14ky-18
野平 大樹(樹徳・2年)遊撃 182/80 右/左 |
「動作にキレを」 全国的には全く無名だが、左打席から繰り出す鋭い打球と夏の群馬大会では17打数11安打・打率.647厘を残した対応力が魅力の大型遊撃がいる。180センチ台の大型野手故に、一つ一つの動作にもうワンランク上のキレや更なる強さを求めたい。 (守備・走塁面) 遊撃手としては、守備範囲・打球への反応にそれほど際立つものはありません。しかし球際での強さがあり、スローイングも安定しています。高校生の遊撃手としては、守備・地肩共に中の上レベルはあるでしょう。ただこれが、上のレベルでの野球を想定すると、まだ遊撃手を任せて行ける程のものは感じられません。けして打球が上がるタイプの打者ではないので、やはり将来的にニ遊間を担えそうだという期待を抱けないと高い評価は厳しい。そのためには動作の切り返しに、キレ・スピード・素早い反応と、もうワンランク上のものを望みたいのだ。 50メートル6秒2との話だが、一塁までの塁間を計測したところ4.4秒前後だった。恐らく早い時でも、4.2秒ぐらいまでで、これではプロの基準レベル~それ以下の走力しかなく、上のレベルで足を売りにできるのかには疑問が残る。夏の大会でも盗塁を試みた場面を見たが、やや重苦しく失敗に終わっている。現時点で一番心配なのは、この走力が物足りないところではないのだろうか。 上のレベルを考えると、守備・走塁共に、現時点ではアピールするほどではない。特に打撃でも好打者タイプの打者であり、それほど長打は期待できないことを考えると、守備ならニ遊間、走塁でもある程度アピールができないとドラフト候補としてはパンチ不足ということになる。 (打撃内容) 右に左にセンターへと、どの方向にはじき返します。ただそれほど打球が上がるタイプではなく、上のレベルで木製バットを握ったら、完全にアベレージヒッターだと考えられます。 <構え> ☆☆☆☆ 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。背筋を伸ばし、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢もまずまず。打席では、高い集中力が感じられます。 <仕掛け> 早すぎる仕掛け 投手の重心が沈み始める前から動き出すように、「早すぎる仕掛け」を採用。投手が重心を下げる前に動き出すと、投手がまだフォームのタイミングを変えられる段階なので、タイミングをずらされる危険性がある。ちなみに始動は、早ければ早いほどアベレージ打者の傾向が強くなり、遅ければ遅いほど長距離打者の傾向が強くなる。そう考えると、彼は生粋のアベレージヒッターということになる。 <足の運び> ☆☆☆☆ 投手にタイミングを狂わされる危険性は別にして、始動~着地までには充分な「間」が取れており、速球でも変化球でも合わせやすいはず。そのため緩急の変化には、それほど苦にしないはず。 踏み込みは、ベース側に踏み込むインステップ。外の球を意識した踏み込みだが、どうしても右投手の内角に食い込む球筋には、詰まらされやすい側面がある。左の好打者がインステップを採用すると、率が残り難い。彼のようなタイプは、できれば、真っ直ぐ踏み出したい。あるいは、コースによって踏み出す方向を変えるように心がけるかのいずれかだろう。 踏み出した足元は、内角を巻き込む時でも、けしてブレないでいられる。そのため外角の厳しい球や低めの球にも喰らいつくことができるので、あとは外角の球を無理に引っ張ろうとしないことだろう。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」の形を作るのが少し遅いように見えるが、夏の優勝投手である 高橋 光成(前橋育英)のストレートを鋭く一ニ塁間を抜いたように、それほど悲観するほどではないのかもしれない。 バットの挿入角度がよく、「トップ」~「インパクト」までの振り下ろしにロスは感じられない。またボールを捉えてからも、バットの先端であるヘッドが下がることなく、大きな弧を描いてボールを払うようにスイングできている。 スイングにそれほど力感はないが、ボールに合わせるセンスには長けている。この選手の最大の良さは、ボールを線の中で捉えることができるので、率も残しやすい点だろう。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げはあるが、それほど目線は大きくは動いていない。体の「開き」も我慢できており、軸足にも「強さ」がじられ、粘り強くボールを拾うことができる。 (打撃のまとめ) まだ驚くほどの打球の「速さ」・スイングの「強さ」はないが、ボールを捉えるセンスと打撃技術には優れたものを持っている。スイングにもキレが、身体にも強さが出てくると、最終学年では内から沸き上がるような凄みが出てくるのではないのだろうか。甘い球を逃さないだけの高い集中力があるので、その精神力に反応できる身体をつくりあげて欲しい。 (最後に) すでに夏の時点で、群馬では相当マークされる存在でした。この先も志しを高く持ち、守備・走力・打撃の総合力を引き上げられれば、来春以降ドラフト候補としてスカウト達の熱い視線を集めても不思議ではありません。私の見立てが間違っていなければ、2014年度関東を代表する内野手になるはず。期待して、最終学年での活躍を待ちたいと思います。 (2013年夏・群馬大会) |