14ky-24









岡田 耕太(駒沢大4年)一塁 173/80 右/右 (敦賀気比出身) 
 




 「打つだけならプロ級」





 敦賀気比時代は、塁間1.7秒台で投げ込む強肩捕手として ☆☆ の評価をした 岡田 耕太 。同校には、同学年に 長 壱成 という好捕手がいることもあり、ポジションは一塁を務めている。強肩でフットワークの良い選手だけに、もっといろいろなポジションが守れるのではないかという気もするのだが・・・。今回は、彼の打撃を中心に検証してみたい。


(成績から考える)

今春のリーグ戦成績は、

11試合 3本 13点 2盗 1失 打率.410厘(2位)

の好成績を残した。1年春にいきなり.343厘(一部)、3年春に..317厘(二部)で残したものの、あとは1割台など散々たる成績だった。しかしようやくこの春は、彼の高い資質が改めて証明された形となった。

1、三振比率は、15%以内 ✕

 39打数で9三振ということで、三振比率は23.1%と高アベレージの打率の割には、三振が多いのは気になる。

2、四死球率は15%以上 ◯

 四死球は7個であり、四死球率は17.9%。アマならば、四死球率は15%以上は欲しいところで、17.9%という数字は優秀。チームの中軸を担っていても、けして無理に打とうとはせずに、後につなげようという意識は忘れてはいないようだ。ボールを見極める眼は、それなりに高いことがわかる。

3,本塁打・打点ペースは? 

 4年間の通算打数は181打数で、5本塁打。これをプロのレギュラー選手並の500打数で換算すると、1シーズン14本ペースでホームランを打っていることがわかる。強打者ではあるが、けして長距離打者という感じではない。しかし今シーズンに限れば、39打数で3本であり、シーズン38.5本ペースで本塁打を打っており、打点は 167打点 ペースで打っていたことになる。

(成績からわかること)

 3本塁打を放てば、シーズンによっては本塁打王になっても不思議ではない数字ではある。しかしこの選手の強打は、けしてホームランで魅了するタイプではない。あくまでも対応力の高さと勝負強さを売りにしたポイントゲッターだということで観てゆきたい。





(打撃フォーム)

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わりはよく、両眼で前を見据える姿勢は良い。全体のバランスとしては並だが、バットを揺らぎながら、自分のリズムでリラックスして立てている。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。まさにこの選手の、プレースタイルに合致しています。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く上げて回し込み、ベースからは離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できる。アウトステップするように、内角を意識したスタイル。それでも踏み出した前の足が止まるので、外角でも甘い球や高めの球には、充分に対応できるはず。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 独特のリストワークでタイミングが測れる選手で、非凡な対応力を持っている。早めに打撃の準備である「トップ」の形を作れているので、速い球にも立ち遅れる心配はない。

 肘が下がって腰が早めに逃げるフォームで、そのためバットが少し遠回りに出てくるところはある。それでも踏み出した足元が止まり「開き」をある程度で抑えつつ、バットの先端であるヘッドが下ることなく強く振り切ることができている。そのため右方向にも、強い打球を飛ばせている。けしてフォロースルーでボールを運ぶタイプではなく、強く振り切ってくる。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが静かで、頭が動かないところは素晴らしい。身体の「開き」もある程度のところで抑えられているし、軸足も強くそれでいて安定している。

(打撃のまとめ)

 けして長距離砲ではないのだが、対応力の高さとパンチ力が兼備されたタイプ。特にボールを捉えるまでの感覚が素晴らしく、ちょっと昨年のセ・リーグの首位打者である 宮﨑敏郎(DeNA)のような独特の感性を持った打撃をする。タイプとしては、3割・20本タイプの打者ではないのだろうか。


(最後に)

 現在ポジションが一塁・もしくはできても捕手という感じで、プロ側の需要は低そう。しかし超強肩である一方で、右打席から4.5秒強(左打者換算で4.25秒)の走力があり、本気で走り抜ければ4.3秒(左打者換算で4.15秒)ぐらいでは走れる能力がありそう。すなわち打球勘などはわからないが、外野手としての適性も結構あるのではないかとみている。

 残念ながら大学での位置づけが中途半端なのもあり、ここから直にプロ入りするのは厳しいとみている。社会人で実績を残すとか独立に進んでモノの違いを魅せるなどして、駒大では隠れている部分をアピールする必要があるのではないのだろうか。打撃は文句なしプロ級だと思うが、生粋のスラッガーではないだけに需要としては低そうだ。しかし打撃オンリー型でもないと思っているので、別のポジションもできることをアピールできれば、プロ入りも可能ではないのだろうか。そういったことが大学でも可能なのかはわからないが、残りの1シーズン引き続き注目してみたい。打撃センスだけでいえば、駒大時代の江越 大賀(阪神)より上ではないかと評価している。


蔵の評価:
追跡級!


