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佐藤 雄偉知(東海大相模)最終寸評へ







佐藤 雄偉知(東海大相模)春季大会寸評へ







 佐藤 雄偉知(東海大相模・2年)投手 191/90 右/右
 




                   「まとまりが悪い」





恵まれた体格から繰り出されるストレートの威力、変化球一つ一つも悪くないが、何処か投球全体がうまくまとめられない、そんな不器用な印象を受けるのが、この 佐藤 雄偉知 。2014年度の全国を代表する、剛球投手の一人だと言えよう。

(投球内容)

ノーワインドアップから、足をゆっくりと高い位置まで引き上げます。

ストレート 常時130キロ台後半~140キロ台中盤

夏の神奈川大会の時は、まだ常時140キロ前後といった感じでした。しかし秋季大会では、セットポジションになるまではコンスタントに140~140キロ台中盤は出ているような勢いが感じられました。

ボールは手元でピュッと切れるとか、グワ~んと伸びてくる感じはなく、ズバンと球威と勢いのある球を投げ込みます。そのため詰まらせるられることは多々あると思いますが、それほど空振りを誘う球質ではありません。

ボールは高めに上吊ることは多くバラつきはあるのですが、両サイドへのコントロールは悪くありません。

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど

小さく横滑りするスライダーで、カウントをしっかり稼げます。緩いカーブを混ぜたり、別の試合では、フォークが面白いように決まっていたとの話もあります。そのフォークもドロンとしており、何かチェンジアップのように見えなます。

その他

大型ゆえか牽制などは上手くありませんし、フィールディングの動きもそれほどでも。しかしながらクィックは、1.15秒強ぐらいで投げ込めており、動作が緩慢と言うほどでもないのか。

パッとマウンドを外してみたり、ゆっくりと自分の「間」を作って投げ込むように、思ったよりは投手らしい側面がある選手ではあります。

(投球のまとめ)

夏の大会の頃に比べると、ワンランクボールの勢い・球速に磨きがかかりました。まだまだコントロール・変化球・投球術などにも課題は残しますが、これからまだまだ良くなる可能性は感じさせます。意外にピッチャーらしいところがあるのが、今回新たな発見でもありました。

(投球フォーム)

今後伸びて行くためには、具体的にどのへんに注意して取り組めば良いか、フォームの観点から考えてみましょう。

<広がる可能性> ☆☆

引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落とせない。こうなると体を捻り出すスペースが確保できず、腕の振りが緩まないでカーブを投げたり、縦に鋭く落ちるようなフォークの習得は厳しくなる。しかしこの投手、そういった球を結構投げて来る。

また体が前に倒れ込んで来るので、どうしても着地までに粘りが作れない。体を捻り出す時間が確保できないので、中々武器になる変化球が身につけ難い。小さく鋭く曲がるスライダーを身につけているので、今後も小さく変化するボールを中心に、ピッチングの幅を広げるしかないだろう。カーブやフォークを武器にして行けるのかには、疑問が残る。

<ボールの支配> ☆☆

グラブは最後まで体の近くにあるので、両サイドの投げ分けは安定。しかし足の甲での地面の捉えが、完全に浮いてしまっている。これでは、下半身のエネルギー伝達ができないだけでなく、ボールも高めに抜けて抑えが効かない。「球持ち」も良い方ではないので、なおさらボールを上手く制御できない。

<故障のリスク> ☆☆☆

お尻が落とせない割に、カーブやフォークといった体を捻り出して投げないといけない球種を多投するので、肘への負担は大きそう。その一方で振り下ろす腕の角度には無理がなく、肩への負担は少ないだろう。

<実戦的な術> ☆☆☆

「着地」までの粘りがないので、打者としては合わせやすい。また体の「開き」も早いので、コースに投げても打たれやすい。

振り下ろした腕は身体に絡んで来るように、速球と変化球の見極めはつき難い。しかしボールへの体重乗せは、身体が流れてしまい不十分。足の甲の押し付けと共に、下半身の使い方に大きな課題を残す。

(フォームのまとめ)

投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、いずれもに課題が残る。更にボールが上吊りやすく、肘に負担がかかりやすいフォームなど、今後も素材型を脱してゆくには課題が多すぎる。

(最後)

すでに常時140キロ前後~中盤ぐらいまで連発できる能力は、全国でもトップクラスの球威・球速を誇る。しかし実戦で魅せるまとまりの悪さもあり、素材型の域を脱していない。それでも意外に投手らしい選手であり、その辺がわかったことは、今回の大きな収穫。

高校からプロというよりは、大学・社会人などでステップアップして行く段階で、少しずつ実戦力を身につけて行く。そういったことに期待することになりそうで、かなり長い目で見守って行かなければならないのではないのだろうか。それでも投手らしい細かい側面があり、こだわりを持ってやってゆけば、その才能が開花する日も訪れるかもしれない。


(2013年秋・秋季神奈川大会)









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