや筋力では、一定レベル以上のスピード・キレに対応するのは厳しくなる。 <足の運び> ☆☆☆ 始動~着地までの「間」がないので、まさに一点に集約されたスイング。あらかじめ狙い球絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。スピードの変化には、脆いタイプだと言えるでしょう。 ベースから離れた方向に踏み出す、アウトステップを採用。内角を強く意識したスイングで、けして腕を上手くたたんで打つタイプではないので、苦手な内角を捌くために懐を開けていると考えられます。そのため、内角の球を引っ張って長打を打つことも少なくありません。踏み込んだ足元はブレないので、外角でも甘めの球や高めの球ならば、充分に開きを我慢して対応することは出来ます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」の形をつくり、始動の遅さを補おうとしています。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではないので内角の球を捌くのは多少窮屈ですが、外の球を強く叩くことは出来るスイング。バットの先端であるヘッドも下がらず、大きな弧で振り抜けています。大きくそれでいてロスのない強いスイングが、この選手の最大の魅力。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げは小さいので、目線は上下にブレません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足にも粘りと内モモの筋肉の強さを感じます。この辺が、高校通算27本塁打のパンチ力につながっているのではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) 監督が言うほど、ボールを捉えるセンスに特別なものは感じません。しかしどの方向にも強い打球を飛ばすスイングで、走力・地肩も含めたポテンシャルの高さは、関西の中でも1番ではないかと評価します。 (最後に) 甲子園でノーヒットで終わったこともあり、マスコミやドラフト愛好家からの評価は上がりませんでした。しかし個人的には、スイングがプロ仕様であり、高い身体能力も考えると、この選手こそ関西で一番プロ向きだと評価します。そのためプロ志望届けを提出したのも、頷けるところ。 ただしこの手のタイプにしては、ショートを担えるほどのキメ細やかさがないだけに、評価としては悩むところ。育成枠あたりならば、指名があっても不思議ではありませんが、本会議の中で指名されるほどかと言われると疑問が残ります。 そのため評価としては指名リストに名前を残すまでには至りませんでしたが、面白い選手だとは思います。特にプロでも強打の二塁手という役割を担えるようだと、日本球界には少ないタイプだけに、生き残って行けるのではないのでしょうか。ドラフト当日、指名の声がかかるのか、注目して見守りたい一人です。 (2014年夏 甲子園) |