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田嶋 大樹(21歳・JR東日本)投手の最終寸評へ







田嶋 大樹(20歳・JR東日本)投手の個別寸評へ







 田嶋 大樹(佐野日大・3年)投手  182/74 左/左





                        「やっぱりNO.1」





 オフシーズンの頃から、選抜に出場する選手の中では、この投手がNO.1だろうと言ってきました。実際に選抜を見終わっても、やはりそうだったと強く実感させられた大会。独特の左打者の背中からくるような球筋を活かし、それでいて速球で勝負できる力強さを併せ持ち、投手としてもセンスも感じさせる。まさに高校から、プロに入るべき素材でしょう。


(投球内容)

 選抜緒戦の鎮西高校戦では、ストレートの抑えが効かず暴れていたのが気になりました。それでも続く智弁学園戦では、その辺はだいび修正されており、丁寧に投られることも証明。力強さだけでなく技術もあるところを、魅せつける大会となりました。

ストレート 135~MAX145キロ

 ストレートは結構高めに抜ける傾向にあり、おおまかに両サイドを投げ分けて来るタイプ。それでも狙って内角を意識すれば、そこを突いて来るだけの精度はあります。何より素晴らしいのが、ストレートの勢いと球威。非常に厚みのあるボールを投げられる投手であり、それでいてピュッと来る勢いもあります。中々わかっていても、高校生で彼の力を込めた球をはじき返せる選手はいません。その球速以上に、ストレートの威力には目を見張るものがあります。

 あとは、ストレート細かいマインドと平均球速を、夏に向けてワンランク向上させて欲しいなぁという要望はあります。

変化球 スライダー・カーブ

 本人によると、スライダーは縦・横・斜め と三種類を使い分けてきます。確かに小さく横滑りするもの、少し沈みながら曲がるもの、ストライクゾーンからボールゾーンに切れ込むものと、細かくみると三種類あるようにも見えます。彼の素晴らしいのは、そのスライダーのコントロール。ストレートが暴れる一方で、スライダーの大半は真ん中~低めのゾーンに集まり浮いてきません。またいつでも、この球でストライクが取れるという安心感があります。打者の空振をバシバシ奪うほどの威力はありませんが、この球を実に上手く使えています。

 他に緩い105~110キロぐらいのカーブも、たまに投げ込んできます。左投手ですが、シュート回転して逃げてゆくようなチェンジアップ系の球はなさそうです。

その他

 左投手らしく、牽制はまずまずの上手さがあります。また昨夏まではクィックが出来なかったのですが、選抜では1.2秒前後で投げ込めるようになり、この点では確かな成長を感じます。どうしても少しサイドステップして投げ込む大きなモーションなので、特に走者を背をにする二塁にランナーがいるときは注意したいところ。

 また元々ゆったりと自分の「間」を活かして投げるタイプなので、セットポジョンになると持ち味が薄まる傾向にあります。それでも走者を背負っても、パッとマウンドを外したりと、息の入れ方・抜き方にセンスは感じます。

(投球のまとめ)

 勝負どころでならば、いつでも140キロ台中盤ぐらいのボールを投げ込めるようになりました。そういった意味では、一冬越えて更に、球威・球速を増した感じが致します。

 実戦的な部分と力強さを兼ね備えており、本格派ではありませんが、魅力溢れる素材だと言えるでしょう。独特の球筋も相まって、中々初めての対戦では攻略が難しいタイプだと思います。本格派ではないので、物凄く高い評価はされ難いのですが、上位指名を意識できる素材ではないのでしょうか。


(成績から考える)

 センバツでは準決勝までの4試合に登板したので、その成績から傾向を考えてみましょう。まずセンバツでの成績は

4試合 38回 32安打 12四死球 31奪三振 防御率 2.84

1,被安打はイニングの80%以下 △

 金属バットを持った、それも全国大会なので基準を80%に設定してみました。被安打率は、84.2% 。それほど悪い数字ではありませんが、どうしても外に逃げてゆくボールがないので、球筋に偏りは感じます。この辺が、あと一歩基準を満たすだけの数字に至らなかった要因ではないかと。

2,四死球はイニングの1/3以下 ◯

 四死球率は、基準を満たす31.6%。しかしあくまでもこの数字は、それほど細かい投げ分け、コントロールはないのかなという印象はあります。特に高校野球のストライクゾーンは、上のレベルの野球に比べると相当甘いので。

3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◯

 奪三振率は、1イニングあたり0.82個 。この数字は、先発をしている投手としては合格ラインでしょう。しかしストレートでは三振が奪えますが、意外にスライダーで空振りを奪う場面が少ないようには思います。低めに切れ込むスライダーには、それなりのものがあるのですが。

4,防御率は、2点台 ◯

 2.84と基準を満たしていますが、ドラフトの上位候補を意識するのであれば、1点台前半~0点台ぐらいは期待はしたくなります。藤浪晋太郎(阪神)レベルになると、最終学年の春・夏の甲子園での防御率は、1.07ですから、その凄さを伺うことができます。

(成績からわかること)

ほぼ基準を満たすファクターばかりなので、総合力の高い投手だとわかります。しかし数字の上からは、どれもまだ突き抜けたも のがなく、上位指名に相応しいほどの絶対的なものは感じません。この辺が夏に向けて、どのぐらい凄みを増して来るのか、気になる材料にはなります。

(最後に)

 投球フォームは、オフシーズンの寸評で行ったので、今回は多くは触れません。昨夏の方が着地までに粘りがあったように見えるのですが、その分ボールへの乗せはよくなり球威・球速が出てきたかもしれません。ただし特にセットポジションなどになると、もう少しフォームに粘りがあればなぁと思う部分はあります。

