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斎藤 綱記(北照)投手 181/83 左/左 |
「どのぐらい成長しているのか?」 昨夏甲子園で恵まれた体格から投げ下ろす、綺麗な球筋のストレートが目立っていた 斎藤 綱記 。しかし秋は、肩痛のため登板なく敗退。春季大会こそ、全道大会の優勝に貢献。しかし最後の夏は、支部予選で敗退し最終学年の投球は確認出来ないまま終わった。そこで今回は、改めて昨夏の投球を見直し、寸評を作りなおしてみたい。 (投球内容) 昨夏甲子園の常総学院戦に登板し、2イニングを0安打・1四死球 無失点で乗り越え注目された。見るからに、正統派の左腕といった感じの好素材だった。 ストレート 常時135~MAX138キロ 球速的には135~138キロ程度ではあったが、それ以上に感じさせるボールの勢いがありました。高めのストレートで空振りを誘える球質で、ボールは適度に散った荒れ球といった感じ。しかし3年時の投球内容を訊く限り、四死球が多かったり、一挙に大量失点を食らうなど、まだまだ素材型の域は脱していなかったのではないのだろうか。 変化球 スライダー 昨夏観た時はスライダーぐらいで、それ以外の変化球はよくわからず。このスライダーのコントロールも不安定、ある意味ストレート以上にコントロールできない球だった。とりあえずストレートとのアクセントにはなっていても、信頼できる球種ではないことがわかる。他には、カーブを投げることもあるという。 その他 牽制は左腕らしくまずまずなのだが、クィックができない。その辺がこの一年で、どのぐらい改善されたのだろうか? とにかく野球センスや運動神経に優れたタイプというよりは、肉体的資質の高さで圧倒するタイプ。 (投球のまとめ) 今年の投球を確認出来ていないのでなんとも言えないが、試合結果などを見る限りは、まだまだ素材型の域を脱していないのではないかという気は致します。しかし北照には、元ヤクルトの 松岡弘氏が臨時投手コーチに就任するなど、元プロの指導を受けてきたはず。そういった意味では、プロというものを身近に感じられた一年だったのではないのだろうか。 (投球フォーム) <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足は比較的高い位置でピンと伸ばされているものの、二塁側に送り込み過ぎるので、それほどお尻を三塁側に落とせていない。したがって、身体を捻り出すスペースは確保出来ていない。こうなるとカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球も投げられないことはないものの、中途半端になりがち。 「着地」までの粘りも平均的で、身体を捻り出す時間も並。そのためなのか、現時点では変化球の曲がり・キレとも中途半端に。 <ボールの支配> ☆☆☆ 最後までグラブは内に抱えられており、両サイドにはボールが散りやすいはず。しかし足の甲での地面への押し付けが甘いので、浮き上がる力を充分に抑えきれずボールが上吊りやすい。また「球持ち」も浅いので、どうしても指先の感覚が悪くなりやすい。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻は甘さを残すものの、カーブやフォークも殆ど投げませんし、特に肘への負担は少なそう。腕の角度・送り出しには無理は感じられず、そういった意味でjは、肩への負担も少ないのではないのでしょうか。しかし2年秋には肩を痛めているので、身体から離れて腕をブンと振るのは負担が大きいのかもしれません。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りは平均的で、それほど苦になるフォームではありません。しかしながら、体の「開き」は我慢できており、コースにしっかり投げていれば、それほど痛手は喰らわないのでは? 腕は最後まで力強く身体に絡んできており、速球と変化球の見極めは困難。ボールに適度に体重が乗せられており、球速以上に、打者の手元までボールが来る勢いがあります。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」に良さがあり、「球持ち」に課題があることがわかります。 足の甲の押し付けや指先の感覚の悪さから制球を乱し、肩を痛めた経験があることで、あまり推せる材料はありません。 (最後に) 残念ながら最終学年の投球を確認出来ていないので、素材は良いけれど何処まで実戦的になっているかまではわかりません。しかし最終学年での成績を見てみると、一挙に大量失点していたり、四死球を多く出しているようなので、まだまだ課題を改善出来ていないことは伺えます。 そのためプロ入後も、かなり時間がかかるだろうなとか、このまま素材型のままで終わってしまうかもという不安は拭えません。果たしてプロの指導で見違えるほどになるのか、今後も注目してゆきたい一人です。 (2013年夏・甲子園) |