14ky-21
多田 大輔(徳島・鳴門渦潮3年)捕手 188/85 右/右 |
「キャッチングが」 四国屈指の捕手として、プロからも注目される 多田 大輔 。手足の長さを活かした強打と圧倒的な地肩で魅了する大型捕手。しかし私が見る限り、キャッチング・フットワークに課題を抱えているように見える。里崎 智也(ロッテ)など過去2人の捕手をプロの世界に送り込んだ監督は、彼らに遜色ないと言っているが・・・ (ディフェンス面) 188/85 という巨体を小さく屈めて、投手にとって的を大きく魅せたり、審判に陰になる部分を少なくしようという配慮が感じられる構えです。ミットを投手に示し、グラブを地面に下げる癖はない模様。ただし低めの球に対し、上から被せようとしたりと、ミットの出し方、反応・フットワークの点では、物足りないものを感じます。またキャッチングもそれほど押しこむような力強さは感じられず、キャッチング全般に課題がある選手ではないのでしょうか。 けして小手先だけで捕りにゆくとかそういった雑なプレーヤーではなく、むしろ丁寧にプレーしようという意識は感じられます。ただ大型過ぎる故に、その辺の俊敏性に欠けるのでしょう。またリードに関しても、まだまだ勉強が必要といった感じで、けしてインテリジェンスは感じません。 最大の売りは、スローイングにあります。しかし三年生になると警戒されているのか、相手が滅多に走ってきません。唯一走ってきた時はボールが掴めずに盗塁を決められてしまい計測できず。昨夏の徳島大会では、飛び出した二塁走者に返球した球ではあるのですが、1.73秒という驚異的なタイムを計測。確かに二塁ベースまで、ボールの勢いが落ちない強さがありますし、スローイングもコンパクトかつ強さも感じられ、全国的にも観てもトップクラス。ただあまり実戦で刺せるタイプかと言われると、まだまだ安定感には欠けるのかな?という印象は受けました。 けして雑な選手でもないし、周りへの気遣いもできない選手ではない。しかし捕手としての俊敏性やインテリジェンス・キャッチングなどの部分で、個人的にはちょっと引っかかるものがあります。 (打撃内容) この選手の最大の特徴は、手足の長さを活かし、外角の遠目の球でも捉えてしまう強打にあります。けして長距離砲ではありませんが、真ん中~外目の球に対しては強さを発揮しますし、右方向への打撃もできないわけではありません。 <構え> ☆☆☆ 前足を引いて、グリップは高めに添えて構えます。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並ですが、両目で前を見据える姿勢は平均的。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が下がりきったあたりで始動するくる、「平均的な仕掛け」を採用。これは、ある程度の対応力と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターが多く使用する仕掛け。 <足の運び> ☆☆☆ 足を大きく引き上げて、軽くアウトステップを採用します。始動~着地までの「間」は程よくはあるので、速球でも変化球でも対応できるはず。ただアクションが大きく忙しすぎるので、余計な動きが多い。もう少し、シンプルにまとめられないかな? という気は致します。アウトステップするように、元来は内角を引っ張りたいタイプ。それでも手足が長く、外角の球を拾うのは下手ではありません。足元がインパクトの際になんとかブレないで我慢できており、右方向への打撃も可能にします。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのが遅れがちですが、上からコンパクトに振り抜けます。ただしボールは捉えられるまではいいのですが、バットの先端であるヘッドが下がったりと打ち損じは少なくないはず。ボールを捉えてからは、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぼうとします。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げが大きいので、目線は上下に多少動きます。足元がなんとかブレないので、体の「開き」は抑えられ、軸足も大きくは崩れません。 (打撃のまとめ) レベルの高い相手になると、技術的に粗く厳しいかなという印象は受けます。アウトステップして懐を空けますが、むしろ普通の人では厳しい外角球を引っ張り込むのが一番の得意技ではないのでしょうか。 特に物凄くヘッドスピードが図抜けているとか、ボールを捉える感覚・技術に優れているほどではなく、プロレベルの投手に対応するのには時間がかかりそう。 (最後に) 捕手としては地肩は一級品ですが、俊敏性やキャッチングに課題を抱えます。打者としては、動作が忙しすぎるのと「トップ」をもう少し早めに作り、バットの先端であるヘッドが下がらないようにすれば、持っている打撃能力は高いだけに、粗さが改善されるのではないのでしょうか。 恐らく四国では最もプロに近い野手ではないかと思いますが、実際指名されるかは微妙なラインかと。ただしこの体格にして強肩・強打という意味では、素材として時間をかけて育ててみたいと思う球団が現れてもおかしくはありません。本人が下位指名~育成でもプロに行きたいという明確なものを示せば、高卒プロの可能性は捨て切れません。個人的には、夏に劇的に変わっていない限り、指名リストに載せることはないという評価ですが。 (2014年春 徳島チャレンジマッチ) |