 それでも選抜の内容だけで、ドラフト指名は確実だと言えるレベル。現状の評価は、2位~3位ぐらいというのが妥当なところだと思いますが、夏までに更なる成長が観られるようになると、ひょっとするとハズレ1位ぐらいまで評価が高騰するかもしれません。

 左の変速タイプなので、リリーフ向きに見えます。しかし本質的には、先発で持ち味を発揮するタイプではないかと思います。いずれはプロのローテーション、そんな期待も抱きたくなる投手でした。


蔵の評価:
☆☆☆


(2014年 選抜)










田嶋 大樹(佐野日大)投手 180/73 左/左 





                    「数少ない選抜ドラフト候補」





 選抜大会に出場できそうな選手の中で、数少ないドラフト候補になりそうなのが、この 田嶋 大樹 。180/73 と体格に恵まれ、スリークオーター独特の球筋と球威のある厚みのあるボールを投げ込んで来る楽しみな素材。


(投球内容)

 本格派というよりは、肘を下げて腕もかなり体から離れて外旋するフォーム。それでいて「球持ち」は結構良いという、特集なメカニズムをしています。

ストレート 常時135キロ前後~140キロ強

 私が観戦した夏の作新学院戦では、常時135キロ前後~MAXで130キロ台後半を記録。秋には、140キロ台を越える球も投げるようになったと聴いています。それほど細かいコントロールはないのですが、ストライクゾーンの枠の中にはボールを集めることができ、四死球で自滅する不安定さはありません。

 特に面白いのは、左打者の背中越しから来るような独特の球筋。そして高校生では数少ない、球威のある厚みのある球を投げ込んでこられる点にあります。こういった馬力があることを考えると、一冬越えてドラフト候補としてクローズアップされる可能性は、かなり高いと言えるでしょう。

変化球 スライダー・カーブ

 投球の殆どは、この独特の球筋を活かしたスライダーとのコンビネーション。このスライダーも、カウントを稼ぐものと、低めのボールゾーンに切れ込み空振りをものとの2つを使い分けます。カーブは、殆ど投球の中に見られないですし、夏の時点ではシュート系の球種も見当たりませんでした。しかしこのスライダーの精度の高さこそが、この選手の最大の魅力とも言えます。

その他

 最大の欠点は、クィックが1.3秒前後と遅い点。作新学院のような全国級のチームだと、この欠点を見逃さず盗塁を決められていました。

 普段からゆったりと、自分の「間」を大切にするタイプ。ランナーを背負ってからも「間」を崩さないのですが、相手走者への意識などは、まだまだ不十分だと言えるでしょう。

(投球のまとめ)

 打ち難いフォームのフォームでありながら、そのボールには厚みがあり馬力を感じさせる投手。それでいて投球も実戦的であり、かなり総合力は高いと言えます。

 この内容で、一冬の間に更にパワーアップを望めるようならば、当然ドラフト候補・そして指名へと夢は広がります。その期待を抱きたくなるような、数少ない選手だと言えるでしょう。





(投球フォーム)


<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は三塁側(左投手の場合)には落とせません。更に腕を下げたスリークオーターだということを考えると、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の大きな変化は厳しいでしょう。

 それでも「着地」までの粘りは悪くないので、そういった球種以外ならばピッチングの幅を広げて行けることは期待できます。現状二種類のスライダーのみなので、スクリューボールのような逃げて行く球の習得が求められます。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブは抱えられていないのですが、最後まで体の近くにあり、両サイドへの制球に大きな乱れは感じません。むしろ心配なのは、足の甲で地面を押し付けられないので、低めに押し込み難いのかなという印象はあります。それでも極端に高めに集まるということもないので、それほど悲観しなくても良いのかもしれません。

 このフォームでもボールをある程度操れるのは、「球持ち」がよく指先の感覚に優れているからではないかと思います。現状は細かいコースの投げ分けまでは厳しいですが、四球を連発するような投手ではありません。

<故障の可能性> 
☆☆☆☆

 お尻を落とせるフォームではないのですが、カーブやフォークなどといった肘に負担がかかりやすいボールは投げ込んできませんので、大きな問題はありません。

 また腕の角度にも無理がなく、腕の送り出しにも違和感は感じません。そういった意味では、肩への負担も少ないはず。勝負どころで力を入れたボールは投げますが、普段は力まずにゆったり投げるタイプなので、体の消耗も小さいと考えられます。故障の可能性は低く、タフな活躍が期待できるのではないのでしょうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆

 「着地」までの粘りも悪くありませんし、スリークオーターですが「開き」は平均的ではないのでしょうか。特に腕を下げることで独特の球筋を作れており、打者から合わせやすいということはないはず。

 振り下ろした腕は身体に絡むように、速球と変化球の見極めは困難。前の足が突っ張って体重が充分乗せられていないようにも見えますが、実際にはかなり球威のあるボールを投げ込めています。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「開き」「体重移動」は並ですが、「球持ち」の良さがあります。これにより外旋するような腕の振りでも、投球が荒っぽくならないのが大きな特徴。

 細かい制球力はありませんが、コントロールに不安がないのは左腕では貴重。故障のし難そうなフォームでもあるので、その点でも推せる材料は少なくありません。


(最後に)

 背中越しからくるという、左腕の利点を活かすフォーム。それでいて実戦力と力強さを併せ持ち、投手としてのセンスも悪くありません。体格にも恵まれておりますし、順調にこの冬を乗り越えてくれば、選抜で大きくクローズアップされる存在になるのではないのでしょうか。

 全国的にみても、指折りの左腕になれる可能性を秘めています。物凄いスケールは感じませんが、大いに期待して見守りたい存在でした。


(2013年夏・栃木大会)