14ky-3
長野 創太(川越東・2年)捕手 184/96 右/右 |
「一番好感が持てる」 現時点で話題になっている高校生捕手の大半を見た中で、最も全国的に好感を持ったのが、この 長野 創太 。恵まれた体格・捕手としての基本的なポテンシャル・捕手的適正などをみるとそう思えて来る。 (ディフェンス面) 指示は出すものの、ガンガン俺について来いというリーダーシップ溢れる選手ではないように思います。しかし大きな体を小さく屈めるように周りに気遣いができる選手ですし、何よりで~んと構えていて安心感があります。 ミットを示し、その後もグラブを地面に下げるような癖はありません。そのためワンバウンドするような球に対しても、立ち遅れる心配はありません。素晴らしいのは、ボール一球一球を捕るときの押し込み。これならば、上のレベルの投手の球に対しても力負けしませんし、際どいコースの球でもミットがブレずにストライクコールを呼び込みやすいはず。低めの球に対し、ミットを上から被せることがあるのが気になりましたが、ワンバウンドするような球に対しては素早く下からミットを出すことが出来ていました。総合的な、キャッチングは合格レベルでしょう。 大型でどっしり座り過ぎているので、フットワークが重苦しい印象は受けます。ただ大きな体を小さくまとめて投手から的を大きく魅せようという意識は持てていますし、審判からも低めの球筋も見やすいはず。けしてプレーを億劫がってもいませんし、周りへの配慮ができる選手だと感じました。 課題は、リード面と精神的な部分だと訊きます。この辺は、来春にでも生で見てチェックしてみたいポイント。あとは、構えたときからミットをはめていない腕が遊んでいるので、しっかり体の陰に隠しておかないとファールチップなどで、思わぬ怪我をする可能性があります。 試合時のスローイングは二度程見たのですが、一つはカメラワークが悪く正確なタイムが計測できず。更に、内野手オーバーの返球でした。もう一つも握り直して投げたものなので、正確なタイムは計測できず。まぁ監督さんの話では肩も問題ないようですし、塁間1.9秒強ぐらいで投げられるとの話。実際球筋を見る限り、低い軌道でランナーの滑りこんでくるところに送球出来ていたので、地肩の強さなどもかなりありそうだと思いました。この辺も、来春の生観戦時のポイントとなります。 捕手的適性もありそうですし、捕手としての資質も多くを兼ね備えています。あとは、しっかり指示が行き届くような声で、チームをガンガン引っ張って欲しいですね。その辺が、若月 健矢(花咲徳栄-オリックス3位)捕手は物足りませんでしたから。 (打撃内容) この巨体を活かして、左中間への大きな当たりが目立ちます。それほど対応力があるようには見えませんが、当たれば飛んで行くだけのパワーがあり打撃も一定レベルのものがあります。監督さんの話からすると、どの方向にも打球を飛ばせるようですが、夏の埼玉大会を見るかぎりは殆どが引っ張る打球でした。 <構え> ☆☆☆ 若干クローズ気味ではありますが、ほぼスクエアスタンスでと見て良いでしょう。グリップを高めに添え、腰の座り・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスも並ぐらい。特に、可も不可もなしといった構えでしょうか。 <仕掛け> 遅めの仕掛け 投手の重心が下がりきって、前に重心移動する段階で始動する「遅めの仕掛け」を採用。これは、ボールをよく引きつけて打つ、長打距離打者が多く採用するスタイル。 <足の運び> ☆☆☆ 始動~着地までの「間」はなく、狙い球を絞ってその球を逃さず叩くことが求められます。ほぼ真っすぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。踏み込んだ足元はブレないので、低めや外角の球にもついて行けます。打ち損じの少なく、狙い球を逃さないスイングは出来ています。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」を作るのは並ぐらいでしょうか。少しバットの振り出しが、体から離れて遠回りなようには見えます。それでもバットの先端であるヘッドは下がらず、最後まで大きな弧で振り抜けています。フォローするーをうまく使うことはなく、現状はスラッガーではなく強い打球で野手の間を抜けて行くタイプのようです。ただ身体に力があるので、まともに当たれば飛んでゆくのでしょう。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げは大きくないので、目線は安定。体の開きも我慢出来ていますし、軸足も大きくは崩れません。軸を機転に、綺麗に回転出来ています。 (打撃のまとめ) 特にボールを捉えるセンスやヘッドスピードが鋭いとか、特別なものは感じません。それでも打撃はパワフルですし、昨夏の時点から打撃で目立っていたので、高校生捕手としては基準を満たすだけの打力はあります。 これから最終学年になりプレッシャーもかかるでしょうし、注目度の高い選手として厳しいマークにも合うでしょう。そんななかで、いかに結果を残して行けるのか注目されます。 (最後に) 捕手としては、全国でも指折りの存在であるのは間違いありません。打撃も一定水準に達しており、攻守にバランスの取れたプレーヤー。捕手としての適正・資質も確かで、個人的にはとても好感を持っています。厳しくなる重圧のなか、それを跳ね返すだげの強さを魅せられるかが、一つ今後の大きなポイントではないのでしょうか。 (2013年夏・埼玉大会) |