(2018年 春季リーグ戦)










岡田 耕太(敦賀気比3年)捕手 172/74 右/右 
 




                   「甲子園NO.1捕手はこの選手じゃないか?」





 この夏の甲子園の模様を見直して、甲子園組のNO.1捕手は、この選手ではないのだろうかと思うようになってきた。準決勝までの5試合で残した打率は5割。その強打ばかりが目をつくが、捕手としても中々の好捕手。小柄でも昨年・森 友哉(大阪桐蔭-西武)捕手が1位指名されたり、一昨年プロ入りした 田村 龍弘(光星学院-ロッテ)がプロで捕手を務めているのならば、充分この選手でもやって行けるのではないのだろうか。


(ディフェンス面)

 捕手は、高校進学後からコンバート。2年秋から正捕手になった選手で、経験の浅さは確かにあります。しかし、それでもまわりに指示を出せる選手ですし、ピンチでも動じない強気なプレースタイル。体を小さく屈め、投手には的を大きく魅せ、審判からも低めの球筋が見やすいように構えるなど、単に強気なだけではありません。構えたミットは動かしませんし、ボールの押し込みもしっかりしています。一度地面に降ろす癖もないので、低めの球にも素早く対応。低めの球に対しても、全身で止めにゆきますし、反応が素早い反射神経の鋭さはピカイチ。

 リードも全然かと思ったのですが、意図がしっかり感じられ考えてプレーしているのに驚きました。緒戦は完封、破れた大阪桐蔭戦までの4試合では、失点を2点以内に抑えるなど好リードで下級生投手を盛り立てました。一方的に打ち砕かれた大阪桐蔭戦をみると、逆境に入った時に流されないリード・が今後の課題か。

 そして何より、ピタッとハマった時のすローイングが素晴らしいということ。特に捕ってからの素早さが抜群で、1.7秒台ソコソコで送球した時はビックリしました。日本人で、こんなタイムを叩きだした選手が今までいなかったからです。大会期間中に、三度の捕殺を決めるなど送球の精度も想像以上。このスローイングは、プロでもトップランクに位置づけられるのではないのでしょうか。

 この選手はまず、しっかり捕れるという捕手の基本が出来ていること。スローイングも、プロに混ぜても上位であること。上背はないですが、体格もガッチリしていること。経験の割に、リードセンスがあることなどを加味すると、個人的には面白い素材だと高く評価します。しかしプロ側からは、彼の評判は全く響いてきません。


(打撃内容)

 むしろ心配なのは、彼の打撃の方にあります。広角に打ち交わせる選手ですが、基本的に引っ張って巻き込む打撃を好みます。ただしスイングが、ドアスイング気味だということ。木製バットを握った時に、今のスイングで通用するのか?という不安は残ります。しかしながら、ボールを捉える感性には独特なものがありますし、強く叩けるスイングには打てる捕手への期待も高まります。

<構え> 
☆☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢もよく、何より打席でリラックスして構えられているところが好いところ。

<仕掛け> 遅めの仕掛け

 投手の重心が沈み込んで、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。これは、典型的な長距離打者が採用するスタイルで、中距離タイプに見えるが想像以上の長打力を秘めているかもしれない。

<足の運び> 
☆☆☆

 始動~着地までの「間」は殆どなく、完全に点でボールを捉えるタイプ。そのため狙い球を絞って、その球を逃さず叩くことが求められます。しかし緒戦の坂出商業戦を見るかぎり、速球でもカーブでも捉えていたので、想像以上に緩急への対応力はあるのではと見ております。またベース側にインステップして踏み込むように、外角を強く意識したスイング。しかしその割に、踏み込んだ足元はブレたりするので、右方向への打球よりも引っ張って巻き込む打撃を得意にしているのだろうなというのも伺えます。外角を打つのは、真ん中~高めの払える球であり、低めに逃げて行く球にはついて行けないのだろうなという気は致します。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形は早く作ることで、始動の遅さを補い速い球にも立ち遅れません。しかしバットの振り出しは、体は離れて出てくるので、けしてインサイド・アウトの軌道ではなく、内角の捌きはどうなのか?という疑問は残ります。それでもバットの先端であるヘッドが下がらないので、ドアスイングにまではなっていませんが。

<軸> 
☆☆

 足の上げ下げが殆どないので、目線は上下にブレません。しかし足元がインパクトの際にブレるので、体の開きは我慢できておらず。軸足も、結構前に崩れるなど突っ込まないように注意したいですね。

(打撃のまとめ)

 スイングは、右打ちが得意でない割にインステップし、内角の捌きが得意でない割に打球を引っ張りたがるという、かなり幅の狭いスイングをしています。ようは、真ん中~甘めの外角よりの球を巻き込むのを得意としているということでしょう。

 そういった粗っぽいスイングをしている割に対応力が高いのは、持っている反射神経・動体視力の能力の高さに加え、打撃の感性が豊なのだろうと考えます。また打球の速さ・ヘッドスピードの鋭さは、ドラフト候補級。木製バットであることを考えると、かなりスイングを直さないといけないかもしれませんが、捕手であるということを考えれば、高い資質だけでも充分評価の対象になるのではないのでしょうか。


(最後に)

 
個人的には、ディフェンス能力・センス・適正などを高くし、捕手としてドラフト候補として推したいと思います。また打撃に関しては課題も多いのですが、持っている資質の高さを評価します。

 
経験不足や粗っぽい部分はあるのですが、高校からプロ入りしても面白いと思っています。下位指名ならば、チームにぜひ加えて育ててみたい、そう思わせるものがありました。プロ志望届けを提出するのか? プロ側はどのように評価するのか、密かに期待して今後の成り行きを見守りたいと思います。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2014年夏 甲子園)